ラノベの感想) 幼女戦記 第3巻 The Finest Hour

ターニャは防衛線を突破して共和国軍の司令部を破壊する任務を命じられました。
とてもダイナミックな作戦です。
マッドな科学者であるシューゲル技師が作り出したロケットに搭載されて敵の司令部まで飛ばされる事になりました。
ターニャはシューゲルの作ったロケットが途中で爆発するんじゃないかと不安で仕方ありませんでした。
出撃前に滑走路で一人ブツブツと文句を言いつつ黄昏てます。
そこにレルゲン中佐がやってきて声を掛けてきました。
ターニャは迂闊にも彼の接近に気がついていなかったので、作戦への不満がある事を悟られたのではないかと勘繰ります。
ターニャはレルゲン中佐への言い訳を始めますが、これが不味かったかもしれません。
ターニャは作戦への疑義を持っていることは認めますけど、言い逃れとして、周到な準備をした作戦ですけど、やり過ぎでは無いか・・・
敵司令部を叩く以外に目的があるのではないですかと言い出します。
ターニャは勝手に思考を進めて、自領内に深く入り込んだ共和国軍に対して大規模な反転攻勢にでるのですねと自分の考えを述べてしまいます。

これを聞いたレルゲン中佐は驚いてますよ。
この作戦は参謀本部でも極秘の作戦なのでターニャに知らされるはずはないんだよ。
レルゲン中佐はゼートゥーア閣下に聞いたわけではないのだなと確認してました。
これでターニャの才覚を再度レルゲン中佐に示す事になったぞ。
レルゲン中佐のターニャに対する評価が上昇中です。
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ターニャのロケットが途中で爆発するのではとの心配は杞憂に終わりました。
最近のシューゲルはまともなモノを作るようになってます。
ロケットですからね、恐ろしい速さで敵の警戒網を突破します。
目的の敵司令部の近くに到着してロケットを切り離しミサイルとして使いました。
命中精度はそれ程ではなく、期待していた武器庫に当たって大爆発は起こせませんでしたが、共和国に混乱を与える事はできました。
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情報部の仕入れた敵司令部の候補は3つあり、部隊を分けて攻撃を始めます。
ターニャが担当した建物は怪しげな場所でした。
見張りが手薄です、建物内に侵入すると地下への深い穴が開いていました。
ターニャは考えますね、どうしようかと。
ターニャはエグイ戦法を取りました、地下へと続く穴に燃焼系の術式を打ち込み敵を丸焼きにしました。
共和国軍の司令部は他の部隊が破壊しました。
ターニャ達の破壊した建物は連合王国が情報収集している施設でした。
これは予想外でしたね、しかもターニャ達はその事実を知りません。
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ターニャ達の活躍により共和国軍は司令部を失い、指揮系統が寸断されてしまい、ボロボロでした。
帝国軍は反転攻勢に出て共和国軍を包囲殲滅していきました。
大勝利です、この作戦を発動する前は、西部戦線から後退したので敗色濃厚と沈んでいた国民は勝利に沸き立ちます。
帝国軍は共和国の首都パリースィイを陥れました。
実情は補給線でかなりの無理をしていました。
首都を占領したので、これで戦争は終わるとターニャは思っていました。
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ターニャは参謀本部のゼートゥーアはこの勝利を政治的に有効利用してくれると思っていたようです。
安心していましたし、彼を信じていました。
終戦宣言がでないかなと思っている時に共和国軍が残存部隊を集結しているとの情報を得ました。
敵の司令官の名前にターニャは嫌な予感を覚えます。
残存兵をまとめているのはド・ゴール将軍だと聞いて、こいつは不味いと思いました。
こいつは帝国相手に反抗を続けるに違いないと思ったようです。
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ターニャは共和国軍の命脈を絶つ為に集結中のブレスト軍港に向けての出撃許可を現地司令官に願い出ました。
ここで大いなる認識の齟齬が起こります。
ターニャ以外の帝国兵は、待っていれば停戦命令が出るので攻撃をしない方針でした。
あんまり追い打ちを掛けると政治的な和平交渉で不利にならねーかなと考えたようですよ。
ほっときゃ勝てるのにわざわざ戦闘に出たくないと思ったようです。
まあ妥当な判断だとは思いますけど、結果的には不味すぎでした。
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ターニャはド・ゴールを逃がすと厄介な事になると言って執拗に出撃を進言しました、必死です。
いつも冷静沈着に上官と対峙するターニャには珍しい行動なので、周囲の人々は驚いてますね。
ターニャの部下でさえ、彼女が何故こんなに必死なのか理解しかねていました。
最後は司令官の胸倉を掴んで脅迫してます。
が、出撃命令は出ませんでした、ここで諦めるターニャではありません。
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ターニャは参謀本部から与えられている独自判断の権利を行使して強行出撃する事にしました。
幸いな事に、この基地にはシューゲルらが作ったロケットが配備されていました。
都合の良いことに、ロケットのテスト飛行を頼まれていたので、テスト飛行にかこつけてド・ゴールを倒しに向かう事にしました。
しかし、ターニャの行動は遅すぎました。
結果論ですけど、現地司令官の説得を早々に諦めて独自行動を始めてしまった方が良かったよね。
後々問題になりそうですけど、勝っちまえば問題にはならなかっただろうに。
あと一歩で発進できそうでしが、参謀本部から停戦命令が来てしまったぞ。
これでは出撃できません、ターニャは泣く泣く出撃を断念しました。
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共和国との戦争は帝国の勝利で終わります。
ターニャ達の部隊は休暇に入りました。
ヴァイス中尉を始めとした部下は海にお出かけしています。
残念なことにヴィーシャはターニャに付き合い、お留守番する事になりました。
彼女の水着が見れなかった、残念。
ターニャは休暇中に帝都に戻りゼートゥーアの元を訪ねる事にしました。
彼の真意を問いたかったようです。
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参謀本部に行くとゼートゥーアをはじめとする将校は外出中だと聞かされます。
ターニャは何らかの公式行事があったのかなと考えますけど、ゼートゥーアたちが向かったのはビアホールだと聞かされました。
ターニャに絶望感が広がり始めます。
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翌日、ゼートゥーアと面会したのですが、彼の考えを知り、ターニャは完全に絶望してしまいました。
ゼートゥーアも勝利の美酒に酔いヒャッハーしていたようです。
ターニャは共和国軍の残党をはじめ、周辺諸国の動向が気になっています。
ターニャはまだ戦争は終わらないだろうなと思っていますが、ゼートゥーアは今回の勝利で戦争が終わったと考えていると知ってしまいました。
ゼートゥーアはターニャが強行出撃をしようとして現地司令官に詰め寄ったことなら、さして問題にならないよと的外れな事を言ってます。
言いたいことは色々とあったのですけど、ターニャは諦めてしまうね・・・
何も言わずにゼートゥーアの元を辞しました。
帰り際に泣きそうな顔をしているターニャをレルゲン中佐に見られてしまいました。
落ち込んでいるターニャはレルゲン中佐に気がつきません。
レルゲン中佐は面会したゼートゥーアにターニャと何かありましたかと問うてます。
ゼートゥーアはターニャが何か言いたいことが残っていたと思い至りますが、呼び戻して真意を聞くことはしませんでした。
やはり、終戦を確信している様子です。
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合衆国に脱出した協商連合のアンソンの娘であるメアリーは義勇軍に志願しました。
彼女は父親譲りの魔力適正を持っています。
帝国が共和国を倒したとのニュースに何かがしたくなったようです。
彼女はターニャが父親の仇とは知らないようですけど、ターニャと戦場でまみえる事になるのでしょうか。
それにしても帝国は周辺国からは随分と嫌われていますね。
帝国にしてみれば自国の国土を守る為に戦ったに過ぎないんですが。
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ターニャの懸念は現実になりました。
逃げ出したド・ゴール将軍は共和国の植民地に逃げ、そこで帝国への反抗作戦を始めました。
彼は連合王国の助力を得て、反抗作戦を企図していました。
共和国の首都を陥れ、これで戦争が終わると喜んでいた帝国は可哀想に戦争を続ける事になりました。
油断せずにターニャの言に理解を示し、逃げ出す共和国軍を攻撃していれば、彼奴等の命脈は絶てたのに残念です。
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相変らず帝国には余力がありません、補給線が長い南方大陸で共和国の残党を追いかける事になりました。
派遣したのは僅かな部隊です、指揮官はロメール将軍です。
彼は乏しい兵力での戦闘にヤレヤレと思っていました。
そこにターニャの率いる二〇三航空魔導大隊が派遣されて来ました。
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ターニャは先の現地司令官に対する脅迫行為の罰則として砂漠に飛ばされたと思っています。
ターニャの部下たちも同様に考えているようですけど、実際は少ない兵力で効果が期待できるとゼートゥーアに判断されたのでしょう。
ターニャは色々と心配し過ぎに思えますね。
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ロメールはターニャの資料を読んで、厄介な魔導師がやって来たなと最初は思っていました。
扱いにくいのではないかと・・・
ロメールはターニャのあげている戦果は認めてますね。
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初対面ではターニャもロメールも相手を観察していました。
ターニャはロメールに向かって独自判断での行動権を与えてくれと言ってます。
ロメールは驚いてましたが、ターニャの実力を見たいとの思いから認めてくれます。
これが好判断だったね。
ターニャたちの活躍で港を占領する事に成功してしまいました。
これで補給などの面が多少はマシになりました。
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その後の帝国軍は共和国の残党を各個撃破していきます。
共和国の残党軍に植民地に駐屯していた部隊を組み込んだのですが統制がとれていませんでした。
さらに戦闘経験も低いようで、練度もイマイチでした。
帝国軍はロメールの指揮とターニャの部隊の活躍で圧倒していました。
戦況は有利に進んでいるのですが、ゼートゥーアにしてみると頭が痛い事でした。
補給が苦しいのに戦線を拡大していきます。
現在の帝国軍は他国に対して軍事力で相当上回っているようです。
少ない兵で勝っちゃうんだよね。
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共和国の残党軍でも内部的に動きがありました。
これまで何かと言い訳して作戦に協力的ではなかった植民地軍の司令官たちを更迭しました。
やっとですね、これで、ド・ルーゴの指揮で全軍が動けるようになりました。
ド・ルーゴは連合王国のスパイに協力してもらい共和国軍は個別に行動しているとの情報を流します。
帝国は圧倒しているので油断していました。
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しかしターニャが嫌な予感を感じてロメールに偵察任務に出ることの許可を求めました。
ロメール将軍は素晴らしいです、ターニャに出撃を許可します。
これが帝国軍の窮地を救う事になったね。
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偵察に出たターニャ達は共和国軍が集結していて帝国軍が包囲されかけているとの実情を把握しました。
ターニャの行動は速かったです。
本心では味方を見捨てて逃げたかったようですけど、保身の為に味方の逃げる時間を稼いだと見えるように行動しました。
あくまでも攻める気は無かったんだよね。
しかし戦術がバッチリ決まってしまい、共和国軍に痛撃を与える事に成功してしまいました。
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ターニャたち二〇三航空魔導大隊は包囲しようとしていた共和国軍の右翼を突きました。
共和国軍は包囲陣形が崩壊しそうなので、司令部のある中央の部隊を助っ人に差し向けます。
抜群のタイミングでターニャ達は敵包囲網の中央に向かい転進しました。
右翼に向かっていた共和国軍の魔導師部隊と交錯する形で航空戦力の無くなった中央部を突きました。
大成功ですね、敵の司令部に目がけて爆撃を成功させました。
しかし惜しいですね、その場にド・ルーゴが居たのですが部下の咄嗟の判断で穴倉に蹴り落とされて彼は助かりました。
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ロメール将軍がすぐれた指揮官である事が分かりました。
ターニャ達が包囲網の右翼を崩してから敵包囲網の中央に反転したのを見て残っている左翼を突きました。
ロメール将軍は戦場で馬鹿笑いしてますね、ターニャの戦術を余程気に入ったようです。
これで共和国軍の包囲網は崩壊してしまいました。
包囲網を破壊したターニャの見事な指揮ぶりにロメール将軍はターニャを認めることになりました。
この二人、とても仲良くなりそうです。
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ロメールとターニャは帝国軍を包囲殲滅しようと企てていた共和国軍を撃退しました。
残念なのはド・ルーゴを逃がした事ですね。
彼の指揮で今後もちまちまとした攻撃をしてくるだろうな。
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帝国軍は大勝利を収めました。
しかしターニャには心配の種がありました。
これ以上の戦線拡大に意義があるのかと不審に思っています。
どうやって今回の戦争を終わらせようとしているのかと考えていますね。
ターニャは知らない事なんだけど、帝国の政治家も困っているんだよね。
共和国に対してはかなり優しい停戦協定を申し出たんだけど、断られてます。
一体どうしよう?
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連合王国に帝国を倒す為に動き出す気配があります。
帝国が連合王国に牙をむくとラジオ放送で流してますね。
実情は海軍力の差でとても攻め入る事はできない状況なのですが、それは連合王国には分かりません。
帝国には連合王国に攻め入る意思はないんだけど、これまでの周辺国との戦争に悉く勝利しているので怖がられてます。
これは困った事になりましたよ。
帝国が連合王国を攻めるならば、やはり空を飛んで行くのでしょうか?
そうなるとターニャ達の二〇三航空魔導大隊の出番ですね。
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帝国は勝っているのですが追い込まれつつあるようにも思えますね。
世界的に反帝国の機運が高まっているようです。
各地で義勇軍が組織されて共和国軍に協力するようですよ。
このままでは囲まれて終わりになってしまうのではないだろうか。
存在Xの介入も気になる所ですね。
あいつらが良からぬ事を企んでいないといいんですけどね。
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ターニャの周囲からの評価が自己評価と徐々に乖離してきてますね。
ターニャは一貫して平和な世界が一番と考えてますけど、戦果が巨大なので戦闘的な人物と思われているね。
ターニャが先頭に立って突撃するのは、あくまでもそれが一番安全だとの保身からなのですが、周囲には勇猛果敢な戦闘狂に見える様です。
これもターニャにとっては可哀想な事実ですね。
結果は本人の予想を超えて好結果が出ているのですが、評価は本人の希望から離れつつありますね。
投入するれば戦況を有利にしてくれる存在なので、今後も激戦区に投入されそうだよね。
可哀想だよ。
本人は功績をあげて後方での安全な任務に就きたいと熱望しているのにね。
上手く行かないな。
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レーベル:エンターブレイン
発行日:2014/12/11
著者:カルロ・ゼン
イラスト:篠月しのぶ
ISBN:978-4-04-730037-8
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成分幼女美少女おじ様戦略作戦戦術訓練
評価BBAAABAAAC
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