ラノベの感想) 魔法使い黎明期 第5巻 新世界の使者 (講談社ラノベ文庫)


概略:
世界にセ―ビルの魔法薬が広まります。それを模倣した偽物が出回る事になります。偽物を作ったのは新世界と呼ばれる海を越えた地からやって来たウサ耳美女でした。新世界に行けると分かったロスが興奮しています。新世界は魔法技術が発展した世界だそうです。アルバスは交易を始めようと決めました。使節団が組織されます。ロスとセ―ビルもメンバーに入りました。セ―ビルとゼロが協力して新世界への侵入を阻む結界を無力化します。新世界はロス達の常識が通用しない世界でした。

レーベル:講談社ラノベ文庫
発行日:2022/3/30
著者:虎走かける
イラスト:いわさきたかし
ISBN:978-4-06-527823-9
雰囲気:魔法薬、偽物、新世界、先遣隊、怪魚、氷漬け、異なる価値観、謁見、魔道具、買い物、取引、怪物撃退、嫌疑、出航、覚悟

禁書館に住みついたセ―ビルは魔法薬の開発に邁進していました。
製法を他の魔女や魔術師に公開したので魔法薬開発は飛躍的に進みます。
今では禁書館の新たな特産品になっています。
セ―ビルの研究をウラルが手伝う事になっています。
ウラルが魔法薬に興味を持っていると知ったフィアノスが彼女をレンタルしてくれました。
フィアノスはウラルの新たな身体を探す旅を続けています。
魂を使い魔だったフクロウに入れているので今の彼女はフクロウです。

ロスが一年ぶりに禁書館に戻ってきました。
彼女は世界各地でセ―ビルの魔法薬が売られている事を嬉しく思っています。
ロスが戻ってきたのは魔法薬の偽物が出回っていると教える為でした。
話を聞いたセ―ビルは偽物を作っている魔女を捕まえる為にロスと旅立つ事を決めます。
魔法薬は人々の生活に浸透しているので生産が止まると困った事になります。
セ―ビルはウラルに製造を任せる事にしました。
ウラルは技術はあるのですが魔力量に限りがあるのでセ―ビルのように大量に作れません。
それを指摘するとセ―ビルが禁書館の地下に自分の魔力を貯蔵してある事を教えてくれました。
これは館長とロスとアルバスしか知らない禁書館の最高機密です。

セ―ビルは自分の魔力量を測るために魔力の貯蔵を始めたそうです。
少し魔力が減ったなーと感じても翌日になると元通りになってしまう・・・呆れた魔力量ですね。
セ―ビルは吸いだした自分の魔力を金に保存してありました。
ウラルにはそれを使って魔法薬の生産を継続して欲しいとお願いしています。
問題が解決したのでウラルは引き受けてくれました。
彼女はセ―ビルに信頼されていると感じて嬉しそうにしています。
フクロウなのでセ―ビルの頭の上にとまっています・・・取れも可愛いですよ。
ツンデレ気味なのもいいところです。

ロスとセ―ビルはアルバスの元に向かい偽物を作っている人物の情報を得ようとします。
アルバスに面会すると既に犯人を捕まえたと教えられました。
大活躍する場面を期待していたロスが不貞腐れていますよ。
アルバスから犯人が海を越えた新世界からの訪問者だと聞かされてロスが小躍りしています。
彼女はかつて新世界を目指して海に漕ぎ出した経験を持っています。
その時は海にのまれて船は座礁してしまったそうです。
新世界への道があると分かったので冒険の旅が始まると大興奮しています。
セ―ビルが、興奮しているロスはそのまま固めたくなるくらい可愛いですね、と呟きました。
ロスは一瞬で嫌そうな顔になっています。
セ―ビルは褒めたのに嫌そうな顔をされるとは・・・分からない、と不思議そうな顔をしていました。
アルバスはセ―ビルの不器用な愛情表現に困り果てているロスを笑っていました。

ロスから新世界に向けて海に漕ぎだした時の話をされます。
ロス達の住んでいる大陸の西の港から出航してまっすぐ進むと東の港に到着するそうです。
南に向かうと南の港に戻ってしまいます。
北に向かうと途中の海域で必ず船が沈むそうですよ。
この事からロスは世界が球体であり自分達の住む大陸が何者かによって閉じ込められていると考えています。
セ―ビルがそれに気付いたので嬉しそうにしています。
彼の洞察力が成長していると思えたのね。

魔法薬の偽物を作っていた人物を捕まえたのはホルトが率いる部隊でした。
ホルトは魔法薬絡みの事件を率先して解決したそうです。
成果を認められて自分の部隊を持つまでになりました。
彼女の角は立派に成長して鹿の角のようになっています。
角の鎖(カルヴァカテナ)って部隊名を付けられています。

捕まえた人物はイグナスのハル・ベルと名乗りました。
ホルトの事をエクシノフと呼んで崇めています。
話を聞いてみると新世界では角を持っている獣堕ちが支配者階級なんだそうですよ。
ハルはウサ耳を持つ獣堕ちでした。
彼女のように身体の一部に獣の部位を持つ者をイグナスと呼ぶそうです。
獣の部位が何もない人間はヌラベヌと呼ばれていて被支配者層だそうです。
そのような理由からハルはホルトとしか話しません。

新世界は魔術が栄えていて見た事もない魔道具が存在するそうです。
アルバスは新世界との交易をしてみようと考えます。
使節団を送る事が決まりメンバーを選定する事になりました。

クドーは大陸中を駆け回り治療を必要とする人々を救う生活をしています。
彼も大きな成果をあげているみたいでホルトのように自分の部隊を持つまでになっていました。
彼には大きな弱点が存在しました。
獣堕ちの彼は馬に乗る事ができません。
移動能力が著しく低いです。
普段は部下が操縦する馬車に乗って移動しているようですよ。
救いを求める人は多く間に合わない事の方が多いみたいです。
クドーは伝染病で全滅した村に来ていました。
彼らの到着は間に合わなかったようですね。
馬が使えないクドーを村に残して部下たちは周囲の村に伝染病の話を伝えに向かいます。
クドーは住民たちの火葬を始めます。
これは死体を動物が食べて伝染病が広がらなくする為です。
村が伝染病で滅んだ事を知らせる看板を立てていると破竜王ゴーダがドラゴン(ヒース)に乗ってやって来ました。
ゴーダはクドーを迎えに来たそうです。

アルバスの要請でウェニアス王国に連れて行くと伝えます。
クドーは行かないと言って反発しています。
自分の助けを求める人々が大勢いるんだ要請には応じられないと反論しています。
ゴーダが激しい怒りを示しました。
教魔兵団に入団したクドーが命令に背く事の危険性を諭そうとしています。
クドーが命令無視をすると彼の部下も勝手な行動を始めてしまう。
個々が勝手な行動をしては組織が瓦解してしまう。
組織とは一人に責任が集中しないように役割を分担する。
代わりの者がいなくいくらいクドーは重要人物なのか?
隊長が変わったくらいで機能しなくなるほどクドーの部下は無能なのか?
理詰めで追い込んでくるね・・・クドーは納得させられました。
ゴーダの説教はクドーの心に響いているようです。
ゴーダは救う命と見捨てる命を選び取る選択を続ける覚悟を決めろと教えています。
組織を抜けた方がはるかに人を救えると確信した時だけ教魔兵団を捨てろと助言しました。
カッコイイ、ゴーダが凄くカッコイイ。

クドーをウェニアス王国に届けたのでゴードは次の仕事に向かおうとしていました。
その彼に新世界への使節団の隊長をやれとの命令が下されます。
クドーに命令無視の危険性を説いてた彼が嫌だと駄々をこね始めました・・・
ゴーダを納得させたのは教魔兵団のアムニル魔法兵隊長でした。
アムニルに逆らえないゴードを見たクドーは「だっせぇ」と思ったのですが口には出しません。
成長していますね・・・空気を読んでいます。

使節団のメンバーは以下です。
使節団長、ゴーダ。
副団長、ホルト。
魔法薬研究者、セ―ビル。
魔法医師、クドー。
魔法解析、ゼロ。
護衛、傭兵。
教会代表兼情報収集、隠匿。
情報収集補佐、リーリ。
案内人、ハル・ベル。
おまけ、ロー・クリスタス。
ロス先生はおまけなのね・・・

顔見知りを集めたのは未開地に向かうので気心の知れあった人物で固める方が良いと判断したからです。
戦力的に見ても最強の布陣と言えますね。
ホルトは新世界では支配者層のエクシノフと思われています。
ですので交渉役をする事になっていて緊張しています。

久々に再会したセ―ビル、ホルト、クドーが旧交を温め合っています。
クドーはホルトが角にアクセサリーをつけいるのを見て驚きます。
嘗ての彼女は角を隠して生きていました。
すげぇ最高だと思うと褒めちぎります。
正直な感想だったのですがクドーが壊れちゃったと心配されてしまいます。
セ―ビルも真顔で相談に乗ろうか?と問いかけてきました。
皮肉を言わないクドーは二人にはキモク感じられるみたいです。
クドーは身体が成長していて以前よりも大きくなっています。
セ―ビルの容姿がまったく変わっていないのに気付いたクドーが理由を聞いてきました。
セ―ビルはロスとの釣り合いを取るために成長を止めたと教えました・・・
クドーはセ―ビルがまだロスを諦めていないと知り驚きます。
そんなセ―ビルの事をホルトがまだあきらめていない事も判明します。
魔法使いに必要な資質に「粘着気質」でもあんのか?と本気で怖くなっていますよ。
確かに二人の諦めの悪さは相当だよね。
お互いに相手に好感を持っているので問題になっていないけど・・・危ういんだよなー。

新世界は魔力の枯渇に喘いでいます。
交易品としてセ―ビルの作る魔法薬(魔力回復薬)を持って行く事にしました。
ハルによると彼女は魔獣に乗って空から結界を越えてきたそうです。
海の結界を越えられなかった場合ゴーダとロスがヒースに乗って結界を越えて新世界の偵察を行う事が決まります。

帆船に乗って新世界に向けて出港します。
船の操縦はゼロが魔法によって行っています。
セ―ビルが居るので魔力切れになる心配はないので最大速度で進みます。
あっという間に船の残骸が漂う海域に到達しました。
周囲を見回しても結界らしき物はありません。
ロスが海中に潜り探す事になります。
ロスが海中で巨大魚の群れを発見しました。
巨大魚は口を開けて海上を船が通過するのを待っていました。
ロスがかつて経験した海にのまれる感覚は船が巨大魚に?み込まれる事で発生してたのね。
ゼロとロスが困り顔をしていますね・・・海上に侵入すると巨大魚に呑み込まれます・・・二人には妙案がないようです。
セ―ビルが簡単な解決方法を思いつきました。
船の航行が可能なように海中だけを凍らせる事はできないのか?とゼロに質問しました。
ゼロは魔力が尽きなければ可能だと答えます。
セ―ビルを魔力源としてゼロが巨大魚が居座る海中を凍らせました。
ゼロが強大な魔力を使ったのを見たハルは驚きに包まれています。
ゼロは獣堕ちではないので新世界ではヌラベヌと呼ばれる被支配者層の下層民です。
下層民でも強大な魔法を使える事実に驚いていました・・・内心ゼロへの評価を改めたようです。
同じくヌラベヌのゴーダが竜に乗っている事にも驚いていました。
ホルトが航海日誌を付けています。
後から続く交易者の助けになればと起った出来事を記録しています。
ゼロとセ―ビルが行った結界突破方法は他の人に使えないなーと感じています。
航海日誌はぶっちゃけ余り役に立ってないな。

結界を突破できたので問題無く新世界に到着できました。
あっ問題は一つだけ発生してたか・・・乗り物が苦手なセ―ビルが酷い船酔いに苛まれていたんだ・・・
クドーが居たので回復魔法をかけてもらい凌いでいたんだ。
クドーが居なければ水分を吐き出し尽くして死んでいたそうです。

鍵束という役職に付いているエクシノフと謁見する事になりました。
ダナ・リルという名の綺麗な一本角を持つ女性と対面する事になります。
新世界ではロス達が住んでいる大陸を禁足地と呼んでいます。
ハルが禁足地は魔力に溢れている、魔力を回復できる魔法薬を持ってきたと伝えると大喜びしてくれます。
ダナは最大限の感謝を示しハルを抱きしめてくれました。
禁足地はあるかないかも分からない地と思われていました。
ハルはバカにされながら出発したので最高権力者のダナに褒められて嬉しくなっています。

ダナの隣にはウツワと言う彼女の娘らしき人物が座っていました。
クドーを一目見たウツワは彼を気に入ってしまいます。
彼の持つ気分によって色を変える鱗を綺麗と感じています。
新世界では全身が獣の獣堕ちは隷獣(愛玩動物)扱いされています。
ウツワはクドーを己の隷獣にしたいとダナにおねだりしました。
ダナは早速ホルトにそれを提案しました。
ダナは新世界でも獣堕ちは隷獣扱いされていると思っています。
クドーが不快感を表して断りました。
自分達は対等な立場で交渉にきたのではない、こちらは交渉が決裂しても構わないんだと伝えます。
不機嫌そうなそぶりで謁見の間から出ていきました。
クドーの態度は隠匿に言い含められた演技でした。
隠匿は相手の無知を利用して自分達が恥をかかされたって立場を作ろうと考えました。
それで交渉を優位に進めようと考えています。
リーリがクドーに同行する事になります。

彼女は街にいるネズミを支配できるので情報伝達係として付いて行きました。
街に出たクドーとリーリは新世界の技術力の高さに圧倒されています。
どの店舗も大きな窓ガラスを使っていて店の中が丸見えでした。
興味をひかれる物が多すぎてどこに行こうか迷っている二人の元にウツワがやって来ました。
彼女はクドーに失礼な事を言ってしまった事を謝りに来ましたよ。
クドーは隠匿のアイディアでわざと怒ってみせたので心苦しさを感じています。
移動する為リーリを抱っこしようとしていたのですがウツワにもして欲しいとお願いされます。
リーリがクドーの肩が空いていると教えます。
ウツワはクドーに肩車してもらう事になり大喜びしています。

ウツワの案内で買い物に行く事になります。
クドーが新世界の貨幣を持っていない事を伝えるとウツワが不思議そうな顔をしています。
支配者の娘である彼女は店で支払いをした事がないそうですよ・・・
ウツワが食べたお菓子は皆が求める事になるのでそれで儲けが出るので問題ないと言っています。
支払いをする感覚を持っていないウツワにクドーは呆れています。
クドーは魔法薬を売ってお金に替える事にします。
高価な魔道具を売っている店に案内してもらいました。
店主に魔法薬の事を伝えると言い値で買い取ると言われてしまいます。
貨幣価値が分からないので店主が相応しいと思う額を支払って欲しいとお願いしたら法外な金額を得る事になりました。
店主から魔法薬を直接取引したいと申し込まれます。
クドーは上の人間がダナと交渉中であると伝えました。
クドーはダナが店主たちにも魔法薬を売り出すと考えていたのですが意外な事を言われてしまいます。
店主は魔法薬はダナ達エクシノフだけが消費する事になる、自分達には廻ってこないと言っていました。
クドーはその店で魔力で動く二輪車を買う事にします。
乗り手の魔力ではなく魔力を蓄積した動力源が搭載されていてその魔力で動くそうです。
乗ってみると馬よりも速い事が分かりました。

ウツワから彼女はダナの器だと知らされます。
ウツワはダナの魂を分割して作られた人造人間なのね・・・
ウツワは15歳になると魂をダナと入れ替えるそうですよ。
ウツワの身体に移動したダナがダナの身体に移ったウツワの魂を食べて一つの存在に戻るそうです。
ウツワはその事に喜びを感じていました。
クドーとリーリには理解しかねる考え方です。

謁見を終えた使節団は船に戻ってきていました。
クドーとリーリが帰って来ないのでホルトが心配しています。
他のメンバーはリーリが同行しているので何も心配していませんでした。
二輪車に乗ったクドーとリーリが戻ってきました。
使節団の一同は二輪車に大きな興味を示しています。

ハルが久しぶりの里帰りを果たしました。
彼女には両親と三人の弟が居ます。
いつも賑やかな家だったそうですが予想外に静かでした。
ドアを開けると母親と末の弟が迎えてくれます。
母親がハルを抱きしめてくれました。
弟は彼女に非難する目を向けてきます・・・ハルは何があったのかを理解しました。
母親に手料理をお願いします。
彼女が台所に向かうと弟を外に連れ出します。
弟から父と兄二人がエクシノフの餌になった事を教えられました。
母親は正気を失い父と二人の兄が今も生きていると思い込んでいる事も教えられました。
ハルは父がダナに食べられた事を知りました。
彼女が禁足地に旅立った理由は家族をエクシノフに食べられない為です。
代わりの魔力源を探すのが目的でした・・・セ―ビルの魔法薬を手に入れたのでそこは達成されたんだけど。
彼女は間に合いませんでした。
禁足地に向かう前ならエクシノフの糧になれた事を誇らしく感じられたのですがハルは怒りを覚えます。

ゼロとロスは新世界で手に入れた歴史の本を読みふけっています。
そこにはダナが支配者になった経緯が書かれていました。
彼女の先祖が支配者になった理由は「誰より神秘的な角を持っていたから」だそうです。
二人の見立てではダナは大した魔女ではないそうです。
実力的にはハルの方が強いそうですよ。
強さが権力の基準にはなっていないのね。
新世界には角への強い信仰心があるようです。

使節団は船で寝泊りする事になりました。
新世界には客を泊めるとの習慣がありませんでした。
船酔いが酷いセ―ビルは船から降りて港で毛布に包まり眠る事にします。
そこにホルトとクドーがやってきました。
新世界に対して感じている気持ちの悪さについて議論を始めます。
そこにロスが加わりました。
正しさに付いて議論していますね。
魔法薬はエクシノフに独占されてしまうので困っている人々に売れないかとホルトは考えました。
ゴーダから政治面でダメ出しをもらいます。
支配者に無許可で商売するのは侵略行為になる、最悪の場合は戦争になると言われました。
隠匿からは商売をするなら特許が必要と教えられました。
魔法薬を売る独占権を手に入れ見張り抜きで新世界を見てまわった方が有用な情報を入手できると教えられます。
隠匿は何かが隠されていると疑っているようです。
問題は新世界の階級制度にあるのではと考えていましたが、双方に言い分があるんだと理解します。
ハルが戻ってきて実情はもっとひどい事になっていると教えてくれます。
ここでハルは父がダナに食べられた話を伝えました。
ハルがロスに質問します。
人の家族を食っておいて突如湧き出た食糧(魔法薬)に浮かれている権力者を滅ぼしたいと願うのは悪なのか?
ロスが含蓄のある答えを返しています・・・流石長生きしているだけはある。
願う事は悪ではない、ハルの怒りと憎悪によってこの先平和がもたらされる国家が血に染まるなら、歴史はハルを悪と呼ぶだろう。
願いが復讐ならば我にできる事はない。
救済を願うなら我と我が小鳥たちは全力を尽くすと誓う。
ロス先生、カッコイイです。
ハルは生き残った母と弟を禁足地に連れて行って欲しいと泣きながらお願いしてきました。
隠匿が内緒話をするならゼロの張った結界内でするべきだと指摘してくれます。
隠匿警戒に余念が無いな。

魔法薬と交換する商品を選定する事になりました。
ダナは広場にある巨大な門を開けて各地から商品を運ばせました。
ホルトは余りに巨大な門(しかも裏側には何も無い)に驚いています。
クドーが仕掛に気が付いていました。
禁足地では魔女の道と呼ばれている遠隔地に一瞬で行ける隠し通路でした。
クドーが仕掛を知っている事にダナは驚いています。
クドーは禁足地の魔術や魔法は新世界よりも原始的なので原理を知っているだけだと伝えます・・・なるほど。
セ―ビルとロスは魔女の門を面白がり手や首を突っ込んで観察していました。
怖いもの知らずだなー。

ホルトがダナとの交渉を始めます。
ホルトの目的はヌラベヌと呼ばれる人々を合法的に移住させる事です。
そこで魔法薬とヌラベヌを交換して欲しいと提案しました。
これを聞いたダナが驚いています。
彼女はヌラベヌを魔力を供給源と捉えています。
大喜びでホルトの提案に乗ってきましたよ・・・
ダナの感覚にホルトは吐き気を催していますが顔に出ないように頑張っています。
ダナとしては思わぬ低価格で貴重な魔法薬が手に入ると小躍りしたくなる気分だったに違いない。
ダナは提供するヌラベヌを自分達で選定すると言っていましたがホルトは希望者を募りたいと提案しました。
ダナは奴隷として連れて行くと考えていたようですね。
ホルトは移住してもらうだけで奴隷にはしないと伝えています。
考え方が大きくずれていますね・・・

注目を集める為ゴーダとハルが騎乗するヒースを上空で旋回させていました。
旋回中に町に迫る化け物を発見します。
ゴーダが危機を知らせるとゼロ、ロス、セ―ビル、ホルト、クドーが迎撃に出る事になります。
隠匿が残り交渉を続ける事になります。
ダナは積み荷を守らなくてはと述べました・・・物扱いなんだよなー。

化け物の接近は町の外壁に住んでいるヌラベヌにも伝わります。
タル(生き残っているハルの末の弟)は町中を駆け回り地下に避難しろと伝えています・・・出来た子だ。
あらかた非難警告が終わった段階で母親が父と兄二人を探しに行ったと教えられます。
母親は父と兄二人が逃げ遅れると焦っています。
近所の人が連れ戻そうとしているのですが聞いてくれません。
タルが駆け寄り既に地下に非難したと嘘を伝えます。
それで安心したのか避難してくれました。
ヒースに乗ったゴーダとハルが町の上空にやって来て化け物への攻撃を始めました。
タルは町を守る為に戦うハルを誇らしく感じています。

ゼロ達はロスが運転する魔導車で出撃しました。
セ―ビルは直ぐに乗り物酔いに見舞われたみたいです。
ホルトが慌てた様子で倒し方をゼロに相談しています。
対してゼロは落ち着いています・・・ハルに化け物(サクルーム)は食べられるのか?と質問してきました。
ハルは面食らったようですが、表面がぱりっとするくらい焼くと高級珍味になると教えます。
ゼロの方針が決まります。
まずは集落を壁で囲むとホルトに命じます。
それだけでホルトは作戦を理解したようですね・・・優秀だな。
クドーとハルに怪我人の捜索と治療を命じます。
ロスが急ブレーキを踏んで魔導車を緊急停止させました。
クドーとハルは振り落とされる事になります。
クドーは二度とロスの運転する魔導車には乗らないと心に決めます。
ハルはあんな運転では免許停止は必至だと文句を言っています。

集落の周辺に到着すると魔導車を止めます。
セ―ビルが降りてきて盛大に吐いていますよ・・・
ゼロが地面を隆起させる魔法を使い集落を囲む壁を作りました。
安全が確保されると大量発生しているサクルームを全て丸焼きにできる魔法を使います。
膨大な魔力を必要とするのですがセ―ビルが居るので余裕で魔法を発動できました。
サクルームは美味しく焼きあがりました。

集落のヌラベヌも交えてサクルームの珍味を味わう事になります。
ノンビリていますがセ―ビルが重大な事を忘れていると気付きます。
交渉が途中でした・・・
慌てて広場に戻ると隠匿が交渉を優位に終わらせた後でしたよ。
隠匿は優秀ですね・・・ホルトが交渉するよりも良い結果だったのかもしれない。

ハルがダナに呼び出されます。
禁足地に移住する事を決めている彼女は心が軽くなっています。
ダナの隣にはザザ・リルというエクシノフが居ました。
ザザは他の塔の管理を任されているダナの部下です。
ダナは禁足地で魔法薬を発見して持ち帰ったハルの功績を高く評価している。
命の恩人と言って感謝を伝えてきました。
ザザから言われて感謝の気持ちを形で示す事にしたそうです。
ハルの母親とタルを塔の雑用として召し抱えると言ってきました。
忠誠の血判状を差し出してきてハルにサインを求めています。
禁足地を訪れる前のハルなら泣いて喜んだのでしょうが今の彼女は怒りしか感じませんでした。
世界を救ったことへの褒美が、忠誠と引き換えに家族を雑用に任命する、でした。
ハルは血判状を破り捨て、謹んでお断りいたします、と伝えます。
ハルの態度にダナとザザは青ざめています。
申し出を断ったハルの心は自由になれたと浮き立っていました。

ザザは枯渇する魔力を何とかする為にヌラベヌの養殖を始めました。
生産工場を建てて交配させているようです。
男の子が生まれると魔力源として一定数間引く事にしています。
女の子は成長させ子供を産ませる事にしているようです。
子供が産めなくなると魔力源として使っています。
ヌラベヌ一人から得られる魔力は魔法薬に遠く及びませんがヌラベヌは増えます。
ザザは数を増やせるところにヌラベヌの有用性を感じています。
しかしダナは即物的な考え方しかできないようです。
ヌラベヌと引き換えに魔法薬を得られると聞いてヌラベヌを提供する事に同意してしまいます。
ザザはそれが不満なようですね。
ザザに使える隷獣が彼のご機嫌を取ろうとしてきました。
ダナには支配者としての力量が無いザザこそ支配者に相応しいと伝えます。
ザザに褒められると期待していたようですが首を折られて魔力源にされてしまいます。
ザザはダナこそが支配者に相応しい、自分達を束ねる事が出来るのは彼女しかいない、と考えていました。
心酔具合は相当だね。
ザザはタダのイエスマンではなくダナに苦言を呈する事をしています。
彼女が考えを改めてくれれば良いと思っています。
ダナを支えたいと思っているみたいだね。

出航寸前に新世界の警察官がやって来ました。
ハルの友達の馬耳を持っているラナがやって来ましたよ。
ラナは新世界に向かう船に犯罪者が二人紛れ込んでいる引き渡して欲しいと言っています。
ホルトが人数が多いので時間が掛かりそうだと伝えるとハルにならすぐに分かると言われました。
なーんか嫌な予感がしますね。
ラナが指定した犯罪者とはハルの母親と弟でした。
罪状は反逆罪です。
ハルは血判状を破り捨てたことへの嫌がらせだと気が付きます。
ラナもそれは理解しているみたいですがエクシノフの主張はすべて正当化されると言っています。
呆れているけど逆らえないって感じだね。
ホルトはハルを船長室に連れ込み相談する事にします。
ラナが時間がないので急いで決めて欲しいと伝えてきました?

船長室ではセ―ビルとロスがオヤツタイムを楽しんでいました。
二人にもどうするか相談に乗って貰う事になります。
ロスが血判状に込められた意味を解説してあげます。
ハルの協力があれば禁足地は新世界の技術をほとんど盗めてしまいます。
そうなると新世界にとって輸出品の価値が低下します。
それを防ぐ為にハルが新世界の不利益にならないという絶対の保証が欲しかったんだと教えました。
ハルは血判状を破いてしまった事を軽率だったと嘆きます。
ロスが禁足地に迷惑を掛けない為に家族を引き渡すか?と問いますよ。
ハルは言葉を濁しています、そりゃ決められねーよな。
セ―ビルがラナを買収するのはどうか?と提案しました。
ハルはダナの命令を達成できないと処罰されるので無理だと答えます。
一緒に連れて行くか?と提案するとハルは裏切ってくれる可能性はあると答えます。
一緒に禁足地に行かない?と提案する事になります。

戻るとラナから、時間切れです刑が執行される、と伝えられました?
空から門番である巨大魚が降ってきました!!
船ごとのみ込もうとしていますね。
ロスがルーデンスの魔杖から細い糸を放ちました。
糸は巨大魚の身体に絡まります。
ロスが料理の時間じゃ、と言って杖を倒すと絡まっている糸が巨大魚をバラバラに解体しました。
巨大魚の破片が降ってきたのですがルーデンスちゃんは全てを呑み込んでしまいました。
力づくで問題を解決しちゃったね・・・これは新世界と敵対する行為です。
ハルはラナに乗ってくか?と問いかけます、友として一緒に禁足地に向かおうとの誘いです。
ラナは家族を残してきているので無理だと断りました。
ラナがハルに撃ってくれとお願いしてきましたよ。
無抵抗で見逃したと思われると不味いのね・・・
ハルはラナの足と両肩を銃で撃ち抜きました。
殺すことはできないと伝えると、十分だ、ありがとう、と言われました。
二人の友情を感じます。

両親と弟を捕まえてハルを改心させようとしたラナの行動は裏目にでました。
ラナの行動を酷すぎると感じたハルは戦争をする覚悟を決めます。
使節団の面々に向かい「戦争をしてくれないか。私とともに」と伝えてきます!!
本気のようです。

ハルが出航したとの報告を受けたラナは憤りを感じています。
彼女はハルに対して愛情を注いできたつもりなんだよね。
ハルの事をヌラベヌ出身のイグナスごときと捉えています。
ハルの事を見下しているのですがそれこそが彼女に拒絶された理由だとは思っていません。
全てが自分中心で他者は自分に従うのが当然って思っています。
そんな絶対支配者のラナが侮っていた存在に逆らわれました。
絶対に許さないとお怒りです。

でもねーゼロとロスの見立てではラナって弱いんだよね。
新世界ってそれ程の戦力を持っていないんじゃないか?
戦争になったら直ぐに負けそうに思えるんだけど・・・
魔力源のセ―ビルが居るのでゼロは強大な魔法を撃ち放題ですしね。
勝てる存在など居ないように思えるんだよなー。

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