ラノベの感想) 86―エイティシックス―Ep.11 ―ディエス・パシオニス― (電撃文庫)
概略:
レギオンが人類が予想もしていなかった手段で攻撃してきました。何の対処も出来なかった各国は戦線を大きく後退させられてしまいます。連邦で共和国に派遣した部隊の撤退作戦が行われる事になります。共和国はこの窮地に連邦への疎開を打診してきました。連邦はこの申し出を受け入れ全ての共和国民を連邦に移送する事にします。レギオンは共和国だけは攻撃しなかったんだよね?レギオンの意図が分からない不安を抱えながら救出作戦が始まりました。
レーベル:電撃文庫
発行日:2022/2/10
著者:安里アサト
イラスト:しらび
ISBN:978-4-04-914149-8
雰囲気:異能制御訓練、レギオンの秘密兵器、戦線後退、共和国市民救出作戦、撤退戦、羊飼いの意志、分岐点、殿、徒労感
.
シンはノウゼンの血縁者達と会っていました。
彼の持つ異能を制御する為の方法を教授してもらう為です。
血縁者の中から一人コーチを選ぶことになりました。
シンが選んだヨシュカ・マイカ中佐はシンに恋人が出来た事を知っていました。
恋愛関係の話を自分にする事が出来るようになったら異能の制御方法を教えてくれると言っています。
制御自体は簡単なそうですが相手に深層心理を覗かせる事になるので良く知った相手でないと嫌だろうとの理由です。
何となくですがシンはヨシュカに可愛がられている様に見えますね。
.
戦線は拮抗していて大きな動きが無かったのですがレギオンが人類が思いも付かない方法で全戦域の情勢を一気に覆してきました。
レギオンは衛星軌道に打ち上げた弾道ミサイルで攻撃してきました。
シンはそれを目撃したのですが流れ星かな?と思っていました。
他の人達も似たような感想を抱いていました。
レギオンに制空権を握られて以来人類側は衛星兵器の存在を忘れていました。
.
レギオンは連邦を始めとする各国の戦線に順番にミサイルの雨を降らせました。
各国の戦線は大きく後退する事になってしまいます。
半年かけて各国の領土が繋がったのですが分断されてしまいました。
連邦は共和国を維持する為に派遣していた部隊を撤収させる事にしました。
共和国側から自分達を連邦に非難させて欲しいとの打診を受けます。
連邦は共和国市民を含めた全共和国民を連邦に移送する事を決めました。
各国の被害状況を調べてみると共和国だけミサイルの雨が降らなかった事が分かりました。
レギオンには何らかの目的があるようですが連邦にはそれが何であるのか合理的な説明が付きませんでした。
一抹の不安を抱えつつ共和国民の移送作戦を開始する事になります。
.
レーナも移送作戦に従事する事になったのですがシンが心配しています。
レーナは今でも共和国の軍人なので共和国軍が徹底抗戦を謳いレーナを共和国に縛り付けるのではないか?と心配しています。
レーナは過保護だなと思いつつ心配してくれているのが嬉しいみたいですね。
レーナの方が共和国の高官や軍人を良く理解していましたね。
彼女は共和国の軍人は我先に逃げ出すに決まっていると言って従軍する事を決めました。
.
作戦準備の段階でレーナの元に共和国の高官達からの陳情書が届きました。
どれも自分を優遇して欲しいと訴えています。
共和国の勢力バランスを知らない連邦はレーナに誰を優遇するべきかの判断を委ねた結果です。
出発前にレーナは疲弊しる事になっています。
.
作戦が始まり共和国に到着しました。
共和国側から提出された移送計画書を見て連邦の首脳部は呆れています。
彼らの提出した移送計画書では最初に元貴族の共和国高官が逃げる事になっていました。
次に軍の仕官が逃げる事になっていました。
最後に市民が逃げる事になっています。
高官たちは市民の不満が軍に向くようにこのような順番を考えたようです。
他者を囮にして自分達は助かろうとするアルバの醜さが色濃く出ていますね。
.
市民たちはアルバの中でいがみ合いを始めていました。
アルバは大きく分けて3種族いるのですが共和国の高官は種族毎に移送させる事にしました。
3種族の中で2対1の状況を作り出して憎しみをぶつける相手を作り出しています。
それを見たエイティシックス達は迫害される相手は誰でも良いんだって事に気が付きました。
アルバに対しての興味が益々薄れていきます。
あいつら本当にどうしょもないな。
.
市民を乗せた移送列車が発車しました。
今回の作戦ではレギオンが動き始めたら各個撃破して移送列車を守る事になっていました。
シンは異能を使いレギオンが戦闘行動を始めるのを監視していました。
レギオンが動き始めたをのを感知するのですが予想外の行動を取ろうとしていました。
レギオンは長射程の砲撃を行おうとしていました。
密集していると大きな被害が出るので分散する事になります。
.
連邦は長射程のレギオンに対抗する為に長射程の列車砲を開発済みでした。
それを使って撃ち合いをする事になります。
連射装置の開発が間に合わなかったので連邦は大胆な手段を取っています。
長射程の砲を何問も並べて配備していて順番に弾道を少しずつずらして撃ち合いを行いました。
その中の一発が長射程型のレギオンを破壊したのですが目的を達成された後でした。
レギオンが狙っていたのはシン達が騎乗している<レギンレイヴ>ではなく戦闘力皆無の輸送列車でしたよ!!
しかも焼夷弾を使って来ましたよ。
レギオンの目的はアルバを生きたまま焼き殺す事でした!!
.
シンの異能が羊飼いとなったエイティシックスの声を聞きます。
彼らはアルバを許さない、みなごろしにしてやるとの意志を焼き付けて羊飼いとなっていました。
共和国だけが被害を受けなかった理由が分かったね。
レギオンは各国の戦線を後退させ共和国が国を捨てて逃げ出すように仕向けたようです。
羊飼いの目的は直接アルバを狩る事でした。
共和国内に立てこもられると市民を殺す為には派遣されている連邦の軍と共和国軍と戦わねばならない。
それは被害が大きくなるので逃げている市民を襲おうと考えたようです。
合理性皆無な計画なので連邦がレギオンの意図を読めなかったのも頷けます。
.
シンがアルトレヒト中尉も羊飼いと化している事が分かりました。
彼はシン達エイティシックスを生き残れと言って最終任務に送り出してくれた恩人でした。
彼の部隊に居たリトが最も大きな衝撃を受けています。
シンは自分がアルトレヒトを討ち取ろうと考えたのですがリトが自分の役目だと言ってアルトレヒトと戦う事になります。
アルトレヒトはレギオンを目の前にした時にアルバの事を許せないと思ってしまいました。
彼の奥さんと娘はアルバでは無かったのでエイティシックスにされて戦死しました。
二人を死地に向かわせた白人種が許せなかったのでしょう。
レギオンに殺されて羊飼いになる事を選んでしまいました。
.
リトはアルトレヒトを苦痛から解放したいとの思いから必死に彼を止めようとしています。
アルトレヒトの方がリトには目もくれず白人種を虐殺する事だけに固執していました。
羊飼いたちの憎しみは物凄く強いですね。
苦痛を与えながら白人種を殺す為に武装を人間用のライフル弾に切り替えています。
戦闘力を低下させてまで苦しみながら死んでいくように殺そうとしていました。
リトは苦戦していましたがアルトレヒトが一瞬動きを止めました。
彼は白人種の少女を踏みつぶすを躊躇い一瞬動きを止めました。
リトはアルトレヒトに砲弾を撃ち込み大破させました。
現在の羊飼いは機体が行動不能になると流体金属の蝶に変形して逃げ出そうとします。
アルトレヒトもそうしたのですがリトは焼夷弾を撃ち込み蝶の羽を焼きました。
アルトレヒトは逃げ出す事が出来なくなり消滅しました。
.
焼夷弾に焼かれた輸送列車を消火する術は有りませんでした。
連邦は燃えたままで輸送列車を走らせる事を決めます。
襲い掛かって来たレギオンを排除してから移送作戦を継続する事になります。
連邦領まで戻って来る事ができましたがレギオンの怒りは静まっていません。
レギオンは移送列車の使っている鉄道の線路を破壊します。
移送中の列車が停車できる余裕を持って線路を破壊しました。
レギオンは移送中の白人種を狩るつもりです。
.
ここでレーナやシン達は決断を迫られる事になりました。
彼らは共和国の市民を連れ帰る事は困難だ。
連邦軍に被害を出してまで救う必要は無い、見捨てて帰ろうと考え始めます。
ここで救援派遣軍の指揮官であるリヒャルト少将が軍人としての矜持を示します。
彼はレーナやシンが余計な罪を背負う事を嫌いました。
自分達の部隊が殿となり共和国市民の移送を完遂する事を決めます。
連邦は正義の国、困っている他国を助ける正義の国。
その国是に傷をつける事は出来ないと言っていました。
リヒャルトはエイティシックスを助けたグレーテに最後まで彼らの事を守り通せと言ってきます。
二人は親しい間柄です。
グレーテはリヒャルトから移送作戦の完遂を任される事になりました。
助かる見込みの無い殿部隊は共和国方向に逆進を始めます。
.
シン達はグレーテの指揮の元、共和国市民を守りながら帝国に向かう事になります。
列車が使えなくなったので市民を歩かせる事になるのですが早速不平不満を言い始めます。
レーナは休憩をはさみながら移動を行っています。
リヒャルト少将達が奮戦しているのでレギオンは追ってきません。
遂にもう歩けないと言い出す女性が現れます。
その時たまたま近くに居たシンが休憩を挟んで付いてきて欲しいと告げました。
行軍の列が長く続いているので次の集団に合流して付いてくるように告げます。
この時の市民たちの心境は自分達を見捨てて欲しいと考えていました。
彼らは自分達が無力で無能なのを誰かのせいにしたいようです。
連邦に見捨てられた可哀想な存在になりたいようです。
シンは完全に無関心な返答を繰り返しています。
シンを始めとするエイティシックスの面々は白人種に対して何の感情も抱いていませんでした。
助けたいとも見捨てたいとも思っていません。
命令だから護衛しているだけで付いてくるなら守るけど行軍の列から離れたら放置しようと考えていました。
.
なおも女性が喚き続け行軍に支障が出ようとしていました。
これに対してレーナが対処する事になります。
レーナは乗っていて<レギンレイヴ>から下りて姿を晒します。
白人種はレーナが共和国軍の軍服を着ていた事に驚きます。
彼女が共和国の軍人だと知った彼らは彼女を糾弾し始めます。
レーナは自分を憎ませる事で白人種に歩く活力を与えようと考えていました。
うーん彼女は優しいよね。
白人種なのに<レギンレイヴ>に乗っているのはズルイと子供の様な文句を言いだした白人種に向かって言い放ちます。
自分はエイティシックスを率いる鮮血の女王だ。
女王が騎士の曳く馬に乗るのは当然でしょう?と言ってシンが操る<レギンレイヴ>に乗せて貰います。
レーナは<レギンレイヴ>の外装に捕まり移動を始めさせます。
自分の姿を晒してより大きな憎しみを引き出そうと考えたようです。
キモが座っていますがシンは心配でならないようですね。
シデンとライデンが心配してレーナと市民の間に乗騎を配置して投石に備えました。
レーナは市民に投石するほどの気概は無いと考えていたようです。
隊列の先頭まで移動したところでシンの<レギンレイヴ>のコックピットに乗り込みました。
.
シンはレーナに非難の視線を向けます。
誰かが市民の憎悪を引き出し歩く意欲を持たせる必要はあったのですがレーナがする必要は無かったと咎めます。
レーナは共和国軍人としての義務を果たしたと言い返します。
シンは彼女が制帽をかぶっていたのは軍人としての立場、義務、威圧を示す為かと考えます。
レーナから意外な答えが返って来ました。
レーナは意外な程冷静な計算をしていましたよ。
彼女が制帽を目深にかぶっていたのは顔を隠す為でした。
夜明けで東に向かって移動しているので真正面から光が当たっていました。
だから顔を隠せると思ったそうです。
レーナはシンと共に革命祭の花火を見る事を諦めていないと告げました。
堪えきれなくてシンは笑ってしまいましたよ。
レーナが悲壮な覚悟を決めていると考えていたようですので、そうでは無いと知れて安心したみたいです。
レーナの態度に憎悪を滾らせた市民たちは行軍を続けグレーテが手配した輸送車と合流する事ができました。
.
輸送車に市民を乗せて連邦に向かわせます。
殿部隊が全滅させたレギオン達が追いかけてきました。
レギオンは市民を直接虐殺したいので武装を人間を殺す為の兵器に換装させていました。
シン達に屠られる事になりました。
.
安全圏に到着した市民たちから恨みの声が上がります。
たまたま近くに居たシンに向けて何故妹を助けてくれなかったんだとの罵倒が飛びました。
シンも限界だったようですね。
思わず言い返す事になってしまいます。
シンは何故白人種は自分を守る為に戦おうとしないんだと言い返してしまいました。
言い返して直ぐにその場を離れます。
シンにマルセルが声を掛けてくれました。
シンは弱いから死んだんだと言いたかった訳では無いと説明します。
マルセルはシンの気持ちは分かっていると言って慰めてくれました。
.
シンがレーナに作戦終了の報告を行います。
報告が終わるとレーナがシンの胸で泣き崩れる事になりました。
彼女は多くの共和国市民を助けられなかった事を悔いていました。
共和国が本当に滅んでしまった事も哀しかったようです。
シンはレーナの悲しみが分かるので彼女を泣かせてあげる事にします。
.
グレーテはリヒャルト少将からの伝言をヴぇレム参謀長に使えます。
自分の仇を討つために人斬り庖丁に戻るな、と言っていたと伝えました。
ヴェレムはリヒャルトらしいと言って伝言を受け取ります。
今はより大きな責任を持っているので戻る筈が無いと約束しています。
.
レーナの父親が羊飼いになっているようです。
レーナの叔父さんであるカールシュタールが遭遇した羊飼いがレーナの父親のようですよ。
カールシュタールは羊飼いにならないか?との誘いを断ります。
レーナに苦戦するがいいと言って自害しました。
レーナは父親と対峙する事に成るのでしょうか?
羊飼いの中に白人種に恨みを持っている存在が居る事が分かりました。
多くの羊飼いが蝶になって戦線から撤退したので遺恨は残りそうです。
白人種が連邦に逃げたと分かっているので再び強襲してくる可能性はありそうですね。
人類は分断されてしまったので再び苦境に立たされています。
羊飼いに白人種を恨んでいる一団が混ざりました。
レギオンの意思決定に影響が出て来るかも知れませんね。
彼らが最終目標をどこに設定しているのかも気になります。
レギオンが変質しているように思えるのでフレデリカにレギオンを停止させるという希望が潰えてしまった可能性もありそうですよ。
.
成分 | 美少女 | 正義 | 非道 | 友情 | 敵 | ラッキースケベ |
評価 | AAA | AAA | AAA | A | AAA | C |
AmazonLink: 86―エイティシックス―Ep.11 ―ディエス・パシオニス― (電撃文庫)
コメント
コメントを投稿