ラノベの感想) 幼女戦記 第14巻 Dum spiro,spero ‐下‐
概略:
司令官が戦死してしまったので東部方面軍司令部は混乱しています。黎明の意図に気付いたターニャがでっち上げた偽命令が東部方面軍司令部に届きます。ゼートゥーアの使い捨て個人暗号で暗号化された電文です。解読してみると司令部の金庫に入っている計画書を見ろと書いてありました。繰り上げで責任者になってしまった中将は命令が本物か偽物か判断がつきません。ターニャは独断専行すると決めたので集められるだけの魔導師を集めて連邦の兵站攻撃を始めました。シューゲルに助けられグランツがゼートゥーアの元に到着します。ターニャが独断専行した経緯を聞いたゼートゥーアは即座に追認すると決め、命令を徹底するようにって電文を東部に送ります。ゼートゥーアの命令が届くと行動に迷っていた部隊も動き出します。野戦部隊の瓦解を防げると分かったゼートゥーアは反撃計画を組み立てます。無理難題をターニャ達に課してきます。悪辣な計画で戦力が無い事を季節の変化で誤魔化そうと考えています。
レーベル:KADOKAWA
発行日:2023/9/29
著者:カルロ・ゼン
イラスト:篠月しのぶ
ISBN:
雰囲気:混乱、幸運だけど不運、兵力差、嘘つき、黒が白になる、勝手に出撃、防衛成功、命令徹底、小さな巨人、降下作戦、時間稼ぎ、凱旋、密談、感謝、戦後について
>>
第壱章 義務の名のもとに
>>
帝国軍の東部司令部は混乱の坩堝にありました。
連邦の反抗作戦黎明が開始され決定権を持っているラウドン大将と次席が戦死してしまいます。
指揮系統を守る為に別行動を取っていたんですがね。
ラウドン大将は前線の視察中に爆死しました。
連邦が偶々選んだ攻撃地点に居合わせただけです。
次席は堅牢な基地に籠っていたんですが連邦はそれを破壊可能な火力で砲撃しました。
次席がそこに居るとは知らないで偶々攻撃した場所に次席が居ました。
ですので連邦は狙って帝国軍の指揮命令系統を破壊した訳ではありません。
指揮系統を混乱させられればイイかなくらいの考えで攻撃しました。
それらの攻撃で意図せずラウドン大将と次席が戦死してしまいました。
連邦はその事実を知りません。
計画通りに進んでいると安堵しています。
幸運だったんですがターニャの偽命令が実行に移される原因を作りました。
こっちは不運と言えます。
指揮権の移譲を行う必要があるのですが第三位は帝都に居るゼートゥーア大将でした。
指揮権が確率していない時にゼートゥーア大将の個人用使い捨て暗号鍵を使った電文が届きます。
連邦が偽情報を流している上、突然の攻勢により混乱しています。
対応しきれない通信が入ってきています。
最初は連邦の偽情報と思われましたが正規の暗号鍵で解読できてしまいます。
東部方面軍司令部の最高指揮官ハーゼンクレファー中将は判断を迫られます。
通信部門の指揮官クレーマー大佐は本物の暗号鍵で解読できたので命令書を探してみましょうと言ってきます。
ハーゼンクレファーとしては誤報として握り潰したいようですが手間を惜しんで命令無視になるのも不味いと考えます。
電文で指示された金庫を開けるとゼートゥーア大将が書いた作戦計画書が見つかります。
ハーゼンクレファーは自分さえ知らない計画書の存在を連邦が知り得るのか?と考えます。
徐々に電文が正式な命令ではないかと考え始めています。
計画書を読んでみると、これまでの常識を覆す内容でした。
陣地を放棄して逃げろと命じられています。
内容を見たハーゼンクレファーは計画を発動してよいのか悩み始めます。
悩んでいる彼のもとに第二〇三が計画書に基づいて行動を開始したとの報告が届きました。
ハーゼンクレファーは止めろと命じますが部下にもう無理ですと言われてしまいます。
一瞬反乱を疑いますが指揮官がターニャだと分かっているのであり得ないとの結論を出します。
ターニャ達は戦闘狂と思われていますよ。
第二〇三がゼートゥーアの子飼いだと分かっているので計画書が本物である可能性が高まったと考えます。
大部隊を率いる事になるターニャは一生懸命に必要な書類をでっち上げています。
集まった魔導師たちにヴァイスが作戦計画を伝えています。
ヴァイスは騙しているようで後ろめたい気分になります。
ターニャの演説を思い出して魔導師たちの士気が上がるように心掛けていますよ。
作戦への同意は得られたんですが魔導師たちは友軍を見捨てる事に後ろめたさを持っていました。
ヴァイスはターニャに友軍陣地の救援を進言しますが却下されました。
ターニャはそんな余裕は無いと現実を教えます。
連邦の補給部隊を叩く事が帝国軍の全滅を防ぐ唯一の手段だと諭します。
グランツ中尉は帝都を目指して飛んでいました。
帝都に近づくと所属を明かして指示に従えとの通信が届きます。
最重要な将校伝令なんだぞ帝都に入れろと答えるも応じてはくれませんでした。
従うか強硬突破するか悩んでいると帝都防衛の魔導師部隊が飛んできました。
一戦やらかすしかないのか?と迷っていると彼らが予想以上に低レベルであると分かりました。
グランツはあんな未熟な奴らが帝都防衛を行っているのか?と愕然となっています。
グランツに親し気に話しかける通信が入ります。
ターニャは急ごしらえの魔導師部隊を率いて連邦の補給部隊を探しています。
連邦に察知されるのを避ける為に低空飛行を行っています。
二〇三の連中は問題無く付いてきますが実力差が露呈します。
他部隊から加わった魔導師が墜落していきます。
墜落者が増えてしまうんですが作戦は止められません。
そのまま継続する事にします。
>>
第弐章 早すぎたエアランド・バトル・ドクトリン
>>
ターニャは集めた魔導師を三部隊に分けました。
そのうち一つの指揮を取りながら東部戦線司令部との折衝も行っています。
仕事が多すぎてターニャは散漫になっていました。
いつもなら時間経過を忘れる筈は無いんですが休憩時間を失念していました。
ヴァイスとセレブリャコーフに助けられています。
ターニャの予想通りに連邦は夜間に補給部隊を移動させていました。
ターニャの部隊は輸送部隊を発見して攻撃を始めました。
ここで驚きの事実を目撃する事になります。
連邦はトラックにも高射砲を装備して魔導師の襲撃に備えていました。
贅沢な兵器運用にレンドリースの恐ろしさを痛感しています。
想定よりも敵が強かったのですが損害警備で破壊しました。
逃げていく敵の追撃を進言されますが時間の浪費を嫌い次の輸送部隊を探す事にします。
第二部隊が敵を発見できないと報告してきました。
ターニャは不味いなと思いますが敵陣深くまで進出した第二部隊は敵基地を発見して破壊してくれます。
望外の結果にターニャは作戦が成功するかもとの感触を持ちます。
第三部隊が連邦の航空魔導師部隊と接敵しました。
兵站の破壊を目的としているので交戦させるか迷います。
帝国の魔導師と戦える部隊は連邦でも希少な存在だと判断し交戦を許可しました。
そして撃退に成功します。
移動を開始したターニャの部隊が連邦の航空部隊に襲われます。
鈍重な夜間偵察機かと考えますが連邦が送り込んできたのは戦闘機部隊でした。
夜間に編隊を組んで空戦を挑んできました!!
交戦するも敵が一撃離脱攻撃を仕掛けてきたので落としきれません。
ターニャは考え方を修正します。
敵を追って基地に案内してもらう事にしました。
敵の航空基地を発見したんですが驚く事になります。
帝国軍の偵察機が発見できなかった場所に巨大な基地が作られていました!!
ターニャは後々嫌がらせを受ける事を嫌い破壊する事にします。
雪原の上に作られているので燃料に引火しても全てが吹き飛ぶ事は無いと考えます。
降下攻撃をして物資の強奪を目指します。
爆裂術式を撃ち込み燃料を爆発させます。
炎が収まってから降下しました。
敵の基地には塹壕や地下室が作られていました。
連邦が執拗に帝国軍魔導師の攻撃方法を研究して入念な準備を行っていた事が分かります。
生き残っている連邦兵が塹壕から反撃してきました。
囲まれてしまい物資略奪は断念する事になります。
二〇三部隊はまだまだ行動できそうでしたが他部隊に疲労の色が濃くなります。
このままでは貴重な戦力が摩耗してしまうのでターニャは帰投を決めます。
ヴァイスに帰投部隊の指揮を任せて自分は動ける部隊を率いて敵の輸送部隊を探しながら戻る事にしました。
東部方面軍が陣地を捨てて逃げ出すのに手間取っているとの報告が入ります。
ターニャはでっち上げた偽命令に従えた部隊は少ないようです。
連邦の第一梯団が停止したとの報告はまだありません。
ターニャ達が破壊した兵站だけでは不十分なようです。
連邦は相当量の物資を運んでいるようです。
戦果は上げましたが時間も消費しました。
ターニャはグランツ中尉がゼートゥーア大将と面会できるように祈っています。
>>
第参章 嘘つきは泥棒の始まり
>>
連邦の兵站攻撃から戻ってきたターニャは書類と格闘していました。
多くの魔導師を集めた弊害が出始めています。
元々サラマンダー戦闘団には司令部は存在しませんでした。
参謀本部直属なので納得です。
そんな状態でゼートゥーアの命令だと言って偽命令を発行したので困っています。
書類を作成しなければ軍として機能できないようです。
ターニャは終わりの見えない書類仕事に限界を感じます。
休憩する事にして寝床に向かいました。
睡魔が襲ってきて眠れると思っていたところをセレブリャコーフに起こされます。
重要な電話が入っていると言っています。
副官のヴァイスには任せられない案件のようですね。
ターニャが電話に出るとかけてきたのはシューゲル技師でした。
この忙しい時に何の用なんだ?とターニャは不審がっています。
シューゲルからグランツ中尉が困っていたので助けてあげたと言われました!!
帝都に入る段階で帝都防衛部隊と揉めていたのを発見して口利きしてくれたんだそうです。
傍受の可能性を考慮してシューゲルは知己に連絡を取った風を装ってくれました。
グランツにタクシー券を融通したので二〇三に請求書を回しても良いかと言っています。
ターニャは感謝の言葉を伝えて電話を切りました。
ターニャはシューゲルを変人扱いしているので意外なところで役立ってくれたと感激しています。
ターニャの低いシューゲル評を聞いたセレブリャコーフが苦言を呈してきました。
彼女は自分たちの使っている97式演算宝珠の開発者ですよ、もっと敬うべきでは?と言っています。
彼の本性を知らないセレブリャコーフにターニャはグランツの評価を聞いてみるが良いと伝えます。
ターニャとしては本人に会ったグランツが酷評すると思っています。
帝都でシューゲルに助けられたグランツは彼の手配で参謀本部に入る事ができました。
シューゲルは衛兵に話を通してくれたようです。
グランツはシューゲルの事を立派な人格者だと感じています・・・
ターニャの見立てとは違った感想を抱いたね。
神の存在を知ったから性格が人格者に見えるように変化したように思えるね。
ターニャと意見を同じにする人は付き合いの長い人だけになっていそうです。
参謀本部に入りゼートゥーアの部屋に向かっているグランツは呼び止められます。
上級士官にまで話は通っていない事を知りました。
グランツはシューゲルに任務の内容を話しませんでした。
秘匿命令を遵守した結果なのですがシューゲルの厚意を無駄にしてしまったと己の行動を後悔しています。
話すべきだったかも知れないと思っています。
諦めるわけにはいかないので自分はゼートゥーア大将の護衛官だったと叫びます。
騒いだことが幸いしましたね・・・
ウーガ大佐が通りかかりグランツの存在に気付いてくれました。
ウーガはグランツがターニャの部下であると知っていました。
ターニャはからゼートゥーア大将に会えない場合はレルゲン大佐かウーガ大佐に渡せと言われていた手紙を見せます。
ターニャからの手紙を見たウーガは即刻グランツをゼートゥーアに面会させると決めます。
手紙にはターニャは独断専攻したと書かれてありました・・・
ターニャを良く知る彼は東部で重大な事態が起こっていると察してくれました。
グランツと面会したゼートゥーアはウーガに発令を任せた命令の撤回を言い渡します。
ウーガ本人が命令の撤回を行い撤回されたのを自身で確認せよと命じます。
ウーガは混乱していますがゼートゥーアが急げと念押しすると覚悟が決まりました。
急いで通信室に駆け込み先の命令を撤回させました。
命令を撤回したウーガが戻ってきました。
待機していたグランツを交えてターニャは発動して偽命令はゼートゥーアが発令した命令であると確認し合います。
ゼートゥーアが認めた事でターニャが発令した偽命令は正式な命令に変化します。
グランツは黒が白になる瞬間を目撃して内心では「うわー」と思っていますが口には出しません。
ゼートゥーアはウーガにターニャが発令した命令を遵守せよという命令を発令するように命じます。
再びウーガは通信室に向かう事になります。
部屋にゼートゥーアと二人きりになってしまいグランツは怖くて震えています。
ゼートゥーアは事実を知っている人間がどれだけいるのか確認してきました。
シューゲルに助けて貰ったと聞いていたので彼に内容を伝えたのか聞いてきます。
グランツは秘匿命令を遵守してよかった、シューゲルを悪事に巻き込まなくて良かったと安堵しています。
秘密を知る者が二〇三の数名とゼートゥーアとウーガだけであると知らされ満足そうにしています。
ゼートゥーアにはターニャの考えた前線を放棄して帝国軍の全滅を防ぐって作戦の有用性が理解できています。
グランツに黙れと命じて反撃計画を考え始めています。
考えが纏まるとグランツに現在の魔導師部隊の練度を聞いてきました。
書類仕事を続けているターニャは部隊指揮を任せている中隊長からの味方を助けたいって進言に辟易させられます。
何度も連邦の兵站を叩く事だけが帝国軍を壊滅から救う唯一の方法だと教えたのに納得していません。
近視眼過ぎて殺してしまって次席に指揮を任せるか?と悩んでいます。
ヴァイスがいい仕事をしてくれます。
不満を露わにした中隊長を殴りつけて気絶させました。
疲れているので休ませるといってきます。
ターニャは良い部下に恵まれました・・・この様子だとヴァイスはターニャの兵站破壊作戦に納得しているようです。
出撃したターニャは兵站部隊を発見しました。
攻撃開始前にセレブリャコーフからグランツの分まで頑張ると言われます?
不思議に思ったターニャが理由を聞いてみると彼女はグランツにライバル心を持っています。
ターニャがグランツを連れて偵察に行ったのを気にしていました・・・
ペア交代になるかも?と心配していたようです。
ターニャは息が合っているセレブリャコーフを外す気が無いと知って嬉しそうにしています。
ターニャと同行するって事は困難な任務に回されるって事なんですがセレブリャコーフは嬉しそうにしています。
ターニャの人徳なのでしょうか?
攻撃中に留守を任せているメーベルト大尉から急報が届きました。
連邦が東部方面軍司令部に空挺攻撃をしてきたそうです。
連邦が斬首戦術を取って来ましたね。
司令部が破壊されるのは不味すぎるのでターニャはメーベルト大尉に救援に向かえと命じます。
戦闘団の全力で向かえと命じます。
メーベルト大尉が魔導師による援護を求めてきました。
全ての魔導師はすでに連邦の陣地深くまで飛行していました。
今からでは間に合わないと事実を伝えます。
諦めきれないメーベルト大尉は何とかしてと懇願してきます。
ターニャは連邦の増援だけは防いでやると伝えます。
できるなら救援に向かうが過度の期待はするなと続けました。
ターニャは連邦の連中は戦争が上手くなったと嘆いてみせます。
>>
第肆章 プロ意識
>>
サラマンダー戦闘団のアーレンス大尉は戦車の整備の為に後置されました。
彼はそれが不満でなりません。
どうにかして前線に戻れないか?と探っていました。
戦車の整備の為に後方の留め置かれたので修理を急いで欲しいとお願いしています。
東部方面軍はゼートゥーアが南方に戦車を移動させたので戦車不足に陥っています。
何とか自前の戦車隊を復活させようと敵から鹵獲した戦車を修理させています。
急ピッチで修理作業が行われているので所属が異なるアーレンスの部隊の修理は後回しにされてしまいます。
アーレンスは空いている戦車は無いのか?と探し続けています。
東部方面軍司令部の傍に修理された戦車は残っていると嗅ぎつけました。
部隊を移動させようと決めますが移動手段がありませんでした。
ここでターニャの手腕を思い出しました。
移動する魔導師に人員を運んで貰おうと思いつきます。
思わぬ副産物ですね・・・アーレンス大尉が部隊を連れて移動した事が東部方面軍司令部を助ける事になります。
アーレンスは空いている戦車を貸して欲しとお願いに行きました。
整備部体の中尉と言い合いになっていた時に連邦軍の空挺部隊が司令部を襲撃してきました。
アーレンスは破壊される前に戦車を移動させてやるって口実で戦車借り受けます。
交戦を始めたのですが連邦軍の空挺部隊は指揮が激高でした。
東部方面軍司令部にあった戦車砲を鹵獲して砲撃してきます。
アーレンスはもうダメかもと諦めかけています。
そこにターニャに命じられて救援に駆けつけたサラマンダー戦闘団が現れます。
先行してきた歩兵部隊のトスパン中尉と連携して連邦の空挺部隊の掃討を始めます。
交戦を続けメーベルト大尉とも合流しました。
サラマンダー戦闘団の歩兵と砲兵と戦車が揃います。
不利な状況だったのですがアーレンス大尉が動かせる戦車を集めてから戦局が変化します。
戦車には榴弾砲が装備されていました。
メーベルト大尉は大喜びで砲兵を戦車に乗り込ませます。
連邦の魔導師部隊が出てきました。
最初は帝国軍の魔導師を基準にして考えてたので不味いなと思っています。
榴弾砲を撃ち込む事あっさり無力化する事ができました?
砲撃に晒されても連邦の魔導師が飛んで逃げないのも不思議でした。
榴弾であっさり無力化される事実を見て連邦の魔導師が帝国基準の魔導師ほど強くないと判明します。
メーベルト大尉は砲撃でごり押しする事にします。
連邦の空挺部隊が精強だったのは増援が来ると分かっていたからでした。
攻撃を続けていれば増援が来て敵を殲滅できると信じていました。
ターニャはメーベルト大尉との約束を果たしてくれたようです。
連邦が送り込もうとしていた増援は蹴散らされました。
増援が無いと分かり精強だった空挺部隊は戦意を失い撃退されました。
東部方面軍司令部は敵の襲撃を撃退しました。
喜んでいるとゼートゥーアが発した命令が入ってきました。
これまで実行するのを躊躇っていた撤退作戦を即時実行に移せって命令でした。
東部方面軍司令部の士官たちは命令に従わない事を叱責されていると考えます。
出世の目が無くなりそうだと考え焦っています。
形式的におかしな命令だったと議論を始めています。
繰り上げで責任者になってしまったハーゼンクレファー中将は命令には従うべきだと言って部下を黙らせます。
遅れを取り戻すんだ、急いで撤退すると命令を発しています。
彼に責任は皆無なんですが後で叱責される事になるんだろうか・・・
連邦軍の司令部は黎明が順調に進んでいると考えていました。
そこに聞きたくない報告が入ってきます。
帝国軍の陣地を奪えているのですが抵抗が薄いとの報告が届きます。
陣地を捨てて撤退を始めているとの報告も届きました。
更に第一梯団と第二梯団の行動を可能にする為に用意した兵站を襲われているとの報告も入ってきました。
それを実行しているのが師団規模の航空魔導師だと判明しました。
そんな戦力を用意できるのか?って疑問が出てきます。
これまでの帝国は陣地に籠り敵の交戦に耐えやって来た増援を使って反撃してきました。
魔導師を兵站攻撃専門に切り離すとは思えません。
黎明は帝国軍の野戦部隊を根絶やしにする事を目指しています。
敵が逃げてしまえば失敗に終わります。
迷いなく連邦が一番嫌な対応策を取ってきています。
帝国の連中はいつもいつもそうだ。
あいつら戦争だけは上手だな!
ちくしょうめ!と喚いています。
ターニャと同じこと言ってますね・・・お互いに相手のする事が嫌なようですよ。
連邦はまたも負けてしまうのかもしれませんね。
ゼートゥーアは幸せの極致にありました。
ターニャの実行した作戦が大いなるチャンスをもたらしたようです。
横で見ているグランツにはゼートゥーアが何故ご機嫌なのか分かりませんでした。
ゼートゥーアはターニャならこの喜びを分かってくれると確信しています。
グランツに命令書を託すことにします。
喜び過ぎて筆が乗り過ぎている様子ですね。
運命の前借ならば、いくらでも借りてやろう。
私は無責任な借り手なのだからな。
来年の植え付けなど知ったことか。
今食わねば、死んでしまうのだぞ?とか言っています。
何やら不穏な発言ですね。
>>
第伍章 魔導師の墓場
>>
東部方面軍司令部の司令官ハーゼンクレファー中将が命令した事で帝国軍は俊敏な動きで撤退戦を始めました。
目標が定まると帝国軍は強いですね。
連邦軍は帝国軍を撃滅したいんですが難易度が上がりました。
逃げる帝国軍は先に補給が待っています。
追いかける連邦軍は補給船が長くなってしまいます。
深追いしている事になっているな。
ゼートゥーアはそれを逃しませんでした。
ターニャの元にグランツが戻ってきました。
困難な任務をやり遂げた彼を労っています。
グランツから封緘されたゼートゥーアの命令書を渡されます。
内心では見たくないと思っているんですがターニャは正式な手順を踏んで命令書を開封しました。
殊更に手順に拘ったのは中身を確認したくない一心からの行動です。
命令書を読んでみると常軌を逸した計画が記されていました。
急いで作った命令書らしくゼートゥーアが東部で一度使った作戦を転用したと思われる代物でした。
ターニャはやりたく無いと考えますがグランツは作戦を知っているようでした。
無視する事はできませんでした。
ターニャはヴァイスとセレブリャコーフを呼び出し彼らの意見を聞く事にします。
生きて帰れる公算が薄い作戦だったので断る機会を与えます。
部屋に入ってきたヴァイスはニコニコ笑顔でチョコレートと珈琲を振舞ってくるターニャに見て無理難題を言われると覚悟します。
ターニャが自分の事を気遣って意見を聞いてくれていると察したヴァイスは内容を聞く前に志願しますと宣言しました!!
ターニャは驚いていますね。
セレブリャコーフに意見を求めると彼女は改めて意見を聞かれるのは心外だと言ってきます。
彼女とターニャはライン戦線からの付き合いです。
とっくに志願しているとモノと認識していたんですが?と不思議そうにしていました。
戦友二人が付いてきてくれると分かりターニャは嬉しくなっています。
部隊にはウォーモンガーしかいないのかと嘆いてい見せます。
セレブリャコーフが粋な意見を示します。
レルゲン大佐だけは常識人ですよと言ってきます。
三人で馬鹿笑いしてターニャは覚悟ができました。
ヤルしかない。
ゼートゥーアの示した作戦は三個師団規模の魔導師を投入して連邦の兵站を止めるってモノです。
帝国にとって貴重な輸送機を使い捨てにして魔導師を三つの兵站要所に降下させる事にしました。
ゼートゥーアの明日の事は知らないって発言はこれの事だったのね。
ターニャは帝国軍が再び輸送部隊を編成するのは無理だなと気が付きます。
生き延びる為に必要なんだからゼートゥーアの判断は正しいとターニャは納得します。
主要メンバーの参加が決まったので部隊長クラスの魔導師を集めて作戦計画を説明しました。
ターニャは必要な作戦なんだと説明しています。
降下作戦の準備を始める事になるんですが兵站攻撃も継続する事になっています。
作戦を連邦に知られない為に部隊長には出撃を禁止しました。
部下に兵站攻撃をやらせている間に降下作戦の準備を進める事になりました。
降下作戦に参加する為の増援魔導師がやって来ます。
その中にターニャの知己が居ましたよ。
ライン戦線でジャガイモに当たって退役する事になったタイヤネン准尉が居ましたよ。
タイヤネンは一度は退役したそうですがターニャが勲章を与えてとお願いしたもんで再雇用され後方で魔導師の育成に当たっています。
タイヤネンに新人の育成度合いを聞いてみる事にしました。
飛行時間が200時間と聞いて期待したんですが育成方法を連邦式に変更したんだと言われます。
ターニャは絶望的な気分になっています。
タイヤネンからは連邦式を取り入れたのは促成する為だと言われて納得するしかありませんでした。
お互いに生き残ろうと言って別れます。
ターニャ達は輸送機で出発する事になりました。
整備不良の輸送機を目的地まで飛ばす事の出来る機関士とパイロットは貴重な人材です。
ゼートゥーアは彼らを無茶な作戦で消費する事を嫌いました。
パイロットと機関士は離陸直後に脱出する事になっていました。
ターニャ達の乗っている機体のパイロットは一緒に行きたいと懇願してきました。
ハンス・シュルツ空軍中尉と名乗ります。
シュルツは片道飛行であると知っています・・・それでも愛機と命運を共にしたいと言っています。
見事な覚悟なんですがターニャは上の命令だから従って欲しいとお願いしています。
シュルツがゼートゥーアの陰口を叩きました。
それにグランツが強烈な反応を示します。
彼もゼートゥーアに振り回された経験を持っているので同じ苦労を分かち合える仲間を発見したと大喜びしています。
返ったら愚痴を言い合おうと約束していますね。
彼は戻ってくるつもりのようです。
ターニャとの短いやり取りでシュルツは彼女の偉大さに気付いたようですね。
小さな巨人と評しています。
ターニャの答えが活かしています。
小柄だから的が小さくなり被弾率を割り引いて貰える人生の得だろうと答えています。
歴戦の勇者って感じですね。確かに強いんだよなー。
被弾率が低いので魔力消費が抑えられ稼働限界を伸ばしているように思えます。
複数の輸送機に分散して目的地を目指す事になっています。
自動操縦に任せて飛んでいたんですが方向を微調整する必要がありました。
ターニャは苦労しながら両機に命令を出していまっす。
タイヤネンが乗っている輸送機がトラブルに見舞われます。
目的地に到着するのが困難になりました。
ターニャは不時着する事を最優先にしろと命じます。
作戦開始前まで姿を隠す事を厳命し行動の自由を与えました。
ターニャ達に合流するも逃げるも好きにしろって事だね。
意外なほどに優しいんだよな。
輸送機を無事に目的地に届ける事に付かれたターニャは早く目的地に着かないかなとの愚痴を零します。
それを聞いてしまったグランツは戦慄しています。
無理筋な作戦でも戦意旺盛なんだなと驚いています。
ターニャは慣れない輸送機を飛ばす事よりも魔法をぶっ放す方が楽だと言いたかっただけのようですけどね。
二度とこんな命令には従いたくない零すターニャにヴァイスが戦慄しています。
彼はターニャは生き残れると疑っていない事に驚いていました。
ターニャは死ぬ気も無いのに死ぬ可能性を考えても仕方ないだろと答えます。
前向きな姿勢と言えなくもないね。
目的地に上空に到着しました。
ターニャは「我ら帝国軍航空魔導師。我に抗いうる敵はなし」と部下を鼓舞して先陣を切り降下しました。
連邦軍は帝国の襲撃を警戒して備えていました。
連邦軍第一五三航空魔導連隊が連邦軍の救援を傍受しました。
連邦は帝国の航空魔導師の数は少ないと考えていました。
帝国が、第二方面軍司令部、ノルク駅、バルク大橋、の三か所を同時に攻撃していると分かります。
三個師団規模の航空魔導師を投入していると判明します。
一五三航空魔導師連隊のセルゲイ大佐は救援に向かう事にします。
ノルク駅は帝国軍の占領されました。
第二方面軍司令部も占領されかけています。
辛うじて抵抗しているバルク大橋に救援に向かう事にします。
向かっている最中も敵の魔導反応を照会を行っています。
そしてバルク大橋を攻めている部隊にラインの悪魔が居ると掴みます。
内務調査局からラインの悪魔はイルドアに居ると報告されていました。
セルゲイは己の不運を呪いながら接敵します。
珍しく数で圧倒しているターニャは数の差を生かした連携で連邦の航空魔導連隊を倒しました。
割と簡単な仕事だったようです。
帝国軍は連邦のチョークポイント(連絡線)三か所を占拠しました。
作戦の第一段階は成功です。
>>
第陸章 薄氷の「勝利」
>>
ゼートゥーアはターニャの先見の明に感激しています。
帝国軍は彼女の専横によって救われました。
かつてフランソワ艦隊を取り逃がした経験から学び独断専攻を行ったんだなと納得しています。
軍機違反に目をつぶる事など造作もないと思っているようです。
ターニャの独断専行をゼートゥーアの命令として追認するにはランドル大将の戦死は好都合でした。
ゼートゥーアは先輩に対して良い時に死んでくれたと思ってしまう自分に気付き愕然としています。
親友のルーデルドルフを手に掛けた事によってタガ外れてしまったようですね。
ウーガ大佐が笑える電文が入ったと言ってやって来ます。
ウーガが持ってきたのはターニャが発した「我ら帝国軍航空魔導師。我に抗いうる敵はなし」って電文でした。
ゼートゥーアの馬鹿笑いを始めています。
丁度良いと言って帝国中に喧伝する事を命じました。
ほんとゼートゥーアは抜け目ないな、ターニャの発言は帝国軍の実情を隠すのに利用されるようです。
黎明を止める事に成功したのでゼートゥーアは勝利を喧伝する事にします。
帝国軍は死にかけている事を隠すために殊更に余裕を滲ませて帝室に報告を行いました。
嘘は吐いていないので疑われる事もありませんでした。
連邦の連絡線を絶った事を報告します。
反撃計画も用意してあるとも報告しています。
しかも実績がある作戦計画なので成功する公算が高いとまで報告しました。
残念ながら時期が悪く泥濘期間に入ってしまうので包囲殲滅戦に至れなかったと報告しました。
投入する戦力が無いんだよねとは口が裂けても言えないからね。
連邦のクトゥズ大将は帝国軍が航空魔導師を使って空挺攻撃をしてくる事を想定しました。
だから魔導師を分散させてたんですが裏目に出ました。
彼が常識的な規模の航空魔導師による反攻を想定していました。
ゼートゥーアが魔導師を千人単位で投入してきたので防衛計画が破綻してしまいます。
補給を絶たれて黎明は停止します。
本国に近い第二梯団が転進して占拠された要所の奪還に動き出しました。
ターニャの占拠したバルク大橋にも第二梯団が迫ってきました。
連れているのは魔導師だけなので塹壕を用意するのにも手間取っています。
連邦軍を飢えさせるためには占拠した場所を死守する必要がありました。
ターニャは敵に対して先制攻撃を仕掛ける事にします。
率いる部隊が大きいので管制が厄介だと考えています。
帝国軍が占拠した第二方面軍司令部から通信が入ってきました。
ライン戦線で馴染みのある管制官が常駐している事を知らされます。
全ての管制業務を行ってくれると分かりターニャは仕事がやり易くなったと安堵します。
軽口を叩き合い旧交を温めてから先制攻撃に向かいます。
敵の航空魔導師部隊を目指している時にラインコントロールから報告が入ります。
摂取した連合王国製の機材を使っているんだが奇妙な反応があると言われます。
ターニャはプロの感覚を信じて部下に偵察を命じました。
連邦の航空魔導師は高度7500を飛行していると分かっています。
それと合わさる位置を低空飛行している部隊を発見しました。
連邦軍は工夫をしてきましたよ。
高度7500に新兵を配置して囮にしてきました。
帝国軍が上に向かった隙に低空で接近した部隊が拠点を制圧する作戦だと露見します。
敵の作戦を事前に知る事ができてターニャはニンマリしています。
ターニャは囮につられたふりをして本命の部隊を高度差を利用して撃滅しました。
兵力差があり過ぎるので帝国軍魔導師部隊は休む間もなく連戦を続けます。
少ない休息時間になると泥の様に眠っています。
蹴り飛ばさないと目覚めないくらいに疲弊していました。
魔導師の一人がターニャにアンフェタミンとかメタンフェタミンの服用を勧めてきました。
長生きしたいと切望するターニャは丁重に断っています。
部下の疲労が色濃いと知ったターニャは飲酒飛行を認める事にします。
自分が認めっとなっては後で譴責されると心配になり法務官を探す事にします。
法務課が居ないと分かると大学の法学部を卒業している魔導師を探す事にします。
セレブリャコーフが呆れていますよ、魔導師は士官学校から魔導学校の出身ですよと呆れています。
最優先で探してこいと命じると一人だけ居ましたね。
指揮官であるターニャに呼び出されて緊張しているようですね。
飲酒飛行を認めさせる書類を作成して欲しいとは言い難いのでターニャが躊躇します。
それを見た魔導師は虐殺とか捕虜を処分しろと命じられると勘違いしています。
ターニャから飲酒飛行を認める書類を作成しろと命じられて驚いています。
今さらですねと言ってきますがターニャはルールを守る必要性を説きました。
飲酒飛行が可能になったんですが疲労を抑制するには至りません。
魔導師による奪還作戦が失敗した連邦は全力で嫌がらせ砲撃をしてきました。
夜になっても睡眠を邪魔する目的で砲撃してきました。
連邦軍に連合王国のジョンおじさんが戦況把握と新兵器のテストを兼ねて派遣されていました。
連合王国は連邦の勝利を疑い始めています。
最初は連邦が勝ちすぎる事を懸念していたんですが帝国の反撃作戦が的確に機能していくので勝てるのか心配に成っています。
ジョンは魔導反応を追尾して爆発する新型砲弾を持ち込んでいました。
目的通りに機能して塹壕に籠っている魔導師を爆発に巻き込めたことを観測しました。
効果があると分かったのでもっと持ってくればよかったと後悔しています。
新型砲弾は製造コストが高いので量産化するか決めかねていました。
有用とのデータが取れたので量産化されるかも知れません。
敵が新型の砲弾を使ったと知ったターニャは接収する事を決めます。
連邦の陣地に突撃を慣行する事にしました。
この動きを察知したジョンおじさんはさっさと逃げる事にしました。
連邦の砲撃が暖かい食事を作るのに使っていた鹵獲したフィールドキッチンを破壊してくれました。
ターニャは食事の質が下がる事を懸念しています。
仕返しに連邦の重砲を破壊しようと考えます。
セレブリャコーフを無理やり寝かしつけたので自分で作戦の準備をする事になります。
ラインコントロールに敵重砲の位置を聞こうと尋ねるのですが返信がありませんでした。
連邦の砲撃に撃たれてしまったのかもしれません。
或いは機材トラブルで通信ができなくなっているのかも知れません。
不味いぞと悩んでいるとヴァイスがゼートゥーアからの命令を持ってやって来ました。
ゼートゥーアは占領地を放棄して帰投する事を命じてきました。
泥濘期間に突入してしまったので連邦を殲滅する部隊を送り込めない、撤退しろと命じてきました。
ターニャはゼートゥーアの意図をくみ取りコソコソ撤退するのではなく悠々と凱旋する事にします。
ターニャは占領地を引き払い帰投する事にします。
途中で連邦軍を叩けるだけ叩いて悠々と帰投します。
勝利者が凱旋する風を装っています。
世界は帝国軍に余力があると誤解する事になりそうです。
将校会館と名付けられた納屋に戻ってきたターニャとセレブリャコーフは体力の回復を図ります。
食事をして寝るを繰り返して体力の回復を図っています。
目覚めたセレブリャコーフが今回の作戦は酷かったと言ってきました。
空挺アレルギーになりそうですと零す彼女にターニャは冗談を飛ばします。
軍医に申告して処方箋を貰え。
予備のパラシュートが貰えると言っています。
二人は笑いながら書類仕事に向かいます。
強い、精神的に。
>>
終章 ゆめうつつ
>>
レルゲン大佐が東部にやって来ました。
飛行中に輸送機の窓から地上を見下ろして眉を潜めています。
悲惨な光景が広がっているんですがレルゲンの目には総力戦とは違う何かを目指して戦った跡だと写っています。
得体の知れない何かを感じ取ったレルゲンは生物的な嫌悪感を抱いています。
彼が東部にやって来た目的はターニャに悲しい知らせをする為でした。
命令詐称の罪によって勲功が抹消されると知らせる必要がありました。
レルゲンは内実を知っているのでどうやって伝えようか懊悩しています。
基本的に良い人なんだよね。
伝え方が纏まる前にターニャと出会ってしまいました。
飄々とした態度で接しているターニャに対してレルゲンは理解を求める口調で話し始めました。
分かって欲しいって感じですね。
ターニャの機転で帝国軍が助かった事には感謝しているが独断専行の咎により功績を抹消すると伝えます。
ターニャは必要だったから独断専行したんだと答えます。
レルゲンは抵抗すればターニャの軍歴に傷がつくと答えます。
ターニャの返答が活かしています。
祖国が残ればこその軍歴でありましょうと返答しました。
ターニャの独断専行が無ければ帝国は負けていたのは事実です。
レルゲンは事実を捻じ曲げる帝国軍の制度に懊悩しています。
そして助かったと本心を伝えました。
レルゲンからターニャを尊敬していると言われます。
ターニャは尊敬すべき先達に高く評価される事を誉としたいと答えました。
レルゲンはゼートゥーアが前線にやってくると教えてくれました。
皇帝陛下もご一緒のはずだがなと付け足します。
レルゲンの発言を聞いてターニャは驚いていますよ。
彼の発言はゼートゥーアのおまけとして皇帝が付いてくると聞こえました。
レルゲンは戦争に染まり過ぎてしまったようです。
イルドア軍のガスマン大将が黎明を失敗に終わらせたゼートゥーアの手腕に震えています。
イルドアはアライアンス軍によって帝国に占領されてた首都を奪還しました。
しかし喜んでいる場合ではないようです。
占領時にゼートゥーアは物資をイルドアから挑発していきました。
物資不足になったので北部のイルドア人を難民として押し付けて戻っていきました。
その前に帝国軍はイルドアの物資を使って難民に手厚い施しを行ってから戻っていきました。
物資不足に陥っているイルドアは難民を押し付けられた形です。
侵略者の手から逃れてからの方が困窮生活を強いられているとの不平を出すわけにはいきません。
イルドア軍は難しいかじ取りをしています。
ゼートゥーアが攻めてきたのでなし崩しで参戦する事になってしまいました。
アライアンス軍に組み込まれてしまったので戦わない訳にはいきません。
できればゼートゥーアと直接戦いたくない考えています。
帝国の窮状を知っているので待っているだけで敵が交戦不可能になると考えています。
しかしアライアンス軍に組み込まれているために戦後の交渉力を考えると戦わないわけにもいきません。
イルドアは滅びか勝利かと考えている帝国や連邦のように全面戦争をしたいわけではありません。
困った事に戦うとなるとイルドアが戦場になります。
苦労して勝利を得ても同盟国に恩を着せられ焼け野原を手にする事になりそうです。
それは困るのでガスマン大将はアライアンス軍の重鎮を集めて政治的な戦いを挑もうと画策します。
集まったのはミゲル大佐、ドレイク大佐、カランドロ君です。
最初にミゲル大佐を部下を含めてイルドアに引き抜きたいと言いだします。
これにはドレイク大佐も驚いています。
ミゲル大佐は自分も部下も連邦に家族を残してきていると丁寧に断りを入れました。
ガスマン大将は相当な悪だくみを考えているようですよ。
連合王国ではハーバーグラム少将が懊悩しています。
連合王国は帝国軍を暗号解読に成功しています。
これは最大限に秘匿すべき事項です。
連合王国は帝国軍は暗号を解読されていると気付いていないって前提で動いています。
黎明が発動されてからの帝国軍の通信を傍受していたのですが奇妙な事が判明しました。
通信が流れてくる電文から帝国軍は最悪でも春まで連邦の攻勢は無いと読み取れていました。
黎明は油断している帝国軍野戦部隊を瓦解させる筈だったんですが即興で対応されてしまいました。
黎明が発動されてから帝国軍が使い捨ての暗号を使って「第四号防衛計画」なる作戦を実行に移したと判明します。
これを知ったハーバーグラムは帝国軍は暗号が解読された事に気付いていて壮大な似せ情報を流していると疑い始めます。
解読した過去の電文には「第四号防衛計画」って単語は存在しませんでした。
帝国軍は黎明の存在を予想して事前に計画書を用意していた可能性が出てきます。
ハーバーグラムの悩みは深まります。
ゼートゥーアの事を連邦軍の戦略攻勢を「読んでいた悪魔」なのか「即興で対応してのけた天才」なのか判断しかねています。
実際に黎明を打開しうる手段を実行に移したのはターニャなんですけどね。
ゼートゥーアは実像以上に敵国で恐れられています。
ゼートゥーアの意図通りに恐れられる事に成功しているわけだね。
作戦を考えて実行に移したのがターニャだと知ったらハーバーグラム少将の常識は消し飛びそうだよね。
意図せぬタイミングでゼートゥーアがターニャに会いにきました。
驚いたターニャは隙を晒してしまいます。
皇帝のお供だよと言ってきたゼートゥーアに、そうでしたね、我々は帝国でありますからな、と答えてしまいます。
隙を逃さないゼートゥーアは楽しそうに帝室への尊崇と忠誠心を忘れたかね?と聞いてきます。
シマッタと思いつつターニャは宮中儀礼を戦場で無くしてしまいましたと答えます。
ゼートゥーアが今の帝室をどう思うか?と質問してきました。
ターニャは率直に存在感が無いと答えます。
ゼートゥーアは不遜な発言だと咎めてきますが本心ではないようですね。
ターニャはゼートゥーアに帝室への尊崇の念があるのか質問します。
ゼートゥーアは軍人として尊崇の念を抱いていると答えます。
ターニャはそれではゼートゥーア本人はどう思ているのか分からんなと感じています。
二人の会話は本心を隠しながらなので分かりにくいんだよね。
ターニャは何を考えているのか質問します。
それに対してゼートゥーアが昔話付き合えと続けます。
ゼートゥーアから自分とルーデルドルフは参謀本部の外様だったと語られます。
若い頃のゼートゥーアの人事考課は「学者向き」だったそうです。
観戦武官として色々な場所に行かされたんだそうです。
開戦時はルーデルドルフと共に准将だったそうです。
それで専務参謀次長という肩書を貰ったそうですよ。
ノルデン、ライン、ダキアと帝国軍は間違いを犯し続けた結果、上の席が空席となりました。
結果としてゼートゥーアが参謀本部の主となりました。
准将程度の末席だった自分が帝国の心臓部とは笑えない冗談だ。
だからこそ逆説も生まれ得る。
専務参謀次長、人々は今次大戦においてずっと中枢にいたと誤解するだろう。
ターニャは内実は違うと答えますがそれが分かるのは左官でも少数だと言われます。
レルゲンやウーガの事をゼートゥーアは参謀本部の本流と捉えています。
参謀本部の本流で自分やルーデルドルフの下に付いているので彼らは気付いていると答えます。
ゼートゥーアは人々のこの誤解を利用しようとしているようです。
だからこそ帝室とは親しくお付き合いすると言ってきます。
ターニャはゼートゥーアの自己犠牲精神に気付きました。
無理心中ではありませんかと伝えます。
ゼートゥーアは帝室と仲良くして分り易い諸悪の根源になろうとしています。
ゼートゥーアは帝室が滅んでも国が滅びるわけではないと考えています。
ターニャは皇帝にもその覚悟があるのですか?と問いました。
ゼートゥーアは悪辣にもまだ無いんじゃないか?と答えました。
ターニャは混乱し始めます・・・「は?・・・は?」と問い返しています。
ゼートゥーアは形の上では大勝利だからな、帝室に喜んで貰えたので幸せな気持ちで東部を巡察していただく。
ついでに自治評議会の朋友たちに夢と希望のバーゲンセールを行うと言ってきます。
ターニャはあまりにもえげつないと感じています。
帝室は勝ったと本気で思っていて、自治評議会には皇帝が勝てると本心から確信していると読み取らせました。
余りにヒドイ詐欺を知ってターニャは恨まれますなと答えます。
ターニャがゼートゥーアが軽口を叩き過ぎるようになったとの感想を述べます。
それに対して彼は道化を演じるのだから当然だと答えました。
軍人が英雄を真面目にやるよりも道化をやって無駄飯ぐらいな世界が帝国には望ましいと続けました。
話が脱線したと言ってゼートゥーアが本題に入ります。
ゼートゥーアがターニャに頭を下げてきました。
よくぞ独断専行してくれた、よくぞ帝国を救ってくれたとお礼を伝えてきます。
黎明の発動を知った時にゼートゥーアは諦観に包まれました。
ターニャの独断専行は福音だったと言っています。
ターニャは国が救われたと考えても良いのか問いかけます。
ゼートゥーアは首の皮一枚繋がっただけだがその一枚の差が大きいのだと答えます。
帝国が貧しくなったって話になります。
ゼートゥーアは勝てない戦争が悪いんだと言ってきます。
誰だってそうだろと言われてターニャは首を傾げています。
自分は平和を愛いしているのでそうとは思えないと言いたいようです。
ゼートゥーアは自分のそうだがターニャは平和を愛しているとは意外だと言ってきます。
ターニャとしては心外だと思ったようです。
ルーデルドルフが平和になったら絵本を出させてくれるって話を始めます。
その話を一緒に聞いていたゼートゥーアは感慨深げにいいかも知れん、私も今から絵本の物語に手を付けてみるかと言い出しました。
ターニャは意外そうに「閣下が?」って疑問を呈します。
ゼートゥーアは老人に何とも辛い言い分だ、夢の無い事だと言ってしょげています。
ゼートゥーアがターニャと文化的な話で盛り上がれるのが意外と言ってきます。
自分もターニャも暴力装置のパーツだというのにと不思議がっています。
これに対してターニャは文化と暴力が相まってこそ恐るべき力になりうるものですと答えました。
ゼートゥーアは興味をひかれています。
時間があれば論文に纏めて欲しが今は時間が無い。
感謝しているが無理難題を頼む事になると言ってきます。
内心でゲンナリしながら何なりと答えました。
ゼートゥーアはこれからも暴れて欲しい、強大な帝国軍の幻影を世界に実物として見せつける必要がある、と言ってきます。
ターニャは、武威をもって世界を恐怖させて見せましょう、と答えました。
素晴らしいと評価してくれます。
当面は昇進も栄典も確約できないが私の権限と名前はある程度まで使わせてやれるだろう。
相応の結果を期待しても?と言ってきました。
ターニャは、大変なご高配を、と答えます。
ゼートゥーアは西方で励んでもらいたいと言ってきました。
主戦場は東部なので東部では無いのですか?と質問します。
ゼートゥーアは西部での活躍に期待すると返します。
主戦場を離れられると知りターニャは喜びます。
ゼートゥーアが帝室と無理心中を図るときに下の立場にいるターニャらは相当に逃げ伸びる機会に恵まれそうです。
避けがたい敗戦にあってゼートゥーアが責任を引き受ける覚悟が伺えて実に素晴らしいとターニャは感激しています。
自己犠牲精神的なまでの責任感は評価できますがターニャの感性では理解が難しい部分があります。
究極的な意味においては仕え甲斐のある上司だと言っていいとターニャは考えています。
そんなゼートゥーアから望外の言葉を掛けられます。
随分と無理を頼んでいるが戦後も含めてこき使う事になるだろう、多大な労を頼むことになる、と言われました。
戦後にも仕事があると知ってターニャは安堵しています。
きちんと評価されて適切に認められるのはなんともうれしい限りだと感じています。
微かに目元に涙をにじませるゼートゥーア大将がきれいな返礼を返してくれることに誇りすら感じてゼートゥーアと別れます。
使え甲斐のある上官に信用されて誇らしい。
戦後の算段が立てられるという事実がターニャの安心材料になっています。
安堵とともに「息あるかぎり、希望を捨てる必要はなし、か」と呟きました。
ターニャは明るい未来を想い描いている様ですがゼートゥーアの真意を読み間違えてないと良いよね。
成分表
成分 | 含有量(5:多い、1:少ない) |
幼女 | 5 |
美少女 | 3 |
おじ様 | 4 |
戦略 | 5 |
作戦 | 5 |
訓練 | 1 |
AmazonLink: 幼女戦記 14 Dum spiro,spero ‐下‐
39107
返信削除AMICLEAR