ラノベの感想) 86―エイティシックス―Ep.13 ─ディア・ハンター─ (電撃文庫)


概略:
連邦軍にはフレデリカを使ったレギオン停止作戦を極秘裏に進行する余裕がありました。
しかし共和国が作った人間爆弾とノゥ・フェイスとなったヴァーツラフ・ミリーゼの巧妙な作戦によって追い詰められます。
共和国の高級軍人だったノゥ・フェイスは連邦の弱点を熟知していました。
連邦は多民族国家なので内部に分断を抱えて込んでいます。
ノゥ・フェイスは安全だと思われている後方に超長距離砲撃を繰り返して連邦の内部破壊を企図します。
連邦市民は浮足立ち自主的に首都への避難を始めます。
国内の雰囲気が悪化している状況で共和国が作り秘匿していた人間爆弾が起爆し始めました。
エイティシックスの少女を使った仔鹿と呼ばれる爆弾です。
チトリという心優しい仔鹿は仲間を率いて故郷に向かい被害を最小にしようと考えます。
しかし仔鹿も一枚岩ではありません・・・中には共和国に復讐したいと考える個体も居たんだよね。
共和国人への蔑視の目が強まります。
ノゥ・フェイスの行っている攻撃と人間爆弾の恐怖によって連邦は出身地による小集団に細切れにされていきます。
多民族国家だという弱点が露呈した連邦は軍まで同じ理由で瓦解する事になります。

レーベル:電撃文庫
発行日:2024/1/10
著者:安里アサト
イラスト:しらび
ISBN:
雰囲気:希望、時期、優秀な敵司令機、人間爆弾、反目、狂乱、悪意、瓦解、壊走、分裂、横死、繰り返し

シン、ライデン、ヴィーカはフレデリカを使ったレギオン停止作戦の相談をしています。
レギオンの司令部を探り当ててフレデリカに停止命令を出して貰う作戦です。
フレデリカの出自を知っている者だけで進めていたのですがいよいよグレーテやレーナにも開示する時がきました。
作戦に参加する部隊の抽出もできそうな目処は立ったようですよ。
レギオンの攻勢に耐える日々ですがシン達が最前線に出撃していないので少し余裕はありそうです。

共和国が作り出していた悪辣な兵器が稼働を始めてしまいました。
共和国の白銀種(アルバ)はレギオン戦争に勝てると思い込んでいたので生き残ったエイティシックスを始末する兵器を開発しました。
エイティシックスの少女たちに外科手術を施して自身の細胞をニトログリセリンに変質させる人工細胞を植え付けました。
生き残ったエイティシックスの恋人になって諸共に吹き飛ぶ事を企図しています。
えげつないですねー、もう最悪です。
戦争終結に備えて用意してあった仔鹿(こじか)と呼ばれている少女たちが人間爆弾への変質を始めました。
どうやら時限式で指定した年数が経過すると人工細胞が活性化して爆弾への変質を始めるみたいです。
レギオンに耐用年数があると考えていたので終戦時期を予想して設定したようだ。
チトリという心優しい仔鹿が他人を巻き込んで巻き添えを出す事を嫌います。
仲間を集めて人知れず爆発して果てようと考えました。
チトリの想いに賛同する仲間もたくさん居たんですが全員が集まる事はできませんでした。
住んでいる場所が遠くて集合できなかった者と復讐心に駆られてあえて街に残る者が出ます。
チトリ達と出会ったエイティシックスのユートはアマリに報告を任せてチトリ達の逃避行に同行する事にします。
故郷に帰りたいっていうチトリ達の願いを叶えて上げたいと思ったからでした。

逃避行に参加できなかった仔鹿が爆発し始めました。
爆弾化すると体内構造が変質するのか体調が悪化して動けなくなります。
誰も巻き込みたくないと思っているんですが動けなくなった仔鹿は街中で倒れてしまいます。
心配した連邦人のお姉さんが助け起こそうとしてくれます。
近くで見ていた商店のおじさんも救護しようと駆け寄りました。
この時点ではまだ人としての優しさを持っていました。
仔鹿は動きにくい口を動かして必死に逃げてと伝え爆発しました。

事件として捜査が始まります。
爆発した仔鹿の「逃げて」って訴えを商店のおじさんが証言しました。
爆発した本人が周囲を気遣っている事が分かり不可解な事件だと思われます。
その後も街を出られなかった仔鹿の爆発が続く事になります。
誰も居ない畑のど真ん中で爆発した仔鹿も現れていよいよ謎が深まります。
アマリからの報告を受けたけど上に報告しなかった憲兵が関係性に気が付き会いにきました。
アマリはチトリ達がエイティシックスで白銀種によって人間爆弾にされたと伝えました。

レギオンの指揮官機が優主な個体に変わりました。
共和国軍大佐だったヴァーツラフ・ミリーゼが総指揮官機になりました。
これってレーナの父親だよな・・・
元高級将校の<羊飼い>です。
敵国だった連邦の内情を熟知していました。
これまでのエイティシックスから作った<羊飼い>とは知識量と思考が違います。
ノゥ・フェイスは徹底的に連邦の弱点を突く嫌がらせ攻撃を始めました。
連邦の最大の弱点は多民族国家って事です。
しかも民主制に移行して帝国から連邦にお色直しした時点で問題の解決をしていませんでした。
これはエルンスト大統領を擁立して連邦を陰から操ろうと画策した貴族連中の間違いだね。
小さな断裂を残す事によって民衆が一致団結した貴族を打倒するのを防ごうと考えました。
まあ平時なら有効な手ではあったけど戦時には弱点になりうるよね。
貴族連中には民衆は馬鹿で盲目な家畜だって奢りもあったのかもな。
ノゥ・フェイルは超長距離砲撃でその弱点を徹底的に突いてきました。
戦闘属領から離れた安全だと思われていた後方に砲撃の雨を降らせました。
直撃させて人々を殺すことは意図していません。
意図しているのは恐怖によって連邦人の本性をさらけ出させて分断を加速する事でした。
ノゥ・フェイスの作戦は見事に的中します。

少女の自爆事件と後方への超長距離砲撃で連邦内の雰囲気が悪化しました。
誰もが分かり易い敵を求めています。
前線の兵士の間にも同じ雰囲気が醸成されてしまいました。
後方の司令部でセオとお茶しているアネットの元に憲兵がやってきました。
アネットを保護すると言って無理矢理に連れて行こうとします。
セオが抵抗しますが保安上の措置と言われてしまい詳しい理由は教えてもらえませんでした。
同じ流でレーナも保護される事になりました。
そろそろ前線基地に戻ってシンと再会できた筈なんですが・・・
レーナが連れていかれたのは司令部の豪華な客室でした。
そこでアネットと再会する事になりました。
仔鹿事件によって共和国人に対する反感が高まりレーナとアネットは標的になりそうなので保護したと言われました。
レーナは脱出手段を探して部屋中を調べて回ったので歩哨が立つようになりました。
本人達は自由を奪われて不満タラタラだと思いますが冷静な視点に立てば合理的な措置とも思えます。

レーナとアネットが拘束されたと知ったシンは怒りを覚えます。
戦隊指揮官としての責任感からブチ切れるのを堪えています。
グレーテに拘束を解くように進言してもらう事にします。
我慢しているんだけど、レーナを迎えに行けない自分に苛立ちを覚えていきます。
だもんでダスティンとアンジュが破局しそうな難局に介入できませんでした。
爆弾事件を起こしているのが仔鹿と呼ばれるエイティシックスの少女だと判明したので顔写真が公開されました。
それを見たダスティンがチトリに気付きます。
彼とチトリはお隣さんで幼馴染でした。
少年期のダスティンはチトリをお姫様だと感じていました。
チトリの方もダスティンを騎士のように感じていました。
まあ仲良しな友達って事だね。
ダスティンはチトリを見捨てたって後悔の念を持っていました。
チトリ一家が収監される夜に母親に夜中に窓の外を見るなと言われたのでカーテンを閉めて寝ました。
母親が青い顔で訴えるのでダスティンは従ってしまいます。
翌朝チトリの家を見ると誰も居ませんでした。
学校に行けば会えると思い向かったのですがチトリは来ていませんでした。
それが彼女との別れになりました。
ダスティンはチトリを助けたいと思うんですがどこにいるかも分からないと思い無力感に包まれます。
部隊に戻ってきたアマリがダスティンを後悔させたくないとの思いからチトリの伝言を伝えます。
既に冷静でないダスティンは最後までチトリの伝言を聞きませんでした。
アンジュがアマリとダスティンの会話を偶然立ち聞きしてしまいます。
ユートに連れられて移動しているチトリの移動経路が分かったのでダスティンは会いに行こう考えます。
アンジュがダスティンを止めました。
無謀にも単独でレギオン支配域に向かおうとしてたので当然ですね。
アンジュはダスティンに無駄死にして欲しくなくて止めました。

心優しいアンジュはチトリを見捨てるとダスティンの心が傷つくと分かっています。
自分が悪役になるので無茶をしないでくれと訴えました。
チトリの事だけで頭が一杯なダスティンはアンジュの優しさを否定して彼女を深く傷付ける暴言を吐いてしまいます。
最悪な事に背を向けながら暴言を吐きました。
アンジュが走り去る音を聞いて暴言に気が付きました。
二人を心配していたフレデリカが駆けつけてダンスティンを猛烈に避難しました。
レーナと離れ離れになってなければシンが介入して拗れる前に何とかしたんだろうけどさ。

ノゥ・フェイスの的確で嫌らしい攻撃が継続されています。
彼の作戦は安全な後方で仔鹿による自爆事件が同時期に起こった事で効果が上がりました。
当然ですが仔鹿も一枚岩ではありません。
中には共和国に対する復讐心を持っている個体も存在しました。
丁度生誕祭の時期で街には幸せな光景が広がっていました。
買い物客で溢れる広場の真ん中で爆発の効果を高めるネジ釘を抱えた仔鹿が爆発しました。
彼女は多くの市民を巻き込む事で共和国人が連邦内で迫害されると考えて爆発しました。
確信犯ってヤツだね。
これまでの爆発事件で最大の被害者を出しました。
彼女の復讐は遂げられます。

連邦の分断が露わになってしまい軋轢が生じています。
ヤトライ・ノウゼンがレーナの元にやってきて今の連邦をどう思うか質問してきました。
ヤトライは自由と博愛を標榜する民主国家の主たる市民の馬鹿さをどう思うのか問いたいようだね。
エイティシックスを生み出した共和国人と同じではないか?と言いたいみたい。
レーナは市民を動物扱いするヤトライの思い上がりを正そうとしたようだね。
カッコイイヨ。
ヤトライの冷徹さこそ愚かだと叫んでいます。
レーナには人間は間違えるモノと学ぶ機会があったからね。
うーん、確かにヤトライは思いあがったボンボンって感じなんですが一応シンの血縁者なんだよね。
シンと結婚したら親戚になるんだよな・・・上手くいかなさそうです。

ヤトライは馬鹿垂れなんだけど指揮官としては優秀ですよ。
彼はレギオンの指揮官が誰なのか考えています。
死んだか行方不明になった帝国時代の高官の名前をゼレーネに教えて<羊飼い>になっていないと確認済みです。
今の有効な攻撃を指揮している者が他国の高級軍人だと予想しています。
レーナのパパさんだとバレた時が怖いよな。
共和国は滅んじゃったからバレる可能性は低そうだけど。
それとも共和国から高級軍人の名簿を回収しているんだっけ?
回収してるんならバレそうだよね、ちいとばかりヤバい事になりそうだ。

ノゥ・フェスが執拗に超長距離砲撃を続けるので連邦市民は自主避難を始めました。
安全だと思われる帝都に向かって移動を始めました。
多くの属領から自主避難してくる民間人で街道が溢れます。
列車の線路にまで入り込んでいるので連邦軍の移動を阻害し始めました。
いよいよ連邦が抱え込んでいた断裂構造が露わになり始めます。
前線では変わらずに激しい戦闘が行われていました。
最初に心が折れたのは前線に向かって行軍している補充部隊でした。
自分たちとは違う民族で違う階層の奴らの為に死にたくない、助ける必要なんてない、逃げようと、思ってしまいます。
ノゥ・フェイスは連邦軍の中に逃亡兵が現れた事を観測していました。
作戦を次の段階に移行します。
これまでのエイティシックスから作られた前線指揮官風情の<羊飼い>とは違うよね、明らかに的確だよ。
分断を強める事にします。
ノゥ・フェイスは弱っている陣地を優先的に攻撃してきました。
連邦は戦死者が増えちゃって熟練兵が不足しています。
補充部隊として送り込むのは練兵時間が足りない新兵達です。
ここでも練度の差が断絶を生む事になりました。
逃亡兵が増えてしまい前線が瓦解する事になります。

連邦軍には機動兵器が残っているんですが逃亡兵に纏わりつかれて満足な運用ができませんでした。
前線が瓦解した混乱に乗じて共和国政府の残党が暴挙に出ました。
仔鹿問題を解決する為に尋問を受けていた共和国首魁プリムヴェールを救い出します。
そのままエルンストの邸宅をに押し入り彼を拘束して新生マグノリア共和国の独立を宣言しました。
あーあって感じですね、どこまでも時世が見えてない。

前線が瓦解しちゃったんでシン達機動打撃群は新たな陣地構築の為に押し寄せるレギオンを掃討する必要が出てきました。
しかしプリムヴェールたちが新生マグノリア共和国なんてモノを作ったので対応する事になります。
連邦の行動は迅速でした。
エルンストの生死は問わない方針みたいですね。
シン達に強襲させて鎮圧を行いました。
エルンストを人質にすれば攻撃される事は無いと思っていたプリムヴェールは慌てています。
エルンストは溜息交じりに大統領を拘束したくらいで連邦を言いなりにできると思うな。
副大統領が権力を移譲されるだけだと教えてあげます。

エルンストが人質になっていると知ったフレデリカが慌てています。
彼の生死を心配しているのかと思われましたが違いました。
後方支援職のリトが呼ばれてエルンスト邸の内情を確認されていました。
リトはそこで生活していたので内部に詳しいと思われたからです。
リトのレイドデバイスにフレデリカから連絡が入ります。
フレデリカはリトにエルンストを止めて欲しいと訴えました。
泣きそうなフレデリカから話を聞いたリトは単身でエルンスト邸に向かいます。

エルンストを人質にしても無駄だと知ったプリムヴェールは自分たちがこうも酷い目にあうのは何でだ?と訴えます。
連邦の現状にイライラしていたエルンストが切れちゃいます。
プリムヴェールは自分たち白銀種が生き残る為にエイティシックスを作り出した。
彼らにも家族や友人や愛する者が居ると分かっているので人間扱いするのをやめた。
人間を犠牲にして生き残ろうとする自分たちの弱さを見たくないのでエイティシックスは人間では無い事にしたと喚きます。
これは白銀種の本心のようですがイライラしているエルンストを怒らせるには十分な暴言だったよ。
エルンストは椅子を使ってプリムヴェールの頭部を殴りつけました!!
プリムヴェールは頭蓋骨が陥没して血まみれで倒れます。
一緒に居た白人種は驚きで動けません。
手にはアサルトライフルを持ってるんですが撃てないよ・・・元々人を殺す覚悟もないようだ。
エルンストはプリムヴェールが持ってたアサルトライフルを手に取ります。
撃つのかなと思ったら銃身を持ちストックで殴りつけました。
相当怒ってたのね複数人の白銀種が居たんですが動かなくなるまで殴りつけたようです。
アサルトライフルで殴り殺したのね・・・武器の使い方を間違えている。
それを侵入してきたリトが発見しました。
リトに現場を見られたエルンストは悪戯がバレた子供のような顔で困っています。
まだ辛うじて生きているプリムヴェールに止めを刺そうとしています。
リトはフレデリカが泣きそうな声で止めろと言っていた理由を理解しました。
フレデリカの代わりに「もうやめて。おとうさん」と伝えます。
今それを言うのはズルいと言ってエルンストはプリムヴェールを殺せなくなりました。
プリムヴェールは生き残ったようですが真面な意思疎通はできないだろうな頭蓋が陥没しているから。
殺すをやめたエルンストなんですが自分の行動に後悔はないようだ。
人類なんて滅んでしまえばいいって考えは揺るがないようです。

前線が瓦解してしまい連邦存亡の危機なのでヤトライ達貴族連中も出撃しました。
ノウゼン家の財力で作り上げた<アジ・ダハーカ>って機体に乗って暴れ回っています。
ノウゼンの屈強な肉体が無いと乗りこなせない機体です。
大口を叩くだけあって確かにヤトライは強いね。
長時間に渡りレギオンと交戦して大きな戦果を上げています。

新生マグノリア共和国の掃討が終わったのでレギオンの掃討に向かいます。
レーナと会えないでイラついているシンが連邦人を殺そうと願っている電磁加速砲型(モルフォ)の声を聞き取ります。
ニッズヘグというエイティシックスの<羊飼い>で共和国への復讐心を持つ個体です。
共和国を滅ぼしただけでは復讐心が満たされず連邦への攻撃を続けていました。
ニッズヘグは一度は自分を破壊した連邦の超長距離砲<カンプフ・プファオ>への復讐を狙っていました。
レーナに会えず感情的になっているシンはニッズヘグの打倒を目指します。
戦場は混乱していて命令があっても全員がシンに随行できない状態です。
ライデン部隊とシン部隊が接近戦闘を挑む事になります。
面制圧の必要もあるのでアンジュが加わります。
ダスティンが心配なアンジュは加勢に向かうか悩みますがシンを一人にできないと考えます。
クレナは残りの戦隊の指揮をとる為に残ると決めています。
ダスティンにはクレナ達の防御を命じました。

チトリを迎えに行けもせずアンジュにも暴言を吐いてしまったダスティンの心は乱れまくりでした。
戦場にいるにも関わらず集中力を欠いていました。
レギオンの攻撃を浴びてしまい谷底に落ちてしまいます。
救援に行きたいと進言されますが指揮を取るクレナは冷静な判断を下します。
余力がないのでダスティンの救援には向かわないとの判断を下しました。
クレナは辛い決断をする事になったね。
成長した彼女はダスティンとアンジュに心の中で謝り指揮を続けています。

レギオンになった事で自分は強いと過信していたニッズヘグは慌てています。
電磁加速砲型なので接近戦は苦手なんだよね。
油断しまくりだったのでシン達の接近を許しました。
シンだけでは苦労するようですが連携しての攻撃なので余裕で追い込みます。
ブチ切れているシンはまたしても単独での突撃を慣行しまいた。
ダスティンはいつまでも学ばない馬鹿だと呆れています。
ニッズヘグの繰り出す攻撃は他の戦闘で見た事がある戦法だけでした。
騙し討ちを狙うような工夫はありません。
絶対に敵を倒すって執念にも欠けました。
シンは余裕で攻撃を避け的確に攻撃を当てます。
逃亡兵からこれだけ強いなら何で自分たちを守ってくれなかったんだって罵倒が飛びます。
シンは文句を言うだけで努力をしない逃亡兵たちを要らない存在と思ってしまいます。
シンは曲芸のような機動でニッズヘグを仕留めました。
ブチ切れているので次の電磁加速砲型を攻撃に向かうって指示をだします。
ライデンの乗る機体に蹴り飛ばされる事になりました。

ライデンはシンが冷静さを欠いていると指摘してくれます。
今では誰もシンを戦帝とか死神とは思ってない。
お前は馬鹿犬の類だ。
馬鹿犬のお前は紐つけて一生ご主人様に握ってもらえ。
女王陛下がお待ちだ、と教えます。
レーナからシンへの通信が入ります。
どうもレーナはニッズヘグとの戦闘中にパラレイドを繋いだようだね。
興奮しているシンはそれに気付かなかったようです。
シンはレーナに叱られると怯えているようだよ。
レーナはシンが反省していると感じて叱責しませんでした。
次の電磁加速砲型を破壊できるのか質問してきました。
冷静になったシンは電磁加速砲型を破壊して基地に戻れると答えます。

シン達が新たな陣地を構築する戦いを展開している間にチトリに限界が来ました。
一緒に旅立った仔鹿達は一人ずつ離れて行って静かに自爆したようです。
この子達は本当に高潔だよね。
他者への優しさを持っている分、連邦貴族としてふんぞり返っているヤトライなんかよりも余程上等な人間だと思います。
チトリが目指していたのは100年前に帝国に併合された元共和国の端にある街でした。
あと一日あれば到達できる距離なのですが爆弾化が進行したチトリは歩けません。
故郷の町が見える教会の尖塔に登って最期の時を迎えます。
死ぬ寸前になってもチトリは恨み言を言いませんよ。
ここまで連れてきてくれたユートへの感謝を口にしています。
そんな言葉だけではない筈だと考えたユートはチトリに思っている事を吐き出させてあげます。
本当にユートは優しいよな、人の心の機微ってモンを分かっているよ。
彼がこれまで所属した部隊は彼だけを残して壊滅してしまい戦友と呼べる存在を持っていません。
誰も助けられず自分だけが生き残る事を優先した自分は冷たい人間のように思っているようですがそうじゃないよね。
チトリは死にたくないって本心を吐露する事ができました。
形見といて髪を結んでいたリボンを残してくれました。
ユートは一緒に爆死するのも悪くないと考えていたんですがチトリはそれを望みません。
爆散した自分を見ないでと言い残して別れました。
ユートはチトリとの約束を果たす為に彼女の遺体を確認しませんよ。
一人で部隊に戻る事にします。
チトリの想いを受け取ったので死ねないよな。

補給に戻ったアンジュがダスティンが行方不明になったと知ります。
アンジュは捜索をしないって判断を下したクレナを攻めたりしませんでした。
ダスティンを探しに行くとも言わないで防御戦闘を継続する事を選びました。
アンジュは小隊指揮官としての責任を放棄するのを良しとしなかったよ。
まあこの戦闘で死に場所を求めたって感じもあるんだけどね。
アンジュはシン達と共に基地を守る戦闘に参加し生き残りました。
攻め込んできたレギオンの掃討が終わりました。
次の作戦に備えグレーテがシンに警戒依頼をしてきました。
レーナの無事を知り会話可能になった事で心が軽くなっているシンはご褒美くれるなら引き受けますって軽口を叩きます。
グレーテもおふざけに同調してレーナにどうする?と問いかけます。
不意の問いかけにレーナは戻ってきたらキスしてあげますと答えました。
グレートと参謀たちに聞かれてしまい忍び笑いをされています。
シンは頭を抱える事になりました。
この段階ではレーナと再会できるって確信があるんだよね。
戻ったらレーナとキス、そりゃヤル気も出るってもんよ。

戦闘が終わり<スノウウィッチ>(アンジュの乗機)から出たアンジュの元にクレナが駆け込んできます。
アンジュの手を引き何処かに向かおうとしています。
クレナからダスティンが帰ってきたと聞いてアンジュはクレナを振り解いて駆け出します。
狙撃兵で目が良いクレナは戦闘中に基地に向かって歩いてくるダスティンを発見していました。
基地の門でアンジュはダスティンを迎える事になりました。
助けに行けなかった上に彼の心を傷つけてしまったと思っているアンジュは言葉が出てきません。
ダスティンからアンジュのお陰で戻ってこれた。
アンジュの生きろって声が聞こえた、祈ってくれたんだろって言葉を聞いて、後悔の念が吹き飛びます。
ダスティンに駆け寄りガバッと抱き着きました。
ダスティンの胸で泣いて落ち着いたアンジュがダスティンの足にしがみ付いている少女に気付きます。
戦場に放り出されたダスティンと出会い連れてこられたマスコットの少女でした。
ダスティンは最初彼女を連れて行くのは無理だと見捨てようとしましたがアンジュの声が聞こえて連れ帰る事にしました。
ダスティンがおどけてアンジュと自分の子だと告げると照れたアンジュに突き飛ばされます。
アンジュの反応が可愛すぎてもうたまらん。
疲労困憊のダスティンは倒れてしまい運ばれて行きました。
アンジュはマスコットの少女と目線を合わせて話しかけます。
味方の部隊に捨てて行かれたマスコット少女は自分は此処に居て良いのか?と不安そうにしています。
アンジュは優しく微笑みかけ基地に連れて行きました。

ユートが基地に戻ってきました。
ダスティンと再会したユートはチトリの最期を語ります。
チトリから形見を受け取ったがダスティンには渡したくないと伝えます。
ダスティンはアンジュを選んだので形見はユートが持っている事に同意します。
ダスティンはアトリからチトリが会いたがった理由を聞いているので納得できたんだろう。
子供時代の友達なので恋愛感情的な理由では無かったんだよね。
チトリはまた明日と言って別れたダスティンと生き別れになった事を謝りたかっただけだったんだよね。
それを聞いた時のダスティンはアンジュを傷付けた後だったのでそんな事も忘れていたのかと自己嫌悪に陥ってたけど。
対してユートの方はチトリと良い雰囲気になりそうだったんだよね。
ユートはチトリは自分が連れて行くと答えました。
ユートの行動は王子様的でとてもカッコよかったよ。
ユートと共に旅をして誰も犠牲者を出す事なく逝けた仔鹿達は満足していたと思いたい。

指揮系統が混乱していて余裕がないので戦傷を負っているリトまで機体に乗り込んで警戒任務に就いていました。
その基地には逃げてきた共和国人の集団が集まっていました。
共和国人の集団に向かう一人の黒髪の少女をリトが見とがめます。
リトは瞬時に彼女は仔鹿だと気が付きました。
共和国人への警告をするなら外部スピーカーを通じて大声て指摘するべきでしたがリトは小声て彼女を呼び止めます。
少女もリトがエイティシックスだと気付いて無事でよかったと言ってきました。
どうか見逃して、共和国人への復讐を遂げさせて、とお願いしてきます。
リトはキャノピーを開けて駄目だと伝えました。
仔鹿の少女を人殺しにしたく無いから見逃せないと伝えます。
リトは共和国人に復讐したくて<羊飼い>になったアルドレヒト中尉みたくなって欲しくないと考えます。
エイティシックスの君に哀しい思いをしてほしくないと伝えます。
仔鹿の少女は納得してくれてリトに殺して欲しいとお願いしてきました。
リトは<羊飼い>にされるのを防ぐ為にシンが死にかけの仲間を殺していたのと同じように彼女を殺してあげました。
それを見ていた戦闘中に逃げてきた他部隊の兵士の一人がリトを撃ち殺しました。
リトは薄れゆく意識で「人殺し」って言葉を聞きます。
それが最後に聞いた言葉になりました。
リトを撃ち殺した直後に少女の遺体が爆発して彼女は仔鹿だったと分かります。
リトを撃ち殺した兵士はリトが仔鹿から共和国人を守ろうとしていた。
自分は仲間を撃ち殺した人殺しと理解します。
この阿保が言った「人殺し」って言葉は誰に向けてのものなのかな。
リトを罵倒する言葉で無かったと信じたい。
リトの死を最初に知らされたのは近くに居たレルヒェとリュドミラでした。
報告してくれたのはリトに助けられた女性でぐしゃぐしゃに泣いていました。
レルヒェ達はリトが死んだと信じられず呆然としています。

リトを殺した兵士はその場で取り押さえらて後送されました。
彼の所属部隊の隊長から謝罪が届きます。
連邦軍はリトを撃ち殺した兵士を処刑するつもりです。
シンとライデンは連邦軍が事件をキチンと裁こうとしている事にホッとしています。
リトの死を有耶無耶にするほど腐ってないと分かってまだ戦えると思ったようです。
しかしリトを撃ち殺して死刑が確定している犯人は自分の間違えを認められませんでした。
自分の罪を認める心の強さが無いのでリトは日常的に共和国人を撃ち殺していた。
たまたま撃った相手が仔鹿だった。
自分は悪くないと考えてしまいます。
自分は正しかったと世間に知らせたくて潜り込んでいた戦場カメラマンにリトが仔鹿を撃ち殺す瞬間だけが移った映像を渡しました。
その後には死んだ仔鹿が爆発する映像も映っていたと思うんだけど汚い彼はそれをカットした映像を渡したようです。
本当に救い難い下種だよね。
マスコミも分り易い悪役を求めていたのでその映像を放送してしまいます。
真顔でエイティシックスを糾弾する番組を流しています。
シン達はリトの死を汚されて憤慨しています。
もう連邦を守るのなんてやめて逃げちまえと思いますが逃げる先が無いんだよなー。

これが決定打になったようですね。
連邦の高級指揮官が生き残りを掛けた決断を下す事になります。
ヴィレム・エーレンフリート准将などの次代を担う士官が軒並み解任されました。
基地司令官は後事を託す彼らを守ろうとしたみたい。
無駄だと分かりつつ貴族として市民を守る為に連邦の延命を図ります。
最後まで悩んだ苦渋の決断だったようです。
貴族の矜持を感じますが選んだ結果が白銀種と同じになるとはね・・・
彼らの決断が西部戦線に残される事になった部隊に理解されるだろうか?
レーナとアネットは司令本部に留め置かれています。

レギオンの攻撃も終息したので次の作戦を策定中でシン達は基地に戻っていました。
一緒にいたシデンが輸送機の妙な動きに気が付きます。
その日は輸送機がやってくる予定はありませんでした?
輸送機は基地に着陸する事無く飛び去ります。
不審に思っていると基地の後方で旋回を始めました。
旋回中に胴体部分が開きます。
シンは連邦軍が何を企図しているのかに気が付きます。
グレーテに直接通信を入れて緊急事態だと伝えました。
グレーテはレギオンが攻めてきたと思ったようですが違うと言われます。
シンは至急部隊を招集して欲しいとお願いします。
シデンも同じ事に気が付いて各所への連絡を始めています。
輸送機だと思われていた機体は爆撃機でした。
爆撃機によって西部戦線と連邦本土との間を地雷で埋め尽くして後退できなくしました。
連邦は連邦本土から西部戦線を切り離して八六区を作る決断を下しました。
シンが慌ててグレーテに連絡したって事は彼女も西部戦線に残される事になったんだよね。
シンが慌てていたのは西部戦線に取り残される事になる部隊員の意思統一を図る為でした。
取り残される部隊に憶測や流言が蔓延るのは命取りになるからね。
グレーテは集められた部隊に隠さずに現状を報告しました。
機動打撃群はリュストカマー戦区を死守、部隊の後退は許可しない、と伝えました。

本部に留め置かれたレーナが真の目的を指摘します。
エイティシックスの女王たる自分を首都に留め置いて彼らへの人質にする為だろ。
憤りや恨みや叛意を抱く彼らに連邦軍の意思を強要する為だろと指摘しました。

エルンストから権限が副大統領に移譲されたのも大きいよな。
エルンストに権限があればこんな命令は出させなかったよな。
それともより多くの市民を生かす為に同じ決断をしたのか?
連邦は自由と博愛を標榜してたんですが追い詰められて脆くも瓦解しました。
嫌っていたサンマグノリア共和国の白銀種と同じ手段をとる事になったよ。
やっぱり国や文化が違うだけでは意味が無いな。
人間の本質は変わらないよ。
どちらも弱い人間て事だね。
首都には逃げてきた共和国人が隔離されているようですが彼らへの扱うはどうなるんだろうね。
真面な人なら共和国人と同じ事した自分たちに彼らを忌避する権利はないと気付けそうだけど。
上が勝手に決めた事だから自分たちは共和国人を蔑視しても問題無いと言いだしそうだけどね。
もう連邦が生き残る手段は無さそうだよね。
ここまで汚い内情を見せられるとレギオンに滅ぼされてしまえと思えてくるよな。
フレデリカが西部戦線に残されているなら乾坤一擲のレギオン停止作戦を実施可能かも知れないが。
シン達は強い葛藤を抱えているだろうけど生き残る為にはレギオンを倒すしかないし。
レーナとは離れ離れなわけだし再会する為に頑張れるかも知れないよね。
レーナが安全な後方に居ると分かっているのでシンは頑張れそうにも思えます。
シンが西部戦線に残されているのでレーナも不貞腐れる事は無いだろう。
二人が共闘してレギオンを撃破できるかもしれない。
期待したい。
レギオンの指揮官機が<羊飼い>になったヴァーツラフ・ミリーゼなんだよね。
これも問題になりそうだよ。
レーナがノゥ・フェイスの中の人が誰なのか気付く事無く討ち取れる事を願います。
だって可哀想すぎるでしょ。

成分表
成分含有量(5:多い、1:少ない)
美少女5
正義3
非道5
友情5
5
ラッキースケベ1


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