ラノベの感想) 幼女戦記 第8巻 In omnia paratus

ターニャは呼び出しを受けました。
新たな作戦命令が伝えられると思い込んでいた彼女はウーガ中佐かレルゲン大佐が来るものと思っていました。
しかしやって来たのはゼートゥーア中将でした。
なんで前線に居るのー!?とターニャはビビります。
彼が来ているだけでも驚きなのですが前線に左遷されてきたと聞いて驚きが増します。
ターニャはゼートゥーア中将を頼りにして今後の出世街道を邁進しようと計画していたので自派閥のトップがコケタことで強い衝撃を受けます。
あちゃーって感じですよ、これまで出世の為に彼に尽くしてきたのですがこれは困った状況です。
ターニャは直ぐに逃げ出したいのですが、直属の上司なのでそれもできません。
可哀想なターニャをゼートゥーア中将は更なる苦境に落としてくれます。

左遷されてきたゼートゥーア中将には直接動かせる部隊がありませんでした。
彼はターニャの率いる第二〇三航空魔導大隊から一隊を貸してくれとお願いしてきました。
ターニャは手塩にかけて育て上げた部隊を貸し出したくは無いのですが当然断れません。
ターニャはグランツ中尉の隊を貸し出す事にしました。
彼の部隊もようやく使えるようになってきていたのですが残念ですね。
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ゼートゥーア中将の無茶な要求が続きます。
彼はルーデルドルフ中将が主導する連邦東部での大作戦を助ける為に囮をして欲しいとお願いしてきました。
ハッキリ言って帝国は物資不足で困窮している状況です。
ルーデルドルフ中将が主導するアンドロメダ作戦により連邦東部に広がる資源地帯を手に入れるしか今後の見通しを立てる術がありません。
絶対に成功させなくてはならない作戦です。
その為にターニャに連邦の鉄道集積地であるソルディム528陣地を占領して囮になれと言ってきました。
ターニャの率いるレルゲン戦闘団だけで孤立して防衛するようにと命令されてしまいます。
ゼートゥーア中将は決して見捨てる事はしないと確約してくれました。
ターニャとしてはゼートゥーア中将の言葉を信じるしかない状況でした。
ターニャは口約束だけだったので心細かったようです。
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ターニャはソルディム528陣地で囮を始めます。
連邦軍に包囲される必要があったので部隊に昼寝を命じました。
敵の接近を見ない振りしろって事だったようです。
ターニャに教育されている部下たちは彼女の命令に従ってくれます。
思惑通りにソルディム528陣地は連邦軍に囲まれる事になりました。
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ターニャたちを囲んでいる連邦の部隊は連合王国との混成部隊でした。
この部隊にドレイク中佐とスー中尉が居ました。
スー中尉の存在が戦局に大きな影響を与える事になりました。
彼女は感情により行動する駄目軍人なのでターニャの思考の裏をかく事に成功する事となります。
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セレブリャコーフ中尉やヴァイス少佐は好戦的なウォーモンガーなので包囲している連邦軍に夜襲を掛けてシャベルで殴り殺してこようと提案してきました。
ターニャはゼートゥーア中将から死守を命じられているので許しませんでした。
部下たちの勇猛ぶりに辟易しています。
セレブリャコーフ中尉たちは追い詰められている現状にさして恐怖を感じていないようでした。
連日、連邦軍の攻撃に晒されますが、こちらからは派手な反撃はできませんでした。
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ターニャたちには十分な銃弾がありませんでした。
機銃を撃ちたい場面でも弾が無いので撃てませんでした。
ターニャたちはできるだけ大人しく防衛に徹します。
交戦が終わると敵の遺棄した武器弾薬を拾い集める努力をしています。
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ターニャたちが予定通りに連邦軍に囲まれて孤立したのでゼートゥーア中将が動き始めます。
彼は東部戦線の参謀本部に乗り込み、ターニャたちの救出作戦を立案するようにお願いしました。
今の彼は命令できる立場にないのです。
あくまでも視察任務で東部戦線にやってきているので会議を視察する形式を取っています。
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東部戦線の参謀たちは救援部隊を出す事に後ろ向きでした。
帝国軍は部隊を攻撃のアンドロメダ作戦を行うA部隊と防衛を行うB部隊に分けていました。
防衛部隊は殆ど居ないも同然な少数です。
少数で長い防衛線を守る事になっているので貴重な戦力を出したくないと反対派が多数派でした。
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ゼートゥーア中将は最初から数の不利を理解していたので、囮を置いて、それを撃破しようと出てきた敵を殴り倒すっていう危険な作戦を考えていました。
ターニャには理解させる事はできましたが参謀たちには理解させる事ができませんでした。
ゼートゥーア中将は本国に戻ったら東部戦線の参謀たちを一掃しようと考えます。
これでは使えないので要らない人材って判断しています。
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作戦にはタイミングがあるので結論を出せない参謀本部を待っていられません。
ゼートゥーア中将は独断で部隊を動かす事にします。
ここでターニャから借りたグランツ中尉を使います。
彼の部隊がゼートゥーア中将の護衛に付く事になりました。
他にもクラム師団長を説得してターニャの救援に向かう事になります。
ゼートゥーア中将が味方の救援に向かうと言うとクラム師団長は嬉々として乗ってきました。
これだけでは、B集団が動かない可能性があるので、ゼートゥーア中将は更なる保険を掛けました。
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もうね、破れかぶれです、ゼートゥーア中将は自分まで囮として使う事にします。
あろうことか彼は救援部隊の先頭に立ち進軍を始めてしまいます。
クラム師団長とグランツ中尉が高級将校が先頭に立つのは不味いです、後ろに下がってねとお願いしますが、聞いてはくれませんでした。
ゼートゥーア中将は部隊の士気を気にかけていました。
高級将校の自分が陣頭に立つ事で味方を鼓舞しようとの意図もあったようです。
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自分を見殺しにすることはB集団を指揮する参謀たちには出来ないだろうとの思惑もあったようです。
まったく困った爺さんですが、陣頭に立つ彼にターニャは好感を抱きます。
後方の安全な場所から命令するだけの腑抜けよりはマシですが、思い切ったね。
それだけ困窮しているって事ですが、困った状況です。
可哀想だったのは彼を守ろうと必死になっているグランツ中尉でした。
彼は物凄く気を使っていました。
まあ、ターニャに鍛えられているだけあってゼートゥーア中将に対しても堂々と自分の意見を言っていましたが。
グランツ中尉の訓練された対応に対してゼートゥーア中将はターニャの部下育成能力の高さを評価していました。
ターニャに参謀将校としての資質が無ければ後方で教育係をさせたいと考えていました。
これはターニャの望む、安全な後方での勤務ですが、参謀将校としての才覚があるので叶わぬ望みのようです。
真に残念です、彼女には安全な後方での勤務はやってきそうにありません。
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実際に連邦軍の戦車隊と遭遇するとゼートゥーア中将は衝撃を受ける事になりました。
報告書では読んでいたのですが、帝国軍の戦車砲が連邦軍の戦車に弾かれる実情を見て驚いています。
参謀連中が救援部隊の派遣に消極的だった理由がこれなのねと思い至ります。
ゼートゥーア中将には更なる衝撃が襲い掛かりました。
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これまでは帝国の魔導師はその戦闘力で連邦軍の魔導師を大きく上回っていました。
しかし接敵した連邦軍の魔導師は帝国軍の魔導師に肉薄する強さでした。
これでは帝国が連邦に対して唯一誇っていた優位性が無くなった事になります。
これは困りました。
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ターニャたちはゼートゥーア中将に先立って連邦軍の魔導師部隊とやり合うことになりました。
この戦闘で連邦軍の魔導師が強化されているとの実情に気が付きます。
ターニャはどこから強力な魔導師を調達したんだと考えます。
彼女は一つの回答を導きました。
連邦軍は共産党に従わなかった収容所に収監されていた古参の魔導師を投入してきたんだと気が付きます。
彼女はしっかりと処刑しとけよなーと悪態をついていました。
ここに来て連邦軍の魔導師が戦力アップするのは痛いですね。
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ゼートゥーア中将はターニャに電文を送り作戦を始めるように促しました。
この電文が素晴らしいです。
具体的な命令は一切書かれていませんでした。
連邦軍に傍受されることに対する警戒と、作戦が失敗した場合の言い逃れの口実の為でしょうが素晴らしいです。
「発ゼートゥーア、宛『レルゲン戦闘団』、『レルゲン大佐』は、速やかに『所定』の行動を開始せよ。速やかに『所定』の行動を開始せよ」
ターニャはゼートゥーア中将の意図を図ります。
そして正しく理解しました。
彼女の返信も素晴らしいです。
「発レルゲン戦闘団長、宛『ゼートゥーア閣下』、『レルゲン大佐』は、速やかに『所定』の行動を開始す。」
ターニャは返信を忘れそうになっています。
それだけ素晴らしい作戦だったようですね。
セレブリャコーフ中尉が素晴らしい気遣いを見せてくれてターニャに返信するように促しました。
彼女は本当に得難い部下ですね。
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ターニャは魔力発生を抑えて陣地から飛び立ちました。
彼女は魔導師が陣地から居なくなった事が露見しないように努めたのですがバレました。
陣地を監視していたのがドレイク中佐だったのが運の尽きですね。
陣地からターニャたちが飛び立った事を察知したドレイク中佐は連邦軍のミケル大佐と協議しようとします。
ここで連邦軍の政治将校のタネーチカ中尉が邪魔をしてきました。
彼女はドレイク中佐の出撃要請を断ろうとします。
政治将校の彼女は党の予定に無い出撃は行いたくないようです。
彼女は不確実な出撃は避けたいと苦しい言い訳で拒否してきます。
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ドレイク中佐は聞き分けの無いタネーチカ中尉に辟易します。
そいて大声で彼女とやり合ってしまいました。
これがとても不味かった、ラインの悪魔が陣地から飛び立ったと言ってしまいました。
大声だったので、この発言をスー中尉に聞かれてしまいました。
父親の仇であるラインの悪魔(ターニャね)を殺したいと思っているスー中尉は独断で出撃してしまいます。
彼女は指揮官だったようですね、彼女の指揮する部隊が彼女に付き従いました。
ドレイク中佐はタネーチカ中尉とのやり合いを放り出してスー中尉を追いかける事になりました。
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ターニャは陣地から居なくなった事が露見した場合、連邦軍は陣地を攻撃に向かうと考えていました。
理性的に考えれば合理的な判断だったと思うのですが相手が感情で動く駄目軍人のスー中尉だったのが運の尽きです。
自分たちを追いかけてくる連邦軍に驚いています。
が、迎撃するしか無くなりました、まったく困った相手ですね。
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突出して追ってくるスー中尉に長距離魔導砲撃を加えます。
しっかり命中しているのですがスー中尉はへっちゃらで追ってきます。
連邦の魔導師は防核が厚く防御力が高いのですが速度が遅い弱点がありました。
しかしスー中尉は防御力が高くスピードも絶大でした。
まるで化け物です。
スー中尉以外の魔導師は防核が薄いようですね、数人の魔導師を倒す事に成功しました。
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スー中尉を追ってきたドレイク中佐とミケル大佐の部隊との乱戦になりました。
なんとかダメージを与える事に成功して敵の魔導師部隊を撤退させる事に成功します。
ゼートゥーア中将は自分を囮にする為に通信の暗号化を解きます。
連邦軍に司令官の所在地を教える事にしました。
ターニャはゼートゥーア中将の元に急ぎます。
ドレイク中佐とミケル大佐の魔導師部隊を振り切ったと思っていたのですが待ち伏せを受ける事になりました。
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ゼートゥーア中将が囮をしている地点に向かって高高度から突撃しようとしている場面でドレイク中佐とミケル大佐の部隊に接敵しました。
前後から挟撃される危機でしたがゼートゥーア中将に預けていたグランツ中尉の部隊が役に立ちました。
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ターニャの率いる部隊を追ってきた連邦の魔導師部隊に対して地上から飛び立ったグランツ中尉の部隊が背後を取る事に成功しました。
挟撃して敵の魔導師部隊に痛撃を与えました。
本来であれば逃げていく敵を追いかけて掃討戦を行いたいのですが、ターニャたちにはその余力がありませんでした。
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ゼートゥーア中将とターニャの連携で帝国のB集団に相対していた連邦の部隊を倒す事に成功しました。
ゼートゥーア中将はターニャをお茶に誘います。
二人で連携して少ない兵力で頑張ったのですがA部隊のアンドロメダ作戦は失敗してしまいました。
その進出は目的地であった連邦の資源地帯まで届きませんでした。
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ゼートゥーア中将からアンドロメダ作戦が失敗した原因を教えられます。
ターニャは物資の運搬が間に合わなかったのが問題なのかと思いましたが、最悪の理由で補給が間に合わなかった教えられます。
輸送に使う鉄道はキチンと機能しています。
ウーガ中佐はゼートゥーア中将の後を引き継いでキチンと仕事をしていたそうですが、送るべき物資自体がありませんでした。
砲弾などを作れなかったそうですよ。
これは不味いです。
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ゼートゥーア中将は帝国は既に戦争を継続できる状態ではないと話します。
ターニャはウーガ中佐と損斬りすべきだと話し合った事を思い出します。
ウーガ大佐は損斬りを出来ない状況になっていると言っていましたが、ターニャには理解できていませんでした。
ターニャは前線生活が長くなっているので帝国本国内の雰囲気を理解できなくなっていました。
ゼートゥーア中将が現在の帝国の雰囲気を教えてくれました。
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帝国の中枢では戦争に勝ちたいって気分が強くなりすぎていると教えれくれます。
これまでに費やした戦費を回収したいとの意向が多数派だそうです。
しかし戦争を継続するだけの体力が帝国には残っていません。
しかし、後方の偉い人たちは前線の実情が見えていないので、まだ勝てると思っているそうです。
ゼートゥーア中将も今回前線に出てきて前線の窮状を知ったようなので、仕方ないのかも知れませんね。
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ターニャは諦め気分ですがゼートゥーア中将はまだまだ諦めていませんよ。
彼にはこの窮状を打開する悪だくみがあるようです。
彼はターニャに向かって共犯になってくれと言ってきました。
ゼートゥーア中将は東部を何とかする為には西でも勝つ必要があると言います。
ターニャは連合王国との小競り合いを解消するのかと思いましたが、それよりも東だと言われてしまいます。
やばい、ゼートゥーア中将は帝国本国で何かに勝たねばならないと考えていました。
ターニャは順法精神に富んでいるので困る事になってますね、断りたいのですが断れない状況です。
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ゼートゥーア中将は参謀本部の上部組織、最高統帥会議の不興を買って左遷されました。
最高統帥会議はまだ戦争を継続できると思っているようですよ。
ゼートゥーア中将はターニャの協力を得て最高統帥会議での発言権を得ようとしているのでしょうか?
彼はターニャと協力して軍内部での政治を行う積りのようですよ。
これまでは政治には一切口出ししないで最高統帥会議の決定に従い最高の結果を出す事に腐心してきたゼートゥーア中将がどんな手を使ってくるのか楽しみですね。
徐々に彼の悪辣さが表面化してきているので、エグイ手を使ってくるのでしょうか?
それに巻き込まれそうなターニャはマジ可哀想ですね。
しかし彼女にも他に手段は無さそうなんだよね。
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ゼートゥーア中将は政治に関しては素人だと言っているのが不安材料ではあるね。
学習中だと言ってますが上手くいくのでしょうか?
まあ何もしないと金欠で亡ぶだけのようなので、やるだけやってみるって判断でしょうか?
ゼートゥーア中将のプランは上手くいくのでしょうか?
内容も含めて楽しみです。
帝国は変われるのでしょうか?
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一方、ゼートゥーア中将とターニャにして遣られた連邦はまだまだ余裕ですよ。
結果を報告した軍人はロリヤの不興を買わないだろうかと不安顔でしたが、よくやったと褒めています。
ルーデルドルフ中将が主導するアンドロメダ作戦を止められたので問題ないと言ってます。
ルーデルドルフ中将は「ヨセフグラード」という書記長の名を冠した都市を取ったようでね。
しかし資源地帯まで進出する事は出来ませんでした。
資源地帯を守れたので問題ないとロリヤは言っていますよ。
連邦にはまだまだ資源と人材が残っているようです。
総力戦で撃ち合った場合に数的優位な連邦が最後に残るって計算のようです。
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ロリヤはターニャの出現に喜んでいますよ、下半身が思わず熱を帯びると言ってます、変態め!!
彼女の捜索を軍に依頼していました。
ターニャはロリヤに惚れられている事をまだ知りません。
ロリヤとターニャの邂逅はあるのでしょうか?
こっちも楽しみですね。
ターニャを間近で見た時にロリヤがどのような行動にでるのでしょうか?
それとも二人が邂逅する事はないのでしょうか?
ターニャは帝国本国に戻るようですので、二人の邂逅は先になりそうですね。
ターニャとしては変態から離れられるので危機が去ったとも言えるのかな?
彼女が帝国本国でどのような活躍をするのか楽しみです。
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レーベル:エンターブレイン
発行日:2017/6/30
著者:カルロ・ゼン
イラスト:篠月しのぶ
ISBN:978-4-04-734655-0
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