ラノベの感想) 幼女戦記 第10巻 Viribus Unitis
概略:
疲弊している帝国は東部でゼートゥーア中将が連邦相手に詐欺作戦を実施して戦果を挙げます。レルゲン大佐はコンラート参事官と意気投合しています。彼にターニャを紹介しました。ターニャは率直なコンラートに戦争に勝つのは絶望的だと断言しました。三人は帝国が望みうる最高の結果は講和だと意見の一致を見ます。以降、講和に向けての足掛かりとして戦術的勝利を目指す事になりました。
レーベル:エンターブレイン
発行日:2018/9/29
著者:カルロ・ゼン
イラスト:篠月しのぶ
ISBN:978-4-04-735326-8
雰囲気:外務省と協力、東部で詐欺、西部で政治的作戦、傍聴の疑い、暗い展望、裏切り準備
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第零章 プロローグ
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ターニャは帝国が構造的欠陥を抱えている事に気が付きました。
帝国には頭が3つあり体が1つしかありません。
帝国は軍に対して勝利のみを要求し、その方針を提示してはくれません。
勝つために必要な条件が以前のままで、これまで以上の勝利を要求してきました。
そして3つの頭が勝手に動き出しています。
非常事態に際して団結しなければならないと叫ばれているんですが帝国軍は軍として団結してしまいます。
頭が3つならば要らない2つを外科的に切除しようとの考えが浮かびます。
帝国軍の軍人は切除の方法は知っていますが、切る事を前提に考えています。
このような帝国の現状を鑑みて救いが何処にも無いと考えたターニャは沈む船からの下船を考え始めています。
必要ならば亡命も辞さない構えです。
彼女には考えなしの人の様な無意味な愛国心はありません。
今後の自身の安定を確保する為の当然の行為だと考えています。
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第壱章 青写真
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レルゲン大佐は外務省のコンラート参事官と面会する事になりました。
二人はお互いに軍事と政治が相手の事を無視して動いていたと思っています。
帝国が生き残る為には手を取り合う必要があると考えていました。
二人の考えが一致していたので、会談は成功裏に終わったと言えます。
しかしここでコンラートから軍部の問題点を指摘されてしまいました。
レルゲン大佐は物分かりの良い人材だけを相手に仕事をしてきたので説明責任を果たし切れていませんでした。
ターニャなどは簡単な説明をすれば命令の本質を理解して勝手に適切な行動を取ってくれました。
他の関係者もそのような人材ばかりが参謀本部には揃っていました。
コンラートはそれでは普通の物分かりの悪い人間には理解できないと指摘してくれました。
レルゲン大佐はその通りだったと己の失敗を痛感していました。
これからは政治と軍事が協力し合う事になりました。
レルゲンはルーデルドルフ中将にコンラートとの会談が上手く行った事を報告していました。
レルゲンはコンラートと協力する事で物事が好転するかも知れないと思っていました。
しかしルでルドルフ中将は時間が残っていればいいなと否定的な意見を言っています。
ルーデルドルフはレルゲンに最大限の協力をする事を約束してくれました。
レルゲンはターニャと面会して今後の作戦を知らせる事になります。
レルゲンはターニャの事を最高の参謀将校だと考えています。
時間通りにやって来たターニャの事を褒めています。
ターニャにしてみれば時間厳守は当然の事なので褒められて驚いています。
レルゲン中佐は軍人としては緩んできているようですが、政治と協力する為には良い傾向だと思います。
ターニャは西方に向かう事になりました。
彼女はレルゲンの言葉の裏に隠された予備計画の存在まで理解しているようでした。
ターニャは西方に向かう前に東部に居るゼートゥーア中将にルーデルドルフ中将からの密書を運ぶ事になりました。
ルーデルドルフ中将が西方方面の司令官であるロメール将軍を呼び出しました。
ロメール将軍は参謀本部の雰囲気が停滞してい状況を見て眉を顰めています。
彼の目には参謀本部が有していた合理性が失われているように見えたようです。
ロメールはターニャを貸して貰える事を感謝しました。
ルーデルドルフからターニャの到着が遅れると聞いて疑問を持ちました。
理由を問うと彼女に夏季休暇を与えたので到着が遅れると説明されました。
当然ロメールは理由を問う事にします。
作戦部のトップが未消化の休暇を理由にして到着を遅らせるとは信じられなかったようです。
東部に居るゼートゥーア中将に書類を届けさせると教えるとロメールは納得したようです。
ロメールはルーデルドルフが予備計画を動かしていると気が付きました。
働き詰めのターニャが少しでも休めると良いなと彼女の事を心配しています。
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第弐章 詐欺師
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ゼートゥーア中将は東部戦線を後退させ続けていました。
彼は査閲官として着任しているので公式には命令権限を持っていません。
しかし東部戦線の参謀たちはゼートゥーア中将の実績を信じていて彼の命令を従順に受け入れていました。
非公式ながら絶対的な命令権が確立されてしまった事でゼートゥーア中将は嬉々として作戦指揮を始めています。
敗色濃厚な現状を鑑みて参謀たちは帝国は勝てないと思ってしまったようです。
これは彼らに勝利の美酒を呑んだ経験が欠落しているのが原因でした。
負ける事を受け入れてしまった彼らを立ち直らせる為には目先の勝利が必要でした。
そこでゼートゥーア中将は持てる兵力を最大限に使い連邦を騙す事にしたようです。
東部戦線の兵士達は後退しながらいつになったら反抗作戦が始まるのだろうか?
作戦を実施して勝てるのだろうか?と疑問に思っていたようです。
ゼートゥーア中将は詐欺の完成度を図る為に密書を運んできたターニャに今回の作戦の狙いを聞いてみる事にしました。
地図上に現在の帝国と連邦の配置が描かれています。
そこには連邦の戦線が一部突出している部分が描かれていました。
さらに帝国軍を突出部分を攻撃できる場所に配置してありました。
ターニャは突出部分の根元を刈り取るのですね、と答えました。
彼女の回答を聞いたゼートゥーア中将はニンマリしていました。
ターニャの事を素晴らしい野戦将校と評価しているゼートゥーア中将は、彼女を騙せた事で作戦の成功確率が高い事を確信したようです。
ゼートゥーア中将はターニャに真の狙いを教える事にしました。
彼の狙いを聞いたターニャは詐欺ですね、と答えています。
ターニャは沈みかけている帝国から逃げ出したい、転職したい、と考えています。
ターニャがルーデルドルフ中将から託された密書の内の一通はゼートゥーア中将を大将に昇進させるとの内容でした。
今回の詐欺作戦が成功すればゼートゥーア中将は大きな武勲を挙げる事になり元帥になれる可能性が出てきています。
ゼートゥーア中将は詐欺師大将になる、将来的には詐欺師元帥を目指すと言っています。
ターニャの事を詐欺師集団の仲間にしてやると誘ってきました。
彼女は逃げられなくなりつつあるようです。
詐欺は上手く行くだろうと思っているようですが彼の下で働き続ける事にあまり魅力は感じていないようです。
これは今回の詐欺が上手く行ったとしても戦局が好転するとは思えないからでしょうか?
ゼートゥーア中将は詐欺を完成させる為にターニャに囮になる事を求めました。
突出部分に進出する為の偵察を装いターニャは出撃する事になりました。
連合軍は何度も痛い目を見せられたのでゼートゥーア中将のやり方を研究していました。
結果として連邦はゼートゥーア中将のやり方が予想できるようになっています。
しかし、それこそがゼートゥーア中将の狙いでした。
連合軍は今回のゼートゥーア中将の狙いをターニャと同じように捉えていました。
密かに迎撃部隊を配置して帝国が仕掛けてくるのを待っていました。
迎撃にでるドレイク中佐はゼートゥーア中将の作戦を読み切ったと自信を持っています。
しかしミケル大佐が違和感を抱いていました。
これは経験からくる勘だそうですが具体的な説明はできませんでした。
連合軍は当初の予定通りに偵察にやって来たターニャとヴィーシャを迎え撃つ事にしました。
ターニャとヴィーシャは派手に暴れる事を求められていました。
二人は高度10000メートルまで上昇して敵を観測している風を装います。
ドレイク中佐は部隊を率いてターニャ達を追いかける事にしました。
ここで演算宝珠の性能差がでてしまいます。
連合軍は高度8000までは上昇できるように訓練していました。
これはかなり無理のある飛行を強いられる事になっています。
ドレイク中佐は数にモノを云わせて二人を囲い込もうとしましたが高度差があり過ぎました。
ここで悲劇の幕が開きます。
魔力保持量だけは大きいお馬鹿さんなスー中尉が勝手に突出する事になりました。
スー中尉は防御力も高いので彼女を防御に使いながら攻撃するのが有効だと思われたのですが作戦が瓦解します。
彼女の暴走に成れているドレイク中佐は低高度からの援護射撃に切り替えました。
頭上を取ったターニャとヴィーシャはドレイクの予想を裏切る攻撃を開始しました。
二人は追いかけてきたスー中尉の存在を完全に無視してドレイク中佐が率いる部隊に高度差を使った突進を行いました。
ドレイク中佐は途中でターニャの意図に気が付き散開を命じましたが間に合いませんでした。
二人の狙いは首狩りで部隊の指揮官を狙ったようです。
ターニャはドレイク、ヴィーシャがミケルを狙ったんだと思います。
ドレイクは自爆覚悟で応戦して何とか生き残る事ができました。
ターニャは自爆戦術を使ってきらドレイクに驚愕していました。
人間同士の戦いではなかったのか?と彼女の理性ではドレイクの行動は理解できないようです。
ヴィーシャの方も首狩りに失敗しました。
それでも敵部隊に大打撃を与える事に成功しました。
ターニャに無視されて頭に血が上ったのかスー中尉が常軌を逸した攻撃をしてきました。
普通の狙撃ではターニャ達を倒せないと判断したスー中尉は範囲攻撃を仕掛けてきました。
ターニャは彼女の保持する異常な魔力量に辟易していました。
彼女に存在Xのような我儘さを感じています。
ここでターニャはスー中尉が考えなしの馬鹿なんだと判断しました。
彼女は射線上に居る友軍の事を一切考えていませんでした。
ターニャとヴィーシャは高度を下げてスー中尉をおびき寄せて射線上に連合軍を置く事にしました。
スー中尉はターニャ達を倒す事だけを考えていたので範囲攻撃をしてしまったようです。
連合軍は大打撃を被りました。
ターニャの囮作戦は大成功に終わったようです。
それを受けてゼートゥーア中将は反抗作戦の開始を指示しました。
参謀達は突出部分に攻撃を仕掛けると思っていたので真の狙いを聞いて驚いています。
彼らはゼートゥーア中将の作戦が失敗する事を危惧していました。
ゼートゥーア中将はトランプを例に出し相手の思考を読む事の大切さを教えていました。
ターニャから作戦成功の報告と、無茶な命令はやめて欲しい、との苦情が届きました。
ゼートゥーア中将は今回の作戦で無理をさせるのはこれで終わりだと言っています。
可哀想なターニャは次の作戦ではまた無理な命令をされるようですね・・・
ゼートゥーア中将の詐欺作戦は大成功に終わりました。
連邦の集積地を強襲して砲弾を奪取する事に成功しました。
その砲弾を使い連邦の陣地に砲撃を行う事になりました。
連邦はゼートゥーア中将の作戦を読み切ったとの自信を持っていたので反撃できずに多くの被害を出したようです。
勝っちゃいましたね・・・これで東部戦線の兵士に勝利体験をさせる事ができました。
これで彼らの考え方が帝国が勝利できるって方向にシフトするでしょうか?
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第参章 上司
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ターニャは囮役が終わると西方に戻る事になりました。
詐欺が成功したゼートゥーア中将は東部で暴れ回っているのですが参加する事ができませんでした。
転職を考えているターニャとしては大きな実績を挙げたかったのですが叶いませんでした。
西方に移動したターニャは新たな上司であるロメール将軍の元に呼び出されました。
ここで彼から信じられない命令を受ける事になりました。
ロメール将軍が本国から命じられているのは西方の防衛体制の強化でした。
ローメル将軍はこれを積極的に解釈して連合王国の本土を襲撃する計画を建てていました。
ターニャは制空権を奪われ海軍力で負けているので無謀だと反論しています。
ターニャはこの作戦は攻撃であり防衛ではないと言ってロメールを思いとどまらせようとしました。
しかしロメールは時間稼ぎを企図した遅滞防御をしていてもじり貧だ。
防衛とは攻撃を企図したものでなければ意味が無いと自論を展開してきました。
ターニャとしてもロメールの考えの正しさが分かるだけに否定し続ける事はできませんでした。
彼女が心配しているのは連合王国を倒した後ろに帝国の味方がいるのか?って事でした。
彼女はいないよネとの結論に達しています。
ここでターニャはロメールの考えを変える事が不可能と察して出来る事をしようと考えました。
転職を考えている彼女は他国での自分の知名度を考えています。
自己を過信する事が無い彼女は大した知名度を得ていないと考え、ロメールの無謀な作戦を使い連合王国での知名度を上げようと考えたようです。
黙考していた彼女は「劇的な、戦果があれば・・・あるいは」と声に出してしまいました。
このターニャの発言がロメールに聞こえてしまいました。
ロメールはターニャの説得が出来たと考えたようです。
ターニャは益々逃げにくい状況に陥ったようです。
呆れた事ですがロメール将軍は連合王国の首都を襲う作戦の許可を本国から貰っていませんでした。
指揮官が現場を離れる事は出来ないと言ってターニャに許可を取って来てネとお願いしてきました。
ターニャは本国を説得する事になるようです。
ターニャはロメール将軍から官僚主義に染まっているとの指摘を受けてしまいました。
彼女はそれは不味いと反省していました。
ドレイク中佐は連合王国に戻り情報部のハーバーグラム少将に報告を行っています。
スー中尉の無謀な砲撃によって連邦の兵士が多数死傷したそうです。
その事実関係の報告を行う事になっています。
ドレイク中佐は厳罰が課せられると思っていたようですが不問とされました。
ハーバーグラムは所詮被害に遭ったのは連邦の共産主義者だろ?と言って気にしていませんでした。
とにかく共産主義者が嫌いなようです。
実際に一緒に戦っているドレイクは連邦軍人の全てが共産主義者ではないと知っているのでスー中尉の排除を進言しています。
ドレイクは相手がラインの悪魔とゼートゥーア中将なので再発防止は不可能だと考えていました。
連合王国の上層部には旧協商連合の遺児を義勇兵の中に混ぜておきたい政治的な意図があるようです。
説得の甲斐なくスー中尉の処遇は御咎め無しのままでした。
ハーバーグラムが注目したのはドレイクが東部でラインの悪魔と交戦したとの報告でした。
情報部は帝国の暗号を解析済みで帝国の通信からラインの悪魔は西部に展開している事を掴んでいます。
ドレイクは自分の見たラインの悪魔は本物でしたと言って譲りませんでした。
ドレイクは東部での出来事の詳細をミスター・ジョンソンに報告する為に退室しました。
内緒にされていますがハーバーグラムはドレイクの事を高く評価しています。
信用している彼が東部でラインの悪魔を見たと報告したので情報部の報告に疑念を抱く事になりました。
ハーバーグラムは休暇を使ってラインの悪魔だけを東部に一時的に派遣した可能性を考えましたが否定しています。
これが真相だったのですが、常識ではあり得ない命令だと思ったようです。
信憑性に疑念を抱かれた情報部は帝国の通信を傍受した結果を再検証させられる事になっています。
担当する部署は寝る間も惜しんで働いているようですが残業する事になっています。
帝国だけでなく連合王国もブラック体質であるようです。
ターニャは自分の他国での知名度に懐疑的ですが凄い知名度を誇っているようです。
尤も嫌われ恐れられているようですので転職したいと言って門を叩いても受け入れて貰えるのだろうか?
受け入れて貰えたとしても恨みを買っているようなので暮らし向きは楽しいものとはならないだろうね・・・
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第肆章 価値証明
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ロメールの作戦に許可を貰う為にターニャは参謀本部を訪れました。
レルゲン大佐に話を持っていき彼の力を借りて許可を貰おうと考えたからです。
到着したターニャはレルゲンに連れ出される事になりました。
レルゲンはターニャを外務省に連れて行きコンラートと引き合わせました。
コンラートの振る舞いを見てターニャは彼が真面な人物だと判断して好感を抱いています。
真面な外交を志しているコンラートは真っ直ぐな質問をしてきました・・・戦争に勝てますか?
軍部に所属している者は負けると言う事に激しい忌避感を抱いていました。
帝国の軍事教育では負ける事を想定していません、弱気な考えは非難の対象になります。
率直な意見を聞かせて欲しいと言われたので言い淀むレルゲンに代わりターニャが「確実に負けます」と答えました。
ターニャは現状では勝てる理由が何処にもない事を知っているので正直に答えたに過ぎません。
それに対してコンラートは何故勝てる方法を探さないのだと反駁してきました。
ターニャは探した上で見つからないのです、と軍の窮状を訴えました。
ターニャは帝国は敵を作り過ぎたと語りました。
連合王国、共和国残党、連邦、合衆国、確かに多過ぎますよね。
外交努力を怠っていたでしょと苦言を呈しています。
共和国相手に大勝利を収めた時に勝利を上手く使えなかったじゃないかと恨みを吐き出しています。
ターニャの正直過ぎる意見を聞いてコンラートは笑い出してしまいました。
彼も帝国人なので負ける事を認めるのに苦労していました。
コンラートは帝国軍人なのに負ける事を認められるターニャの事を称賛していました。
レルゲンに向かってどうやって育てたのだ?と質問してくる始末でした。
これに対してレルゲンは勝手に育ったのですと答えました。
ターニャの様な軍人を意図的に育てる事が出来ていれば今頃は勝利していたと言っています。
ターニャは自分が褒められる理由が分からず困惑していました。
ターニャは現状求められる最善として速やかな講和を提言しました。
ターニャの言っている講和とは敗北を認めた上での講和です。
レルゲンの頭に浮かんだのは条件付きの講和でした。
コンラートはターニャの意図を正しく理解してくれたようです。
彼は帝国のしがらみに縛られないターニャの事が気に入り外務省に勧誘してきました。
評価された事をターニャは嬉しく思っていますが、所詮沈む船の外務省なので余り魅力は感じていないようです。
ターニャが乗り気を示したのでレルゲンが慌てて引き抜きは止めてねとコンラートを非難しています。
しかしコンラートから講和に持ち込むには材料が必要だと言われてしまいました。
ターニャはゼートゥーア中将が東部で暴れているのを材料に出来ないか?と問いかけます。
コンラートからはそれでは桁が2つほど足りないと言われてしまいました。
今後は講和を申し込むための材料として大きな戦術的勝利を模索する事になりました。
ターニャ―はレルゲンにロメールの建てた作戦計画の許可も求めました。
彼女としては無理な作戦だったのでレルゲンに否定して欲しかったのですが彼は肯定的に捉えてくれました。
凄く協力的で数日で本国から承認の許可を取り付けてしまいました。
西方に戻るターニャに予備プランは保留する事を伝えて別れる事になりました。
戻ってきたターニャからロメールは作戦の許可が下りた事を知らされました。
ロメールが本来ターニャには見る資格の無い作戦計画書を見せてくれました。
そこには海上戦力を使って連合王国に上陸するとの作戦案が書かれていました。
使うのは海上を航行する速度の速い船だけだそうです。
潜水艦を使った魔導師によるコマンド作戦では見た目の派手さが足りないそうです。
この作戦の目的は政治的なもので連合王国の領土が帝国に犯されたと示す必要があるそうです。
ターニャは無理筋だなーと思いつつもロメールの考えは正しいと認めました。
連合王国は海軍戦力に絶対の自信を持ち信仰しています。
それを挫く事が目的なんだそうです。
信仰を打ち砕くと言われてターニャはヤル気を引き出されたようです。
ロメールはターニャに無茶な命令を下してきました。
投入可能な魔導戦力はターニャの大隊だけだそうです。
ローメルはターニャの大隊だけで一時的に航空優勢を作り出してくれとお願いしてきました。
ターニャの大隊でも不可能ならば誰にもできないと最大級の信頼を示されてしまいターニャは引き受ける事になりました。
転職を考えているのですがしがらみに縛られて動けなくなっています。
ターニャは大隊に今回の作戦計画を説明する事にしました。
ターニャは部下を精神論で騙していると自省しながら説明する事になっています。
彼女が一番嫌いな手段だと思うのですが他に手が無いようです。
流石の大隊の中枢メンバーは無理な作戦ではないか?と疑問を呈してきました。
ターニャが作戦の目的を教えると部下たちはヤル気になったようです。
他の兵科の知り合いにアドバイスを乞いたいと願い出てきました。
ターニャは情報漏洩を防ぐ為に無線での会話を禁じました。
話を聞くなら直接会って話して貰う為にパーティーを偽装する事にしました。
ターニャは連合王国に傍聴されている事を警戒していました。
いよいよターニャ達が行動を開始しました。
連合王国の航空戦力は帝国が行っている夜間の嫌がらせ攻撃に慣れていました。
その日もルーチンワークとして哨戒任務にあたっていたようです。
捕捉した魔導反応がラインの悪魔だと知り焦り始めました。
連合王国側はラインの悪魔に対して恐怖心を抱いているので用意できる航空魔導師を全て投入してきました。
しかし対応が遅すぎたようです。
圧倒的な練度を誇るターニャの大隊に全滅させれた部隊もありました。
ターニャは管制を行っている施設を破壊して引き返して行きました。
連合王国側はラインの悪魔が連合王国本土を狙ってくると思っていたので拍子抜けしたようです。
追撃を掛けるか?との誘惑に駆られましたがラインの悪魔の勇名を思い出して断念しました。
ターニャは帝国が導入できる航空魔導師が少ないと嘆いていましたが連合王国も戦力は厳しそうですよ。
意外にロメールの無謀な作戦は成功してしまうかもしれないね。
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第伍章 帝国式ドアノッカー
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ドレイク中佐は連合王国本土で休暇を取っていました。
東部でターニャに蹴り飛ばされた傷の治療も兼ねていたようです。
ホテルのラウンジで紅茶を楽しもうとしていました。
しかし出された紅茶は東部で飲んでいる物よりも質の低いものでした。
ウエイトレスから帝国の潜水艦に脅かされて物資が入ってこない事を知らされる事になりました。
王国の現状を知り驚いている彼の元にミスター・ジョンソンがやって来ました。
ジョンソンはドレイクに幽霊狩りをお願いしてきました。
相手にする幽霊はラインの悪魔でした。
ジョンソンは近く帝国軍が襲撃してくると言っていました。
ドレイクに新兵ばかりの海兵魔導師の援護をお願いしてきました。
ドレイクは東部でラインの悪魔と接敵しているので信じられない気持ちだったようです。
ターニャ達はロメールの作戦を実行に移す事になりました。
作戦は奇襲を目的としたものだったのですが進路上で連合王国の大部隊が待ち構えていました。
海軍兵力で圧倒されているので作戦は失敗した事になってしまいます。
碌な実戦経験の無い帝国海軍は早々に逃げ出す事になりました。
経験値が足りない為にターニャ達への連絡も無しに退却を始めてしまいます。
呆れた状況ですがターニャは海軍を守る為に連合王国の海兵魔導師部隊に突撃する事を決めました。
観察すると連合王国の魔導師たちが新兵だと分かり弱いモノ虐めを慣行する事になりました。
熟練者であるターニャ達は新兵相手に戦果を挙げていきました。
ロメールの作戦は失敗に終わりましたが経験の浅いヴェステマン中尉の部隊を訓練する事にしました。
ベテランのヴァイス達に敵をヴェステマンの部隊の前に誘導させます。
ヴェステマンはターニャの期待に応えて実地訓練をこなしていきました。
これを予備兵力として動員されたドレイク中佐が見ていました。
訓練もされていない新兵が殺されていくのを見かねたドレイク中佐は指揮官に参戦の許可を貰おうとします。
連絡を取っている間にターニャ達に指揮官を殺されてしまいました。
帝国軍は首狩り戦術を決行しています。
ドレイクは自分が指揮を執る事にして新兵達を鼓舞する事にしました。
恐慌状態にある新兵に向かって敵を殺せと喚く事で統制を取り戻そうとしていました。
ドレイク率いるベテラン海兵魔導中隊が参戦する事で状況が変化しました。
これを見たターニャは連合王国が新兵を肉壁にして自分たちの疲弊を図ったと勘違いする事になりました。
ターニャは転職先として連合王国は選んで大丈夫な相手なのか?との疑問を抱いています。
連合王国の現状を見るに選択肢とはしない方が良いように思われますね。
現状で選ぶなら本格介入していない合衆国のような気がしますね。
連邦のような作戦を取った指揮官を危険人物だと断定して無理な突撃を慣行して首狩りを狙いました。
ドレイクは新兵に統制射撃を命じて数の優位を活かして攻勢に転じました。
ターニャ達は高高度を取りドレイクの事を刈り取ろうとしてきました。
ドレイクもターニャの事を刈り取ろうとしていました。
お互いに相手を危険人物と評価しています。
接近したターニャはドレイクの顔を見て東部で自爆戦術を取った変態だと気が付きます。
「変態!今度こそ、くたばれ!」「錆銀!貴様こそ、くたばれ!」と罵り合い戦闘が始まりました。
余裕が無いので双方とも下品ですね・・・
お互いにゼロ距離からの爆裂術式で相手を倒そうと考えました。
ここで演算宝珠の性能差がモノを云う事になりました。
追い込まれたターニャは95式を使い勝利する事になりました。
存在Xに祈りを捧げなければならないので苦渋の選択だったようです。
ドレイクは何とか防核で爆裂術式の衝撃に耐えましたが飛行術式を破棄したので海上に落下、戦線離脱する事になりました。
指揮官同士の一騎打ちで帝国が勝利したので勢いが付きます。
勢いに乗った帝国は連合王国の海兵魔導師を駆逐して艦隊への攻撃経路を確保する事になりました。
戦意旺盛なグランツ中尉は連合王国艦隊への攻撃を進言してきましたがターニャは否定しました。
今の帝国には損耗した魔導師を補充する術がありません。
練度の高い部下を失いたくないターニャは撤退する事を決めました。
連合王国が待ち構えていた事からターニャは帝国の情報が洩れていると悟りました。
帰ったらロメールに文句を言ってやると心に誓っています。
極秘作戦だったのに連合王国の旅団が待ち構えていたと知ったロメールは恐怖に駆られる事になります。
海軍が無事に撤退したとの知らせに安堵したのですが深刻な問題に気が付きました。
ロメールは帝国軍の情報が筒抜けになっていると悟ります。
スパイか裏切り者が居るか暗号が解読されていると予想します。
この中でロメールは暗号が解読されていると考えました。
暗号が解読されていると仮定した場合不味い事になります。
帝国に余力が無くなっている事が連合王国に露見している場合、帝国包囲網が厳しくなることが予想されます。
味方となっているイルドアを介して連合王国や共和国が攻め込んでくる可能性を考えています。
ロメールは裏切られる前にイルドアを叩くか?と考えますがこれ以上戦線を増やす事は出来ないと思いなおしています。
戻ってきたターニャはロメールに作戦がバレていた事を示唆しました。
ターニャもロメールと同様に帝国の暗号が解読されていると考えていました。
ロメールはターニャと考えが一致した事で己の考えの正しさを確信したようです。
暗号が解読されている場合、予備作戦が存在している事が問題となります。
ロメールは全てが覆る、本命も予備も無いぞ、と言っています。
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第碌章 砂時計
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ルーデルドルフ中将は一人で考えていました。
東部でゼートゥーア中将が反抗作戦を成功させたので少し気分が良いようです。
西方ではロメール将軍の上陸作戦が失敗しました。
西方での失敗の理由として暗号が解読されている可能性が浮上しました。
それを確認するだけでも大変だと考えています。
ゼートゥーア中将の成功から全てのしがらみから解放された指揮系統の必要性を感じてます。
砂時計をひっくり返して体制の転換が必要だと思っています。
帝国軍人であるルーデルドルフはそれを実行に移す事に躊躇を覚えています。
全てはイルドア次第だと考えています。
イルドアを介して外交手段を用いた講和の模索が本命で失敗した場合に予備として軍の権限拡大を考えているようです。
イルドアの存在が危険だと考え始めています。
裏切られる前に攻撃してしまうか?と考えていますね。
ゼートゥーアは東部でルーデルドルフの事を心配していました。
彼に政治的な思考が取れるのかが心配なようです。
西方での作戦が失敗に終わったターニャは暇になりました。
西方は共和国からブンドッタ地域なので文化的な香りがしています。
そこでターニャは休暇を取る事にしました。
配下の兵士にも休暇申請が可能である事を伝えました。
彼女の部隊は上司が休まない限り休みにくいとの空気が流れているようです。
ターニャが休暇を取ると分かったので部下たちはこぞって休暇を申請してきました。
ターニャはセレブリャコーフ中尉とささやかなお茶会を開く事になりました。
ターニャは休暇でヴィーシャは上司に引率された事にして仕事をサボる事にしました。
丁度良い機会だと考えたヴィーシャが戦争の行く末について質問してきました。
ターニャは負けないだろ、と答えました。
ヴィーシャは帝国軍人らしく武力だけで戦争を終結できると考えていました。
ターニャは全ては政治交渉次第だとの答えを返しました。
ヴィーシャはより強い拳を用意出来た方が勝つのですね、と間抜けな答えを返してきました。
ターニャは彼女の考え方に教育の足りなさを痛感しています。
彼女に勉強を兼ねた宿題を課すことになりました。
レルゲンがルーデルドルフに呼ばれました。
そこでルーデルドルフから『対叛乱計画』と名付けられた帝都で軍を動かす計画を示唆されました。
レルゲンはルーデルドルフがクーデターを考えていると予想したようです。
レルゲンはルーデルドルフの本気度を知り止めています。
ルーデルドルフは帝国には時間が無いと嘆いています。
レルゲンは口止め料として高価な葉巻を貰う事になりました。
自分で吸うのも躊躇われたので、苦労しているウーガ中佐にあげようと思い彼の元に向かいました。
鉄道部に所属しているウーガ中佐は疲労の極致にあったようです。
レルゲンが訪問した時に居眠りをしていました。
レルゲンはウーガの机の上でイルドア方面の時刻表を見付けました。
これを見たレルゲンはルーデルドルフがイルドアへの侵攻計画を考えている事を悟りました。
目覚めたウーガから既に鉄道車両の手配を行ったと聞いて確信を得たようです。
鉄道屋のウーガには計画の本当の意味が理解できていませんでした。
あくまでも予備プランとして用意されていると考えていました。
レルゲンから計画の真の目的を聞いて驚いています。
レルゲンはイルドア方面への鉄道の再編が予備プラン発動のスイッチに成っていると気が付きます。
レルゲンはウーガに時間稼ぎに協力して欲しいとお願いしていました。
ウーガは計画の危うさを理解したようですレルゲンに協力すると言ってくれました。
レルゲンは帝国の体制を守る為にあがく事を決めました。
追い込まれている帝国軍の重鎮たちは迷走を始めようとしているようです。
これは不味いですね・・・帝国は生き残れるのでしょうか?
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疲弊している帝国は東部でゼートゥーア中将が連邦相手に詐欺作戦を実施して戦果を挙げます。レルゲン大佐はコンラート参事官と意気投合しています。彼にターニャを紹介しました。ターニャは率直なコンラートに戦争に勝つのは絶望的だと断言しました。三人は帝国が望みうる最高の結果は講和だと意見の一致を見ます。以降、講和に向けての足掛かりとして戦術的勝利を目指す事になりました。
レーベル:エンターブレイン
発行日:2018/9/29
著者:カルロ・ゼン
イラスト:篠月しのぶ
ISBN:978-4-04-735326-8
雰囲気:外務省と協力、東部で詐欺、西部で政治的作戦、傍聴の疑い、暗い展望、裏切り準備
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第零章 プロローグ
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ターニャは帝国が構造的欠陥を抱えている事に気が付きました。
帝国には頭が3つあり体が1つしかありません。
帝国は軍に対して勝利のみを要求し、その方針を提示してはくれません。
勝つために必要な条件が以前のままで、これまで以上の勝利を要求してきました。
そして3つの頭が勝手に動き出しています。
非常事態に際して団結しなければならないと叫ばれているんですが帝国軍は軍として団結してしまいます。
頭が3つならば要らない2つを外科的に切除しようとの考えが浮かびます。
帝国軍の軍人は切除の方法は知っていますが、切る事を前提に考えています。
このような帝国の現状を鑑みて救いが何処にも無いと考えたターニャは沈む船からの下船を考え始めています。
必要ならば亡命も辞さない構えです。
彼女には考えなしの人の様な無意味な愛国心はありません。
今後の自身の安定を確保する為の当然の行為だと考えています。
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第壱章 青写真
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レルゲン大佐は外務省のコンラート参事官と面会する事になりました。
二人はお互いに軍事と政治が相手の事を無視して動いていたと思っています。
帝国が生き残る為には手を取り合う必要があると考えていました。
二人の考えが一致していたので、会談は成功裏に終わったと言えます。
しかしここでコンラートから軍部の問題点を指摘されてしまいました。
レルゲン大佐は物分かりの良い人材だけを相手に仕事をしてきたので説明責任を果たし切れていませんでした。
ターニャなどは簡単な説明をすれば命令の本質を理解して勝手に適切な行動を取ってくれました。
他の関係者もそのような人材ばかりが参謀本部には揃っていました。
コンラートはそれでは普通の物分かりの悪い人間には理解できないと指摘してくれました。
レルゲン大佐はその通りだったと己の失敗を痛感していました。
これからは政治と軍事が協力し合う事になりました。
レルゲンはルーデルドルフ中将にコンラートとの会談が上手く行った事を報告していました。
レルゲンはコンラートと協力する事で物事が好転するかも知れないと思っていました。
しかしルでルドルフ中将は時間が残っていればいいなと否定的な意見を言っています。
ルーデルドルフはレルゲンに最大限の協力をする事を約束してくれました。
レルゲンはターニャと面会して今後の作戦を知らせる事になります。
レルゲンはターニャの事を最高の参謀将校だと考えています。
時間通りにやって来たターニャの事を褒めています。
ターニャにしてみれば時間厳守は当然の事なので褒められて驚いています。
レルゲン中佐は軍人としては緩んできているようですが、政治と協力する為には良い傾向だと思います。
ターニャは西方に向かう事になりました。
彼女はレルゲンの言葉の裏に隠された予備計画の存在まで理解しているようでした。
ターニャは西方に向かう前に東部に居るゼートゥーア中将にルーデルドルフ中将からの密書を運ぶ事になりました。
ルーデルドルフ中将が西方方面の司令官であるロメール将軍を呼び出しました。
ロメール将軍は参謀本部の雰囲気が停滞してい状況を見て眉を顰めています。
彼の目には参謀本部が有していた合理性が失われているように見えたようです。
ロメールはターニャを貸して貰える事を感謝しました。
ルーデルドルフからターニャの到着が遅れると聞いて疑問を持ちました。
理由を問うと彼女に夏季休暇を与えたので到着が遅れると説明されました。
当然ロメールは理由を問う事にします。
作戦部のトップが未消化の休暇を理由にして到着を遅らせるとは信じられなかったようです。
東部に居るゼートゥーア中将に書類を届けさせると教えるとロメールは納得したようです。
ロメールはルーデルドルフが予備計画を動かしていると気が付きました。
働き詰めのターニャが少しでも休めると良いなと彼女の事を心配しています。
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第弐章 詐欺師
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ゼートゥーア中将は東部戦線を後退させ続けていました。
彼は査閲官として着任しているので公式には命令権限を持っていません。
しかし東部戦線の参謀たちはゼートゥーア中将の実績を信じていて彼の命令を従順に受け入れていました。
非公式ながら絶対的な命令権が確立されてしまった事でゼートゥーア中将は嬉々として作戦指揮を始めています。
敗色濃厚な現状を鑑みて参謀たちは帝国は勝てないと思ってしまったようです。
これは彼らに勝利の美酒を呑んだ経験が欠落しているのが原因でした。
負ける事を受け入れてしまった彼らを立ち直らせる為には目先の勝利が必要でした。
そこでゼートゥーア中将は持てる兵力を最大限に使い連邦を騙す事にしたようです。
東部戦線の兵士達は後退しながらいつになったら反抗作戦が始まるのだろうか?
作戦を実施して勝てるのだろうか?と疑問に思っていたようです。
ゼートゥーア中将は詐欺の完成度を図る為に密書を運んできたターニャに今回の作戦の狙いを聞いてみる事にしました。
地図上に現在の帝国と連邦の配置が描かれています。
そこには連邦の戦線が一部突出している部分が描かれていました。
さらに帝国軍を突出部分を攻撃できる場所に配置してありました。
ターニャは突出部分の根元を刈り取るのですね、と答えました。
彼女の回答を聞いたゼートゥーア中将はニンマリしていました。
ターニャの事を素晴らしい野戦将校と評価しているゼートゥーア中将は、彼女を騙せた事で作戦の成功確率が高い事を確信したようです。
ゼートゥーア中将はターニャに真の狙いを教える事にしました。
彼の狙いを聞いたターニャは詐欺ですね、と答えています。
ターニャは沈みかけている帝国から逃げ出したい、転職したい、と考えています。
ターニャがルーデルドルフ中将から託された密書の内の一通はゼートゥーア中将を大将に昇進させるとの内容でした。
今回の詐欺作戦が成功すればゼートゥーア中将は大きな武勲を挙げる事になり元帥になれる可能性が出てきています。
ゼートゥーア中将は詐欺師大将になる、将来的には詐欺師元帥を目指すと言っています。
ターニャの事を詐欺師集団の仲間にしてやると誘ってきました。
彼女は逃げられなくなりつつあるようです。
詐欺は上手く行くだろうと思っているようですが彼の下で働き続ける事にあまり魅力は感じていないようです。
これは今回の詐欺が上手く行ったとしても戦局が好転するとは思えないからでしょうか?
ゼートゥーア中将は詐欺を完成させる為にターニャに囮になる事を求めました。
突出部分に進出する為の偵察を装いターニャは出撃する事になりました。
連合軍は何度も痛い目を見せられたのでゼートゥーア中将のやり方を研究していました。
結果として連邦はゼートゥーア中将のやり方が予想できるようになっています。
しかし、それこそがゼートゥーア中将の狙いでした。
連合軍は今回のゼートゥーア中将の狙いをターニャと同じように捉えていました。
密かに迎撃部隊を配置して帝国が仕掛けてくるのを待っていました。
迎撃にでるドレイク中佐はゼートゥーア中将の作戦を読み切ったと自信を持っています。
しかしミケル大佐が違和感を抱いていました。
これは経験からくる勘だそうですが具体的な説明はできませんでした。
連合軍は当初の予定通りに偵察にやって来たターニャとヴィーシャを迎え撃つ事にしました。
ターニャとヴィーシャは派手に暴れる事を求められていました。
二人は高度10000メートルまで上昇して敵を観測している風を装います。
ドレイク中佐は部隊を率いてターニャ達を追いかける事にしました。
ここで演算宝珠の性能差がでてしまいます。
連合軍は高度8000までは上昇できるように訓練していました。
これはかなり無理のある飛行を強いられる事になっています。
ドレイク中佐は数にモノを云わせて二人を囲い込もうとしましたが高度差があり過ぎました。
ここで悲劇の幕が開きます。
魔力保持量だけは大きいお馬鹿さんなスー中尉が勝手に突出する事になりました。
スー中尉は防御力も高いので彼女を防御に使いながら攻撃するのが有効だと思われたのですが作戦が瓦解します。
彼女の暴走に成れているドレイク中佐は低高度からの援護射撃に切り替えました。
頭上を取ったターニャとヴィーシャはドレイクの予想を裏切る攻撃を開始しました。
二人は追いかけてきたスー中尉の存在を完全に無視してドレイク中佐が率いる部隊に高度差を使った突進を行いました。
ドレイク中佐は途中でターニャの意図に気が付き散開を命じましたが間に合いませんでした。
二人の狙いは首狩りで部隊の指揮官を狙ったようです。
ターニャはドレイク、ヴィーシャがミケルを狙ったんだと思います。
ドレイクは自爆覚悟で応戦して何とか生き残る事ができました。
ターニャは自爆戦術を使ってきらドレイクに驚愕していました。
人間同士の戦いではなかったのか?と彼女の理性ではドレイクの行動は理解できないようです。
ヴィーシャの方も首狩りに失敗しました。
それでも敵部隊に大打撃を与える事に成功しました。
ターニャに無視されて頭に血が上ったのかスー中尉が常軌を逸した攻撃をしてきました。
普通の狙撃ではターニャ達を倒せないと判断したスー中尉は範囲攻撃を仕掛けてきました。
ターニャは彼女の保持する異常な魔力量に辟易していました。
彼女に存在Xのような我儘さを感じています。
ここでターニャはスー中尉が考えなしの馬鹿なんだと判断しました。
彼女は射線上に居る友軍の事を一切考えていませんでした。
ターニャとヴィーシャは高度を下げてスー中尉をおびき寄せて射線上に連合軍を置く事にしました。
スー中尉はターニャ達を倒す事だけを考えていたので範囲攻撃をしてしまったようです。
連合軍は大打撃を被りました。
ターニャの囮作戦は大成功に終わったようです。
それを受けてゼートゥーア中将は反抗作戦の開始を指示しました。
参謀達は突出部分に攻撃を仕掛けると思っていたので真の狙いを聞いて驚いています。
彼らはゼートゥーア中将の作戦が失敗する事を危惧していました。
ゼートゥーア中将はトランプを例に出し相手の思考を読む事の大切さを教えていました。
ターニャから作戦成功の報告と、無茶な命令はやめて欲しい、との苦情が届きました。
ゼートゥーア中将は今回の作戦で無理をさせるのはこれで終わりだと言っています。
可哀想なターニャは次の作戦ではまた無理な命令をされるようですね・・・
ゼートゥーア中将の詐欺作戦は大成功に終わりました。
連邦の集積地を強襲して砲弾を奪取する事に成功しました。
その砲弾を使い連邦の陣地に砲撃を行う事になりました。
連邦はゼートゥーア中将の作戦を読み切ったとの自信を持っていたので反撃できずに多くの被害を出したようです。
勝っちゃいましたね・・・これで東部戦線の兵士に勝利体験をさせる事ができました。
これで彼らの考え方が帝国が勝利できるって方向にシフトするでしょうか?
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第参章 上司
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ターニャは囮役が終わると西方に戻る事になりました。
詐欺が成功したゼートゥーア中将は東部で暴れ回っているのですが参加する事ができませんでした。
転職を考えているターニャとしては大きな実績を挙げたかったのですが叶いませんでした。
西方に移動したターニャは新たな上司であるロメール将軍の元に呼び出されました。
ここで彼から信じられない命令を受ける事になりました。
ロメール将軍が本国から命じられているのは西方の防衛体制の強化でした。
ローメル将軍はこれを積極的に解釈して連合王国の本土を襲撃する計画を建てていました。
ターニャは制空権を奪われ海軍力で負けているので無謀だと反論しています。
ターニャはこの作戦は攻撃であり防衛ではないと言ってロメールを思いとどまらせようとしました。
しかしロメールは時間稼ぎを企図した遅滞防御をしていてもじり貧だ。
防衛とは攻撃を企図したものでなければ意味が無いと自論を展開してきました。
ターニャとしてもロメールの考えの正しさが分かるだけに否定し続ける事はできませんでした。
彼女が心配しているのは連合王国を倒した後ろに帝国の味方がいるのか?って事でした。
彼女はいないよネとの結論に達しています。
ここでターニャはロメールの考えを変える事が不可能と察して出来る事をしようと考えました。
転職を考えている彼女は他国での自分の知名度を考えています。
自己を過信する事が無い彼女は大した知名度を得ていないと考え、ロメールの無謀な作戦を使い連合王国での知名度を上げようと考えたようです。
黙考していた彼女は「劇的な、戦果があれば・・・あるいは」と声に出してしまいました。
このターニャの発言がロメールに聞こえてしまいました。
ロメールはターニャの説得が出来たと考えたようです。
ターニャは益々逃げにくい状況に陥ったようです。
呆れた事ですがロメール将軍は連合王国の首都を襲う作戦の許可を本国から貰っていませんでした。
指揮官が現場を離れる事は出来ないと言ってターニャに許可を取って来てネとお願いしてきました。
ターニャは本国を説得する事になるようです。
ターニャはロメール将軍から官僚主義に染まっているとの指摘を受けてしまいました。
彼女はそれは不味いと反省していました。
ドレイク中佐は連合王国に戻り情報部のハーバーグラム少将に報告を行っています。
スー中尉の無謀な砲撃によって連邦の兵士が多数死傷したそうです。
その事実関係の報告を行う事になっています。
ドレイク中佐は厳罰が課せられると思っていたようですが不問とされました。
ハーバーグラムは所詮被害に遭ったのは連邦の共産主義者だろ?と言って気にしていませんでした。
とにかく共産主義者が嫌いなようです。
実際に一緒に戦っているドレイクは連邦軍人の全てが共産主義者ではないと知っているのでスー中尉の排除を進言しています。
ドレイクは相手がラインの悪魔とゼートゥーア中将なので再発防止は不可能だと考えていました。
連合王国の上層部には旧協商連合の遺児を義勇兵の中に混ぜておきたい政治的な意図があるようです。
説得の甲斐なくスー中尉の処遇は御咎め無しのままでした。
ハーバーグラムが注目したのはドレイクが東部でラインの悪魔と交戦したとの報告でした。
情報部は帝国の暗号を解析済みで帝国の通信からラインの悪魔は西部に展開している事を掴んでいます。
ドレイクは自分の見たラインの悪魔は本物でしたと言って譲りませんでした。
ドレイクは東部での出来事の詳細をミスター・ジョンソンに報告する為に退室しました。
内緒にされていますがハーバーグラムはドレイクの事を高く評価しています。
信用している彼が東部でラインの悪魔を見たと報告したので情報部の報告に疑念を抱く事になりました。
ハーバーグラムは休暇を使ってラインの悪魔だけを東部に一時的に派遣した可能性を考えましたが否定しています。
これが真相だったのですが、常識ではあり得ない命令だと思ったようです。
信憑性に疑念を抱かれた情報部は帝国の通信を傍受した結果を再検証させられる事になっています。
担当する部署は寝る間も惜しんで働いているようですが残業する事になっています。
帝国だけでなく連合王国もブラック体質であるようです。
ターニャは自分の他国での知名度に懐疑的ですが凄い知名度を誇っているようです。
尤も嫌われ恐れられているようですので転職したいと言って門を叩いても受け入れて貰えるのだろうか?
受け入れて貰えたとしても恨みを買っているようなので暮らし向きは楽しいものとはならないだろうね・・・
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第肆章 価値証明
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ロメールの作戦に許可を貰う為にターニャは参謀本部を訪れました。
レルゲン大佐に話を持っていき彼の力を借りて許可を貰おうと考えたからです。
到着したターニャはレルゲンに連れ出される事になりました。
レルゲンはターニャを外務省に連れて行きコンラートと引き合わせました。
コンラートの振る舞いを見てターニャは彼が真面な人物だと判断して好感を抱いています。
真面な外交を志しているコンラートは真っ直ぐな質問をしてきました・・・戦争に勝てますか?
軍部に所属している者は負けると言う事に激しい忌避感を抱いていました。
帝国の軍事教育では負ける事を想定していません、弱気な考えは非難の対象になります。
率直な意見を聞かせて欲しいと言われたので言い淀むレルゲンに代わりターニャが「確実に負けます」と答えました。
ターニャは現状では勝てる理由が何処にもない事を知っているので正直に答えたに過ぎません。
それに対してコンラートは何故勝てる方法を探さないのだと反駁してきました。
ターニャは探した上で見つからないのです、と軍の窮状を訴えました。
ターニャは帝国は敵を作り過ぎたと語りました。
連合王国、共和国残党、連邦、合衆国、確かに多過ぎますよね。
外交努力を怠っていたでしょと苦言を呈しています。
共和国相手に大勝利を収めた時に勝利を上手く使えなかったじゃないかと恨みを吐き出しています。
ターニャの正直過ぎる意見を聞いてコンラートは笑い出してしまいました。
彼も帝国人なので負ける事を認めるのに苦労していました。
コンラートは帝国軍人なのに負ける事を認められるターニャの事を称賛していました。
レルゲンに向かってどうやって育てたのだ?と質問してくる始末でした。
これに対してレルゲンは勝手に育ったのですと答えました。
ターニャの様な軍人を意図的に育てる事が出来ていれば今頃は勝利していたと言っています。
ターニャは自分が褒められる理由が分からず困惑していました。
ターニャは現状求められる最善として速やかな講和を提言しました。
ターニャの言っている講和とは敗北を認めた上での講和です。
レルゲンの頭に浮かんだのは条件付きの講和でした。
コンラートはターニャの意図を正しく理解してくれたようです。
彼は帝国のしがらみに縛られないターニャの事が気に入り外務省に勧誘してきました。
評価された事をターニャは嬉しく思っていますが、所詮沈む船の外務省なので余り魅力は感じていないようです。
ターニャが乗り気を示したのでレルゲンが慌てて引き抜きは止めてねとコンラートを非難しています。
しかしコンラートから講和に持ち込むには材料が必要だと言われてしまいました。
ターニャはゼートゥーア中将が東部で暴れているのを材料に出来ないか?と問いかけます。
コンラートからはそれでは桁が2つほど足りないと言われてしまいました。
今後は講和を申し込むための材料として大きな戦術的勝利を模索する事になりました。
ターニャ―はレルゲンにロメールの建てた作戦計画の許可も求めました。
彼女としては無理な作戦だったのでレルゲンに否定して欲しかったのですが彼は肯定的に捉えてくれました。
凄く協力的で数日で本国から承認の許可を取り付けてしまいました。
西方に戻るターニャに予備プランは保留する事を伝えて別れる事になりました。
戻ってきたターニャからロメールは作戦の許可が下りた事を知らされました。
ロメールが本来ターニャには見る資格の無い作戦計画書を見せてくれました。
そこには海上戦力を使って連合王国に上陸するとの作戦案が書かれていました。
使うのは海上を航行する速度の速い船だけだそうです。
潜水艦を使った魔導師によるコマンド作戦では見た目の派手さが足りないそうです。
この作戦の目的は政治的なもので連合王国の領土が帝国に犯されたと示す必要があるそうです。
ターニャは無理筋だなーと思いつつもロメールの考えは正しいと認めました。
連合王国は海軍戦力に絶対の自信を持ち信仰しています。
それを挫く事が目的なんだそうです。
信仰を打ち砕くと言われてターニャはヤル気を引き出されたようです。
ロメールはターニャに無茶な命令を下してきました。
投入可能な魔導戦力はターニャの大隊だけだそうです。
ローメルはターニャの大隊だけで一時的に航空優勢を作り出してくれとお願いしてきました。
ターニャの大隊でも不可能ならば誰にもできないと最大級の信頼を示されてしまいターニャは引き受ける事になりました。
転職を考えているのですがしがらみに縛られて動けなくなっています。
ターニャは大隊に今回の作戦計画を説明する事にしました。
ターニャは部下を精神論で騙していると自省しながら説明する事になっています。
彼女が一番嫌いな手段だと思うのですが他に手が無いようです。
流石の大隊の中枢メンバーは無理な作戦ではないか?と疑問を呈してきました。
ターニャが作戦の目的を教えると部下たちはヤル気になったようです。
他の兵科の知り合いにアドバイスを乞いたいと願い出てきました。
ターニャは情報漏洩を防ぐ為に無線での会話を禁じました。
話を聞くなら直接会って話して貰う為にパーティーを偽装する事にしました。
ターニャは連合王国に傍聴されている事を警戒していました。
いよいよターニャ達が行動を開始しました。
連合王国の航空戦力は帝国が行っている夜間の嫌がらせ攻撃に慣れていました。
その日もルーチンワークとして哨戒任務にあたっていたようです。
捕捉した魔導反応がラインの悪魔だと知り焦り始めました。
連合王国側はラインの悪魔に対して恐怖心を抱いているので用意できる航空魔導師を全て投入してきました。
しかし対応が遅すぎたようです。
圧倒的な練度を誇るターニャの大隊に全滅させれた部隊もありました。
ターニャは管制を行っている施設を破壊して引き返して行きました。
連合王国側はラインの悪魔が連合王国本土を狙ってくると思っていたので拍子抜けしたようです。
追撃を掛けるか?との誘惑に駆られましたがラインの悪魔の勇名を思い出して断念しました。
ターニャは帝国が導入できる航空魔導師が少ないと嘆いていましたが連合王国も戦力は厳しそうですよ。
意外にロメールの無謀な作戦は成功してしまうかもしれないね。
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第伍章 帝国式ドアノッカー
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ドレイク中佐は連合王国本土で休暇を取っていました。
東部でターニャに蹴り飛ばされた傷の治療も兼ねていたようです。
ホテルのラウンジで紅茶を楽しもうとしていました。
しかし出された紅茶は東部で飲んでいる物よりも質の低いものでした。
ウエイトレスから帝国の潜水艦に脅かされて物資が入ってこない事を知らされる事になりました。
王国の現状を知り驚いている彼の元にミスター・ジョンソンがやって来ました。
ジョンソンはドレイクに幽霊狩りをお願いしてきました。
相手にする幽霊はラインの悪魔でした。
ジョンソンは近く帝国軍が襲撃してくると言っていました。
ドレイクに新兵ばかりの海兵魔導師の援護をお願いしてきました。
ドレイクは東部でラインの悪魔と接敵しているので信じられない気持ちだったようです。
ターニャ達はロメールの作戦を実行に移す事になりました。
作戦は奇襲を目的としたものだったのですが進路上で連合王国の大部隊が待ち構えていました。
海軍兵力で圧倒されているので作戦は失敗した事になってしまいます。
碌な実戦経験の無い帝国海軍は早々に逃げ出す事になりました。
経験値が足りない為にターニャ達への連絡も無しに退却を始めてしまいます。
呆れた状況ですがターニャは海軍を守る為に連合王国の海兵魔導師部隊に突撃する事を決めました。
観察すると連合王国の魔導師たちが新兵だと分かり弱いモノ虐めを慣行する事になりました。
熟練者であるターニャ達は新兵相手に戦果を挙げていきました。
ロメールの作戦は失敗に終わりましたが経験の浅いヴェステマン中尉の部隊を訓練する事にしました。
ベテランのヴァイス達に敵をヴェステマンの部隊の前に誘導させます。
ヴェステマンはターニャの期待に応えて実地訓練をこなしていきました。
これを予備兵力として動員されたドレイク中佐が見ていました。
訓練もされていない新兵が殺されていくのを見かねたドレイク中佐は指揮官に参戦の許可を貰おうとします。
連絡を取っている間にターニャ達に指揮官を殺されてしまいました。
帝国軍は首狩り戦術を決行しています。
ドレイクは自分が指揮を執る事にして新兵達を鼓舞する事にしました。
恐慌状態にある新兵に向かって敵を殺せと喚く事で統制を取り戻そうとしていました。
ドレイク率いるベテラン海兵魔導中隊が参戦する事で状況が変化しました。
これを見たターニャは連合王国が新兵を肉壁にして自分たちの疲弊を図ったと勘違いする事になりました。
ターニャは転職先として連合王国は選んで大丈夫な相手なのか?との疑問を抱いています。
連合王国の現状を見るに選択肢とはしない方が良いように思われますね。
現状で選ぶなら本格介入していない合衆国のような気がしますね。
連邦のような作戦を取った指揮官を危険人物だと断定して無理な突撃を慣行して首狩りを狙いました。
ドレイクは新兵に統制射撃を命じて数の優位を活かして攻勢に転じました。
ターニャ達は高高度を取りドレイクの事を刈り取ろうとしてきました。
ドレイクもターニャの事を刈り取ろうとしていました。
お互いに相手を危険人物と評価しています。
接近したターニャはドレイクの顔を見て東部で自爆戦術を取った変態だと気が付きます。
「変態!今度こそ、くたばれ!」「錆銀!貴様こそ、くたばれ!」と罵り合い戦闘が始まりました。
余裕が無いので双方とも下品ですね・・・
お互いにゼロ距離からの爆裂術式で相手を倒そうと考えました。
ここで演算宝珠の性能差がモノを云う事になりました。
追い込まれたターニャは95式を使い勝利する事になりました。
存在Xに祈りを捧げなければならないので苦渋の選択だったようです。
ドレイクは何とか防核で爆裂術式の衝撃に耐えましたが飛行術式を破棄したので海上に落下、戦線離脱する事になりました。
指揮官同士の一騎打ちで帝国が勝利したので勢いが付きます。
勢いに乗った帝国は連合王国の海兵魔導師を駆逐して艦隊への攻撃経路を確保する事になりました。
戦意旺盛なグランツ中尉は連合王国艦隊への攻撃を進言してきましたがターニャは否定しました。
今の帝国には損耗した魔導師を補充する術がありません。
練度の高い部下を失いたくないターニャは撤退する事を決めました。
連合王国が待ち構えていた事からターニャは帝国の情報が洩れていると悟りました。
帰ったらロメールに文句を言ってやると心に誓っています。
極秘作戦だったのに連合王国の旅団が待ち構えていたと知ったロメールは恐怖に駆られる事になります。
海軍が無事に撤退したとの知らせに安堵したのですが深刻な問題に気が付きました。
ロメールは帝国軍の情報が筒抜けになっていると悟ります。
スパイか裏切り者が居るか暗号が解読されていると予想します。
この中でロメールは暗号が解読されていると考えました。
暗号が解読されていると仮定した場合不味い事になります。
帝国に余力が無くなっている事が連合王国に露見している場合、帝国包囲網が厳しくなることが予想されます。
味方となっているイルドアを介して連合王国や共和国が攻め込んでくる可能性を考えています。
ロメールは裏切られる前にイルドアを叩くか?と考えますがこれ以上戦線を増やす事は出来ないと思いなおしています。
戻ってきたターニャはロメールに作戦がバレていた事を示唆しました。
ターニャもロメールと同様に帝国の暗号が解読されていると考えていました。
ロメールはターニャと考えが一致した事で己の考えの正しさを確信したようです。
暗号が解読されている場合、予備作戦が存在している事が問題となります。
ロメールは全てが覆る、本命も予備も無いぞ、と言っています。
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第碌章 砂時計
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ルーデルドルフ中将は一人で考えていました。
東部でゼートゥーア中将が反抗作戦を成功させたので少し気分が良いようです。
西方ではロメール将軍の上陸作戦が失敗しました。
西方での失敗の理由として暗号が解読されている可能性が浮上しました。
それを確認するだけでも大変だと考えています。
ゼートゥーア中将の成功から全てのしがらみから解放された指揮系統の必要性を感じてます。
砂時計をひっくり返して体制の転換が必要だと思っています。
帝国軍人であるルーデルドルフはそれを実行に移す事に躊躇を覚えています。
全てはイルドア次第だと考えています。
イルドアを介して外交手段を用いた講和の模索が本命で失敗した場合に予備として軍の権限拡大を考えているようです。
イルドアの存在が危険だと考え始めています。
裏切られる前に攻撃してしまうか?と考えていますね。
ゼートゥーアは東部でルーデルドルフの事を心配していました。
彼に政治的な思考が取れるのかが心配なようです。
西方での作戦が失敗に終わったターニャは暇になりました。
西方は共和国からブンドッタ地域なので文化的な香りがしています。
そこでターニャは休暇を取る事にしました。
配下の兵士にも休暇申請が可能である事を伝えました。
彼女の部隊は上司が休まない限り休みにくいとの空気が流れているようです。
ターニャが休暇を取ると分かったので部下たちはこぞって休暇を申請してきました。
ターニャはセレブリャコーフ中尉とささやかなお茶会を開く事になりました。
ターニャは休暇でヴィーシャは上司に引率された事にして仕事をサボる事にしました。
丁度良い機会だと考えたヴィーシャが戦争の行く末について質問してきました。
ターニャは負けないだろ、と答えました。
ヴィーシャは帝国軍人らしく武力だけで戦争を終結できると考えていました。
ターニャは全ては政治交渉次第だとの答えを返しました。
ヴィーシャはより強い拳を用意出来た方が勝つのですね、と間抜けな答えを返してきました。
ターニャは彼女の考え方に教育の足りなさを痛感しています。
彼女に勉強を兼ねた宿題を課すことになりました。
レルゲンがルーデルドルフに呼ばれました。
そこでルーデルドルフから『対叛乱計画』と名付けられた帝都で軍を動かす計画を示唆されました。
レルゲンはルーデルドルフがクーデターを考えていると予想したようです。
レルゲンはルーデルドルフの本気度を知り止めています。
ルーデルドルフは帝国には時間が無いと嘆いています。
レルゲンは口止め料として高価な葉巻を貰う事になりました。
自分で吸うのも躊躇われたので、苦労しているウーガ中佐にあげようと思い彼の元に向かいました。
鉄道部に所属しているウーガ中佐は疲労の極致にあったようです。
レルゲンが訪問した時に居眠りをしていました。
レルゲンはウーガの机の上でイルドア方面の時刻表を見付けました。
これを見たレルゲンはルーデルドルフがイルドアへの侵攻計画を考えている事を悟りました。
目覚めたウーガから既に鉄道車両の手配を行ったと聞いて確信を得たようです。
鉄道屋のウーガには計画の本当の意味が理解できていませんでした。
あくまでも予備プランとして用意されていると考えていました。
レルゲンから計画の真の目的を聞いて驚いています。
レルゲンはイルドア方面への鉄道の再編が予備プラン発動のスイッチに成っていると気が付きます。
レルゲンはウーガに時間稼ぎに協力して欲しいとお願いしていました。
ウーガは計画の危うさを理解したようですレルゲンに協力すると言ってくれました。
レルゲンは帝国の体制を守る為にあがく事を決めました。
追い込まれている帝国軍の重鎮たちは迷走を始めようとしているようです。
これは不味いですね・・・帝国は生き残れるのでしょうか?
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成分 | 幼女 | 美少女 | おじ様 | 戦略 | 作戦 | 戦術 | 訓練 |
評価 | B | C | AAA | B | AA | AAA | B |
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